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在宅自己注射にバイオ後続品2剤の追加案|中医協第650回を解説
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在宅自己注射にバイオ後続品2剤の追加案|中医協第650回を解説

オマリズマブBS「CT」とゴリムマブBS「F」の追加案を、審議の仕組み・臨床データ・実務の留意点から整理します

令和8年5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、バイオ後続品2剤を在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加する案が示されました。この追加の可否は、患者が自宅で注射を続けられるかどうかと、医療機関が診療報酬を算定できるかどうかを左右します。本号では、追加案の根拠と、医療機関が押さえるべき実務上の留意点を解説します。

追加案の内容は、オマリズマブBS皮下注「CT」とゴリムマブBS皮下注50mgシリンジ「F」の2剤を、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に加えるというものです。第一に、先行品が対象となっているバイオ後続品は、運用基準により品目ごとに中医協で審議される仕組みになっています。第二に、オマリズマブBS「CT」は、効能効果や用法・用量等が先行品ゾレアと同等と評価されました。第三に、ゴリムマブBS「F」は、効能効果が関節リウマチのみですが、効能効果や用法・用量等が先行品シンポニーと同等と評価されました。

1. バイオ後続品は品目ごとに中医協で審議される

バイオ後続品の在宅自己注射の対象追加は、先行品が対象であっても自動的には認められません。中医協の運用基準が、先行品が対象となっているバイオ後続品について「当分の間、個別品目毎に中医協において審議する」と定めているためです。

この運用基準は、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤を決めるためのルールです。運用基準は平成28年8月24日に中医協総会で承認され、令和5年8月23日に改正案が承認されました。在宅自己注射指導管理料(C101)とは、患者が自宅で自分に注射できるよう医師が指導・管理した場合に算定する診療報酬です。

運用基準は、対象薬剤に対して、頻回投与または発作時の緊急投与が必要な注射剤であることを前提に、主に3つの要件を求めています。1つ目は、関連学会のガイドライン等で在宅自己注射の診療上の必要性が確認されていることです。2つ目は、維持期の投与間隔が概ね4週間以内であることです。3つ目は、学会から追加の要望書が提出されていることです。

先行品が対象となっているバイオ後続品は、先行品との比較等を踏まえて審議されます。バイオ後続品(バイオシミラー)とは、すでに承認されたバイオ医薬品(先行バイオ医薬品)と同等・同質の品質、有効性、安全性をもつとして承認された医薬品です。今回の2剤は、いずれも先行品がすでに在宅自己注射の対象となっています。そのため、今回の資料では「先行品との比較」「バイオ後続品の治験成績」「先行品の市販後の安全性」の3点が示されました。

2. オマリズマブBS「CT」は先行品ゾレアと同等と評価された

オマリズマブBS「CT」は、効能効果、用法・用量、主な副作用のすべてが先行品ゾレアと同じです。資料は、この同等性に加え、先行品の使用状況等にも特段の問題はないと考えられることから、対象薬剤への追加を提案しています。

オマリズマブBS「CT」は、令和8年3月に薬事承認されたヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。製品は、75mgと150mgのシリンジ製剤とペン製剤の計4品目です。効能効果は、先行品と同じく、難治の気管支喘息、重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎、特発性の慢性蕁麻疹の3つです。先行品ゾレアは、平成21年に薬事承認され、令和3年に在宅自己注射の対象に追加されています。

オマリズマブ製剤は、季節性アレルギー性鼻炎への使用が、保険医が投与できる注射薬の範囲から除かれています。厚生労働大臣が定める注射薬の告示では、「オマリズマブ製剤(季節性アレルギー性鼻炎の治療のために使用する場合を除く。)」と規定されています。したがって、効能効果が3つあっても、現行の告示上、在宅自己注射として投与できるのは季節性アレルギー性鼻炎以外の用途に限られます。

オマリズマブBS「CT」の治験では、先行品との臨床的同等性が確認されました。治験は、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の治療下でも症状のある特発性の慢性蕁麻疹患者を対象とした海外第Ⅲ相試験です。主要評価項目は、300mg投与時の投与12週後におけるISS7(7日間のかゆみの重症度スコア)のベースラインからの変化量です。この評価で、95%信頼区間は事前に規定した同等性許容域(-2.0~2.0)の範囲内でした。24週まで本剤300mgを継続投与した群の副作用発現割合は8.4%(17/203例)でした。先行品300mgから本剤300mgへ切り替えた群の副作用発現割合は12.5%(12/96例)でした。主な副作用は両群とも注射部位反応で、それぞれ4例(2.0%)、6例(6.3%)でした。

