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再生医療等製品2品目が保険適用へ|中医協総会(第652回)の要点
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再生医療等製品2品目が保険適用へ|中医協総会(第652回)の要点

細胞シートのアロステムシートと遺伝子治療薬のエドスチラドリン。算定方式と加算の扱いを整理します

令和8年7月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第652回)で、再生医療等製品2品目の保険適用が議題となりました。2品目は、表皮水疱症に使う細胞シートと、膀胱癌に使う遺伝子治療薬です。いずれも新しいタイプの製品であり、薬価の決まり方が通常の医薬品とは異なるため、資料だけでは要点をつかみにくくなっています。本号では、総会資料「総-3」をもとに、2品目の特徴と薬価算定のポイントを整理します。

2品目は、原価計算方式で算定した薬価で、令和8年7月15日に保険収載される予定です。1品目めの「アロステムシート」は、表皮水疱症の治りにくい潰瘍に貼る細胞シートで、薬価は1枚182,096.00円です。2品目めの「エドスチラドリン膀胱内注入液」は、BCG療法後に残存・再発した膀胱癌に使う遺伝子治療薬で、薬価は1瓶2,327,036.90円です。2品目に共通して、補正加算は認められたものの加算係数が0のため価格には上乗せされず、革新的新薬薬価維持制度の対象となりました。

1. アロステムシート:表皮水疱症の潰瘍に貼る細胞シート

アロステムシートは、表皮水疱症の難治性・再発性の潰瘍に週1回貼る細胞シートです。薬価は1枚182,096.00円で、ピーク時(収載後9年度)の予測は投与患者数25人、販売金額7.9億円です。以下、対象と使い方、有効性、薬価の内訳の順に説明します。

アロステムシートの対象は、難治性または再発性のびらん・潰瘍がある表皮水疱症の患者です。 表皮水疱症は、わずかな刺激で皮膚に水疱やただれができる遺伝性の病気です。対象となる病型は、栄養障害型、接合部型、単純型(重症汎発型に限る)の3つです。本品は、健康な成人の皮下脂肪組織に由来する幹細胞(同種)を、シート状に培養した製品です(ヒト体性幹細胞加工製品)。使い方は、潰瘍の面積に合わせて枚数を決め、週1回、潰瘍を辺縁まで覆うように貼ります。シートから分泌される成長因子などが、炎症を抑え、傷の治りを促すと期待されています。

アロステムシートの有効性は、日本人6例の国内第Ⅲ相試験で確認されました。 この試験は、4歳の小児を含む6例を対象に、最大12週間シートを貼付した非盲検・非対照の試験です。主要評価項目である潰瘍面積の平均変化率(治療前との比較)は−54.242%で、統計学的に有意な縮小を示しました(p=0.0098)。ただし、実際に参加した6例はすべて栄養障害型であり、他の病型の患者は含まれていません。

アロステムシートの薬価は、原価に利益と経費を積み上げる原価計算方式で算定しました。 内訳は、製品総原価130,076.80円、営業利益24,042.60円、流通経費11,422.40円、消費税16,554.20円です。類似の効能をもつ既存品(バイジュベックゲル)はありますが、製品のタイプ(モダリティ)と主な作用が異なるため、最類似薬には該当しないと判断されました。外国での価格はなく、日本が最初の承認国です。なお、承認日は令和8年4月3日で、企業の都合により今回の収載希望となりました。

2. エドスチラドリン膀胱内注入液:BCG療法後の膀胱癌に使う遺伝子治療薬

エドスチラドリン膀胱内注入液は、膀胱上皮内癌を対象疾患とする初めての遺伝子治療薬です。薬価は20mL1瓶2,327,036.90円で、ピーク時(収載後10年度)の予測は投与患者数488人、販売金額203億円です。以下、対象と使い方、有効性、薬価の内訳の順に説明します。

