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テロメライシンを医薬品の例で対応する案|中医協が示した保険適用の考え方
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テロメライシンを医薬品の例で対応する案|中医協が示した保険適用の考え方

腫瘍内で増えるウイルス製剤を「医薬品の例」で扱う案の理由と、薬価収載までの流れを整理します

令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、再生医療等製品「テロメライシン注」の医療保険上の取扱いが議題になりました。再生医療等製品には保険上の独自の体系がまだないため、製品ごとに「医薬品の例」と「医療機器の例」のどちらで対応するかを判断する必要があります。本号では、テロメライシンの特徴と、事務局が示した取扱い案およびその根拠となるルールを解説します。

テロメライシンについては、医薬品の例により対応し、薬価基準への収載を審議する案が示されました。第一に、テロメライシンは食道癌の腫瘍内に投与し、腫瘍内で増殖して腫瘍細胞を溶解させることが期待される遺伝子組換えウイルス製剤です。第二に、医薬品の例とする理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待されるからです。第三に、この案は平成26年に了承されたルールに沿っており、今後は薬価算定組織が償還価格を検討したうえで、中医協総会が薬価基準への収載を審議します。

テロメライシンは食道癌を対象とする遺伝子組換えウイルス製剤

テロメライシンは、放射線療法と併用して食道癌の腫瘍内に直接投与する製品です。以下では、製品の仕組み、対象患者と使い方、承認条件、有効性データの順に説明します。

テロメライシンの仕組みは、hTERT遺伝子プロモーターの制御下で増殖するように改変したアデノウイルスにあります。一般的名称はスラタデノツレブで、収載希望者はオンコリスバイオファーマ株式会社です。本品は、ヒトアデノウイルス5型の増殖に関わる遺伝子(E1A遺伝子、E1B遺伝子)を、hTERT(ヒトテロメラーゼ逆転写活性酵素)遺伝子プロモーターの制御下で同時に発現するように改変しています。腫瘍内に投与された本品がhTERTを高発現する腫瘍細胞に感染すると、腫瘍内で増殖し、腫瘍細胞を溶解させることで抗腫瘍効果を示すことが期待されています。

テロメライシンの対象患者は、根治切除と化学放射線療法のどちらも適応とならない食道癌の患者です。用法は、放射線療法との併用で、通常、成人に1回あたり1mL(1×10¹²vp)を概ね2週間間隔で計3回投与します。投与は上部消化管内視鏡を使い、腫瘍内におこないます。腫瘍の大きさや数によっては、1回あたり2mL(2×10¹²vp)まで増量できます。承認区分は、新再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品)です。

テロメライシンの承認には、3つの条件が付いています。1つ目は、製造販売後、一定数の症例データが集まるまで、全症例を対象に使用成績調査を実施することです。2つ目は、食道癌治療と上部消化管内視鏡診療に十分な知識と経験を持つ医師が、食道癌の治療に係る体制の整った医療機関で使用するよう、必要な措置を講ずることです。3つ目は、遺伝子組換え生物等の使用を規制する法律(いわゆるカルタヘナ法)に基づき承認された第一種使用規程を守って使用するよう、必要な措置を講ずることです。

テロメライシンの有効性は、国内第Ⅱ相試験(OBP101JP試験)で検討されました。この試験は、根治切除と化学放射線療法が適応とならない局所進行食道癌(臨床病期ⅡおよびⅢ)の患者を対象とした、非盲検非対照試験です(目標症例数37例、有効性の解析対象36例)。放射線療法は本品の初回投与3日後に開始し、1日あたり2.0グレイを週5日、約6週間続けました。主要評価項目は局所完全奏効率(L-CR:局所の治療効果が完全奏効と判定された患者の割合)です。L-CRは、投与開始後24週までで41.7%(15/36例、90%信頼区間27.7~56.7%)でした。投与開始後18か月までのL-CRは、50.0%(18/36例、90%信頼区間35.3~64.7%)でした。

医薬品と同様の使用方法と薬理的作用が期待されるため「医薬品の例」で対応する案

テロメライシンを医薬品の例で対応する理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待される製品だからです。資料では、この2点を踏まえて医薬品の例により対応する案が示されています。

テロメライシンの使用方法は、決められた用量を一定の間隔で腫瘍内に投与するものです。資料は、この使用方法を医薬品と同様のものと位置づけています。

テロメライシンの薬理的作用は、投与した本品が腫瘍内で増殖し、腫瘍細胞を溶解させて抗腫瘍効果を示すことが期待されるものです。資料は、この作用による治療効果も医薬品と同様のものと位置づけています。

判断の枠組みは平成26年のルールにさかのぼる

テロメライシンの取扱い案は、平成26年11月5日の中医協総会で了承されたルールに沿っています。参考資料では、令和8年1月14日に了承された、条件及び期限付き承認を受けた製品に関するルールも併せて示されています。

平成26年のルールでは、再生医療等製品の保険適用を3つの段階で進めます。第1段階では、薬事承認の結果を踏まえ、製品ごとに医薬品の例か医療機器の例かを判断します。第2段階では、薬価算定組織または保険医療材料専門組織が、償還価格(保険で支払われる製品の価格)を検討します。第3段階では、その検討結果を踏まえ、中医協総会が薬価基準または材料価格基準に収載するかを審議します。なお、再生医療等製品の保険上の取扱いに関し独自の体系を作るかどうかは、知見が蓄積した後に引き続き中医協総会で検討するとされています。

令和8年1月のルールでは、条件及び期限付き承認を受けた製品も、通常の承認を受けた製品と同様に扱います。つまり、医薬品の例と医療機器の例のどちらで算定するかは、薬事承認の結果を踏まえて判断します。さらに、条件及び期限付き承認を受けた製品の事例が集まるなど状況が変わった場合は中医協総会に報告し、必要に応じて取扱いの見直しを審議するとしています。なお、テロメライシンの承認区分は資料上「新再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品)」と記載されています。

テロメライシンの取扱い案は、この枠組みの第1段階として「医薬品の例」で対応するものです。案のとおり進めば、第2段階として薬価算定組織が償還価格を検討します。その後、第3段階として中医協総会が薬価基準への収載を審議します。

まとめ:テロメライシンは医薬品の例で薬価基準への収載を審議する案

テロメライシンについては、医薬品の例により対応し、薬価基準への収載を審議する案が示されました。テロメライシンは、食道癌の腫瘍内で増殖して腫瘍細胞を溶解させることが期待される遺伝子組換えウイルス製剤です。医薬品の例とする理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待されるからです。この案は平成26年のルールに沿っており、今後は薬価算定組織での検討を経て、中医協総会で薬価基準への収載が審議されます。

【参考資料】

  • 中医協 総-4「再生医療等製品の取扱いについて(テロメライシン)」(令和8年6月24日)

  • 中医協 総-4参考「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」(令和8年6月24日)

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