先行品ゾレアの市販後調査では、添付文書の記載変更を要するような問題は見つかっていません。安全性解析対象46例の特定使用成績調査では、副作用発現割合は2.2%(1/46例)でした。この割合は承認時の臨床試験の1.2%(2/161例)を上回りましたが、副作用は添付文書で注意喚起済みの非重篤な注射部位疼痛1例のみでした。特定使用成績調査Ⅰでは、副作用発現割合は10.2%(13/127例)でした。この割合は、日本人のアレルギー性喘息患児を対象とした承認時の臨床試験の26.3%(10/38例)より高くありませんでした。投与量換算表の変更後の用法・用量を対象とした特定使用成績調査Ⅱでは、副作用発現割合は6.6%(26/392例)でした。この割合は、変更前の用法・用量で投与した気管支喘息患者の調査結果(8.1%、292/3,620例)より高くありませんでした。

オマリズマブBS「CT」の追加は、2つの学会から要望されています。日本アレルギー学会は2026年(令和8年)3月16日に、日本小児アレルギー学会は同年3月26日に要望書を提出しました。両学会は、就労・就学中の世代の患者にとって通院の時間的制約や身体的・経済的負担が大きい点を、要望の理由に挙げています。

3. ゴリムマブBS「F」は先行品シンポニーと同等と評価された

ゴリムマブBS「F」は、関節リウマチに対する効能効果、用法・用量、主な副作用が先行品シンポニーと同じです。資料は、この同等性に加え、先行品の使用状況等にも特段の問題はないと考えられることから、対象薬剤への追加を提案しています。

ゴリムマブBS「F」は、令和7年9月に薬事承認されたヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤です。製品は、50mgシリンジ製剤の1品目です。効能効果は、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)のみです。先行品シンポニーがもつ潰瘍性大腸炎の効能効果は、ゴリムマブBS「F」にはありません。先行品シンポニーは、平成23年に薬事承認され、平成30年に在宅自己注射の対象に追加されています。

ゴリムマブBS「F」の治験では、先行品との有効性の同等性が検証されました。治験は、メトトレキサートを併用する中等度から重度の関節リウマチ患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験です。主要評価項目である第16週までの疾患活動性スコア(DAS28-CRP)の変化量は、先行品との最小二乗平均値の差の95%信頼区間が、事前に規定した同等性許容域(-0.6~0.6)の範囲内でした。投与開始から本剤を投与した群の副作用発現割合は12.4%(31/251例)でした。主な副作用は、AST増加5例(2.0%)とALT増加4例(1.6%)でした。16週以降に先行品から本剤へ切り替えた群の副作用発現割合は10.7%(12/112例)でした。主な副作用は、AST増加2例(1.8%)とALT増加2例(1.8%)でした。

先行品シンポニーの市販後調査では、長期投与における新たな安全性上の問題は認められていません。使用成績調査では、副作用発現割合は15.0%(772/5,137例)でした。この割合は、承認時の国内臨床試験の77.3%(449/581例)を上回りませんでした。長期使用に関する特定使用成績調査Ⅰでは、副作用発現割合は31.9%(107/335例)で使用成績調査より高めでしたが、承認時の77.3%は上回りませんでした。悪性腫瘍と重篤な感染症を対象とした特定使用成績調査Ⅱ(観察期間5年間)では、これらの副作用発現割合の明らかな増加は認められませんでした。ただし、承認時の臨床試験とは患者背景や観察期間が異なるため、直接の比較は困難とされています。

ゴリムマブBS「F」の追加は、日本リウマチ学会から要望されています。日本リウマチ学会は、令和7年8月22日に要望書を提出しました。学会は、関節リウマチの治療が長期に及び、患者の多くが労働者世代である点を、要望の理由に挙げています。

4. 対象に追加されても指導管理の留意事項は変わらない

2剤が対象薬剤に追加された場合も、在宅自己注射の実施には既存の対象薬剤と同じ留意事項が適用されます。医療機関は、バイオ後続品を導入する際も、厚生労働省の通知(保医発第0427002号、平成17年4月27日)に示された4つの留意事項を守る必要があります。

1つ目の留意事項は、指導管理を行う医師の要件です。指導管理は、対象疾患の診療を日常的に行い、十分な経験をもつ医師が行います。

2つ目の留意事項は、導入前の教育期間です。在宅自己注射の導入前には、入院、または週2回もしくは3回以上の外来・往診・訪問診療により、十分な教育期間を設けます。

3つ目の留意事項は、かかりつけ医との連携です。かかりつけ医と異なる医師が指導管理を行う場合は、緊急時の対応などについて、かかりつけ医と十分に連携します。

4つ目の留意事項は、廃棄物の処理です。在宅自己注射の実施に伴う廃棄物の適切な処理方法も、あわせて患者に指導します。

まとめ:バイオ後続品2剤は先行品と同等と評価され、在宅自己注射の対象追加が提案された

第650回中医協総会では、オマリズマブBS「CT」とゴリムマブBS「F」を在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加する案が示されました。先行品が対象となっているバイオ後続品は、運用基準により品目ごとに中医協で審議されます。オマリズマブBS「CT」は、効能効果や用法・用量等が先行品ゾレアと同等と評価されました。ゴリムマブBS「F」は、効能効果が関節リウマチのみですが、先行品シンポニーと同等と評価されました。今回示されたのは対応「案」であるため、最終的な取扱いと適用時期は、今後の告示・通知で確認してください。

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