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DPC高額薬剤判定|新薬など7品目が出来高算定へ【中医協第652回】
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DPC高額薬剤判定|新薬など7品目が出来高算定へ【中医協第652回】

84%tile基準で選ばれた7品目と、診断群分類に反映される2件をわかりやすく整理します

2026年(令和8年)7月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第652回)で、「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」(総-5)が議題になりました。DPC病院では、高額な新薬を使った症例の算定方法を誤ると、診療報酬を正しく請求できません。本号では、今回示された判定結果と、その前提となる判定の仕組みを整理します。

今回の資料では、高額な新薬などを使う症例について、出来高算定の対象とする案と、既存の診断群分類に反映する案が示されました。第一に、高額薬剤判定は、標準的な使用における1入院あたりの薬剤費が、診断群分類ごとの84%tile値を超えるかどうかで決まります。第二に、効能追加3品目と新薬4品目の計7品目が、次期診療報酬改定まで出来高算定の対象として提案されました。第三に、ジャスケイドとグロベニン-I10%の2件は、既存の診断群分類の分岐に反映することが提案されました。

高額薬剤判定の仕組み

高額薬剤判定は、新薬の導入をDPCの包括評価が妨げないようにする仕組みです。DPC/PDPS(診断群分類に基づく1日あたり包括払い制度)の点数表には、新たに薬価収載された医薬品等の費用が反映されていません。このため、一定の基準に該当する高額な医薬品等を使った症例は、次期診療報酬改定までの間、包括評価の対象外として出来高で算定します。

判定の対象は、新たに保険適用される3種類の医薬品です。 3種類とは、新薬、効能効果・用法用量の一部変更(一変)、事前評価済公知申請(公知)を指します。判定作業は、新薬の薬価収載に合わせて年4回おこなわれます。緊急に薬価収載された新薬には、必要に応じて追加の判定がおこなわれます。

判定は、診断群分類ごとに薬剤費を比較して決まります。 まず、効能・効果から、その薬剤を使う可能性のある診断群分類(14桁コード)を抽出します。次に、入院初日から退院まで添付文書どおりに投与したと仮定した回数(仮想投与回数)から、1入院あたりの薬剤費を計算します。最後に、この薬剤費が、その診断群分類の1入院あたり薬剤費の84%tile値を超えれば、高額薬剤に指定されます。前年度に使用実績のない医薬品等では、比較の相手は、その薬剤を使っていない症例の薬剤費です。

84%tile値とは、薬剤費を低い順に並べたとき下から84%に位置する値です。 つまり、新薬の標準的な使用だけで、既存症例の上位16%の薬剤費の水準を超えるかどうかが基準です。高額薬剤に指定された薬剤を使い、かつ指定された診断群分類に該当する症例は、包括評価の対象外となります。出来高算定とは、実施した診療行為や使った薬剤ごとに点数を積み上げる算定方法です。

高額薬剤判定には、出来高算定とは別に「定義告示への追加」もあります。 これは、類似薬効比較方式で薬価が算定された新薬が対象です。比較薬が診断群分類の定義テーブルで分岐として定義されている場合、新薬もその分岐に追加されます。

出来高算定の対象として提案された7品目

今回、出来高算定の対象として提案されたのは、効能追加3品目と新薬4品目の計7品目です。効能追加は令和8年5月18日に効能効果・用法用量が追加されたもの、新薬は令和8年7月15日に薬価収載予定のものです。いずれも、該当する診断群分類で1入院あたりの標準的費用が84%tile値を超えました。提案では、対象症例を次期診療報酬改定までの間、出来高で算定します。

効能追加(一変)の3品目

  • ゼップバウンド皮下注(チルゼパチド)

    • 効能効果:中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI 27kg/m²以上に限る)

    • 1回あたりの標準的費用:3,067円

    • 対象の診断群分類:030250 睡眠時無呼吸

  • ファセンラ皮下注30mg(ベンラリズマブ)

    • 効能効果:好酸球増多症候群

    • 1回あたりの標準的費用:335,309円

    • 対象の診断群分類:130070 白血球疾患(その他)

  • アレセンサカプセル150mg(アレクチニブ塩酸塩)

    • 効能効果:ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌

    • 1回あたりの標準的費用:13,811円

    • 対象の診断群分類:010010 脳腫瘍ほか、計39分類

新薬の4品目

  • ジャスケイド錠(ネランドミラスト)

    • 効能効果:特発性肺線維症、進行性肺線維症

    • 1回あたりの標準的費用:8,363円

    • 対象の診断群分類:040110 間質性肺炎

  • ハイツエキシン錠10mg(リソバリシブ)

    • 効能効果:がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌

    • 1回あたりの標準的費用:29,253.6円

    • 対象の診断群分類:120010 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍

  • アロステムシート(ニバドストロセル)

