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【2026年度】後期高齢者医療の保険料賦課限度額が85万円に引き上げへ
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【2026年度】後期高齢者医療の保険料賦課限度額が85万円に引き上げへ

物価上昇と医療給付費増加を背景に5万円の引き上げ案|影響を受ける所得層と保険料への具体的影響を解説

令和7年12月12日に開催された第207回社会保障審議会医療保険部会において、後期高齢者医療の保険料賦課限度額を引き上げる案が議論されました。令和8年度の賦課限度額を現行の80万円から85万円に引き上げる方針です。この引き上げは、物価・賃金の上昇傾向と医療給付費の増加を背景としています。

令和8年度の賦課限度額引き上げ案の概要は、医療分の賦課限度額を5万円増額することです。年金収入のみの場合で1,021万円以上の高所得者が対象となります。保険料への影響は、年金収入400万円の場合で前年度比4.2%増、賦課限度額超過被保険者では6.3%増と推計されています。賦課限度額超過被保険者の割合は、引き上げ後も1.21%程度に抑制される見込みです。

賦課限度額引き上げの背景と理由

令和8年度における賦課限度額の引き上げは、複数の社会経済的要因を背景としています。

近年の物価・賃金の上昇傾向により、後期高齢者の所得が増加しています。この所得増加に伴い、医療給付費も増加する見込みです。所得と給付費の双方が増加する環境下では、保険料負担の増加が避けられません。

令和8年度には制度面での変更も影響します。出産育児支援金の激変緩和措置が終了します。この終了により、保険料負担への影響が生じます。加えて、令和8年度から子ども・子育て支援納付金が新設されます。

保険料賦課限度額の設定には重要な考慮事項があります。給付と保険料負担のバランスを失すれば、被保険者の納付意識に悪影響を及ぼします。中間所得層の負担とのバランスも考慮する必要があります。賦課限度額超過被保険者の割合を適切な水準に保つことも求められます。

令和8年度の具体的な変更内容

令和8年度の賦課限度額は85万円に設定される案です。

現行の80万円から5万円の引き上げとなります。この引き上げにより、賦課限度額に達する所得水準が変わります。賦課限度額80万円の場合、年金収入のみで971万円が基準でした。賦課限度額85万円では、年金収入のみで1,021万円が基準となります。

年金と給与の両方がある場合も基準が変わります。賦課限度額80万円では、年金・給与収入が同程度で合計1,090万円でした。賦課限度額85万円では、年金・給与収入が同程度で合計1,150万円となります。

賦課限度額超過被保険者の割合も変化します。令和7年度の実績では1.27%でした。令和8年度に80万円で据え置いた場合、1.33%に上昇する推計です。85万円に引き上げた場合は1.21%に抑制される見込みです。

子ども・子育て支援納付金については別途対応します。令和8年度予算編成過程で決定される支援金総額を踏まえます。医療分の賦課限度額超過被保険者割合と同程度となるよう、賦課限度額を設定する方針です。

保険料への影響

賦課限度額の引き上げは、所得階層により異なる影響を及ぼします。

年金収入400万円の場合、保険料は28.5万円から29.7万円に増加します。前年度比で4.2%の増加率です。一方、80万円で据え置いた場合は30万円となり、5.3%の増加率でした。

賦課限度額超過被保険者の場合、保険料は80万円から85万円に増加します。前年度比で6.3%の増加率です。80万円で据え置いた場合は増加がありません。

後期高齢者医療の保険料は均等割と所得割で構成されています。均等割が48%、所得割が52%の割合です。賦課限度額の引き上げは、主に所得割部分に影響します。

制度施行時からの経緯を振り返ります。平成20年度の制度開始時、賦課限度額は50万円でした。その後、2年ごとの保険料率改定時に段階的に引き上げられてきました。令和5年度の制度改正により、令和6・7年度は80万円に設定されました。令和6年度は激変緩和措置として73万円でしたが、新規加入者は除外されました。

まとめ

令和8年度の後期高齢者医療の保険料賦課限度額は85万円に引き上げられる案です。物価・賃金上昇と医療給付費増加を背景としています。年金収入1,021万円以上の高所得者が主な対象となります。保険料への影響は所得階層により異なり、中間所得層への配慮も含まれています。

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