エドスチラドリンの対象は、BCG療法後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌の患者です。 BCG療法とは、結核ワクチンのBCGを膀胱に注入する、膀胱癌の標準的な治療です。本品の対象は、BCG療法の再導入の適応とならない患者に限られます。本品は、インターフェロンα2bの遺伝子を組み込んだ、増殖しないアデノウイルスです(遺伝子治療用製品)。使い方は、成人に1回75mLを、3カ月間隔で膀胱内へ注入します。膀胱の細胞に感染した本品がインターフェロンα2bを作らせ、抗腫瘍免疫の働きで癌細胞を死滅させると期待されています。

エドスチラドリンの有効性は、海外と国内の2つの第Ⅲ相試験で確認されました。 2試験の主要評価項目は、上皮内癌を伴う患者における、初回投与後3カ月までの完全奏効率です。海外試験では103例中55例が完全奏効となり、完全奏効率は53.4%(95%信頼区間43.3~63.3%)でした。国内試験では20例中15例が完全奏効となり、完全奏効率は75.0%(95%信頼区間50.9~91.3%)でした。どちらの試験も、95%信頼区間の下限が事前に定めた閾値(海外27%、国内2%)を上回りました。

エドスチラドリンの薬価も、アロステムシートと同じく原価計算方式で算定しました。 内訳は、製品総原価1,729,556.90円、営業利益319,681.20円、流通経費66,250.00円、消費税211,548.80円です。膀胱上皮内癌を対象とする初めての遺伝子治療薬であるため、類似薬はないと判断されました。米国では2022年12月に承認されており、米国価格(ASP)は1瓶2,426,656.10円です。この米国価格と比較した結果、外国平均価格調整は「なし」とされました。

3. 2品目に共通する薬価算定のポイント

2品目には、補正加算、薬価維持の制度、費用対効果評価の3点で共通点と相違点があります。共通点は、加算係数0で加算が価格に反映されなかったことと、革新的新薬薬価維持制度の対象となったことです。相違点は、有用性加算と費用対効果評価がエドスチラドリンだけに適用されたことです。

補正加算は2品目とも認められましたが、加算係数が0のため薬価は上がりませんでした。 補正加算とは、新規性や希少性を評価して薬価を上乗せする仕組みです。2品目とも、希少疾病用再生医療等製品に指定されているため、市場性加算(Ⅰ)(10%)に該当しました。エドスチラドリンは、新規の作用機序をもつことと、この疾患領域で新規作用機序の新薬収載が約30年間なかったことを評価され、有用性加算(Ⅱ)(10%)にも該当しました。しかし、原価計算方式では、加算率に原価の開示度に応じた加算係数を掛けます。今回は2品目とも加算係数が0のため、加算前と加算後の薬価は同じ金額です。

革新的新薬薬価維持制度は、2品目とも対象となりました。 この制度は、革新性のある新薬について、薬価改定時の価格の引下げを抑える仕組みです。2品目とも、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることが主な理由です。

費用対効果評価は、エドスチラドリンだけが対象(H1区分)となりました。 費用対効果評価とは、薬の効果に見合った価格かを収載後に検証し、薬価を調整する仕組みです。H1区分は、ピーク時の市場規模予測が100億円以上の品目に適用されます。エドスチラドリンは203億円と予測されているため、この区分に該当しました。一方、アロステムシートは評価の対象外です。

まとめ:2品目は7月15日収載予定、加算は価格に反映されず

中医協総会(第652回)で、再生医療等製品2品目の保険適用が議題となり、令和8年7月15日に収載される予定です。アロステムシートは、表皮水疱症の潰瘍に貼る細胞シートで、薬価は1枚182,096.00円です。エドスチラドリン膀胱内注入液は、BCG療法後に残存・再発した膀胱癌の遺伝子治療薬で、薬価は1瓶2,327,036.90円です。2品目とも原価計算方式で算定され、補正加算は加算係数0のため価格に反映されませんでした。今後は、エドスチラドリンの費用対効果評価の結果にも注目が集まります。

(出典:中央社会保険医療協議会 総会(第652回)資料「総-3 再生医療等製品の保険適用について」令和8年7月8日)

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