    • 効能効果:栄養障害型、接合部型及び単純型(重症汎発型に限る)表皮水疱症

    • 1回あたりの標準的費用:182,096円

    • 対象の診断群分類:080110 水疱症

  • エドスチラドリン膀胱内注入液(ナドファラゲン フィラデノベク)

    • 効能効果:BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌

    • 1回あたりの標準的費用:9,308,147.6円

    • 対象の診断群分類:110070 膀胱腫瘍

効能追加の3品目

効能追加の3品目は、既存薬に新しい効能が加わったことで、新たな診断群分類で高額と判定された薬剤です。

ゼップバウンド皮下注は、睡眠時無呼吸の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、BMIが27kg/m²以上の中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。1入院あたりの標準的費用は3,067円(1回分)です。この額は、対象2分類の84%tile値(43円・247円)を大きく上回ります。

ファセンラ皮下注は、白血球疾患(その他)の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、成人と12歳以上の小児の好酸球増多症候群です。1入院あたりの標準的費用は、335,309円(1回分)~670,618円(2回分)です。この額は、対象4分類の84%tile値(47,853円~624,954円)をそれぞれ上回ります。

アレセンサカプセルは、39の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌です。このため、脳腫瘍、肺、消化器、乳房、婦人科、泌尿器などの悪性腫瘍を中心に、39分類(6桁)が対象に含まれます。1入院あたりの標準的費用は、分類ごとの仮想投与回数(8回~210回)に応じて110,488円~2,900,310円です。

新薬の4品目

新薬の4品目は、令和8年7月15日に薬価収載予定の医薬品等です。

ジャスケイド錠は、間質性肺炎の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、特発性肺線維症と進行性肺線維症です。1入院あたりの標準的費用は301,068円~618,862円です。この額は、対象6分類の84%tile値(205,659円~599,358円)をそれぞれ上回ります。

ハイツエキシン錠は、卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌です。1入院あたりの標準的費用は146,268円~1,374,919円です。この額は、対象6分類の84%tile値(42,320円~462,816円)をそれぞれ上回ります。

アロステムシートは、水疱症の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、難治性・再発性のびらんや潰瘍を有する表皮水疱症です。1入院あたりの標準的費用は910,480円(週1回・5回分)です。この額は、対象分類の84%tile値(79,541円)を大きく上回ります。

エドスチラドリン膀胱内注入液は、膀胱腫瘍の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、BCG膀胱内注入療法の再導入の適応とならない高リスク筋層非浸潤性膀胱癌です。1回あたりの標準的費用は約931万円(9,308,147.6円)で、今回の7品目で最も高額です。この額は、対象5分類の84%tile値(17,860円~100,119円)の90倍以上に相当します。

既存の診断群分類に反映される2件

出来高算定とは別に、2件は既存の診断群分類の分岐に反映することが提案されました。2件とも、類似薬や既収載品に特化した分岐がすでに設定されていることが理由です。

ジャスケイド錠は、間質性肺炎の「ニンテダニブエタンスルホン酸塩」による分岐に反映されます。 ジャスケイド錠の薬価は、類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定されました。その類似薬であるニンテダニブエタンスルホン酸塩は、040110 間質性肺炎で分岐として定義されています。このため、ジャスケイド錠はこの分岐にも追加されます。なお、ジャスケイド錠は前章の出来高算定の対象にも含まれています。

グロベニン-I10%の2製品は、重症薬疹の既収載品による分岐に反映されます。 2製品とは、グロベニン-I10%静注(pH4処理酸性人免疫グロブリン、令和7年12月5日収載)と、献血グロベニン-I10%静注(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、令和8年6月12日収載)です。2製品は、既収載品の献血グロベニン-I静注用の剤形追加品として承認され、薬価上も同一銘柄として扱われています。このため、080105 重症薬疹の「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」による分岐に反映されます。対象の効能は、ステロイド剤の効果が不十分なスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症です。

まとめ:対象症例のコーディングと算定方法を確認しましょう

第652回中医協総会では、高額な新薬などを使う症例について、出来高算定の対象とする案と、既存の分岐に反映する案が示されました。高額薬剤判定は、標準的な使用における1入院あたりの薬剤費が、診断群分類ごとの84%tile値を超えるかで決まります。ゼップバウンドやアレセンサなど7品目は、次期診療報酬改定まで出来高算定の対象として提案されました。ジャスケイドとグロベニン-I10%の2件は、既存の分岐への反映が提案されました。

DPC病院の医事部門では、該当薬剤の使用症例が、対象の診断群分類に該当するかを確認しましょう。特にアレセンサは対象分類が39に及ぶため、悪性腫瘍の症例を幅広く確認する必要があります。適用日や対象コードの詳細は、正式な告示・通知で確認してください。


参考資料:中医協 総-5「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」(令和8年7月8日)、中医協 総-5参考「現行のいわゆる『高額薬剤判定』の運用方法について」

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