治療と仕事の両立は、日本社会における重要な課題となっています。現行の療養・就労両立支援指導料は、対象疾患が限定されており、評価額や算定期間の面でも十分とは言えない状況にあります。本記事は、令和8年度診療報酬改定で行われる療養・就労両立支援指導料の見直し内容を解説します。
療養・就労両立支援指導料の見直しは、4つの観点から行われます。第1の見直しは、勤務情報の提供方法に「治療と仕事の両立支援カード」を追加する点です。第2の見直しは、対象疾患の定めを廃止する点です。第3の見直しは、2回目以降の算定可能期間を3月から6月に延長する点です。第4の見直しは、初回・2回目以降の点数および相談支援加算を引き上げる点です。
勤務情報の提供方法の拡大
勤務情報の提供方法に「治療と仕事の両立支援カード」が追加されます。これまで医療機関が患者と事業者の共同作成文書を受け取る方法に限定されていた仕組みが、改定によって柔軟化されます。
現行制度では、患者と事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書が、算定の前提条件となっています。この共同作成文書には、病状や就労状況などを医療機関に伝えるための情報が記載されます。共同作成という形式が必要なため、患者と事業者の双方に作成負担が生じている状況です。
改定後は、患者が作成した「治療と仕事の両立支援カード」が、事業者の確認を経て医療機関に提供された場合も算定可能となります。この両立支援カードは、患者自身が病状や就労上の希望を記載するツールです。事業者の確認のみで足りるため、共同作成に比べて手続きの負担が軽減されます。
対象疾患の定めの廃止
対象疾患の定めが廃止され、算定対象が大幅に拡大されます。現行では7区分に限定されていた対象が、就業継続への配慮が必要な入院中以外の患者へと広がります。
現行制度の対象疾患は、悪性新生物、脳血管疾患、肝疾患(慢性)、心疾患、糖尿病、若年性認知症、指定難病等の7区分に限定されています。これらの疾患に該当しない患者は、就業継続に配慮が必要であっても算定対象とはなりません。疾患の限定は、両立支援を必要とする多様な患者を制度から排除する要因となっていました。
改定後は、疾患の増悪防止等のための反復継続した治療が必要な入院中の患者以外の患者であって、就業の継続に配慮が必要なものが算定対象となります。本指導料は外来患者を対象とした評価であるため、入院中の患者は引き続き対象外です。疾患名による制限が撤廃されるため、対象範囲はこれまでより広くなり、従来の7区分に含まれなかった疾患の外来患者にも、両立支援指導の機会が拓かれます。
算定可能期間の延長と評価の引き上げ
算定可能期間が6月に延長され、点数も全体的に引き上げられます。この見直しは、両立支援指導が3月を超えて継続されている実態を踏まえたものです。
算定可能期間は、現行の3月から改定後の6月へと延長されます。2回目以降の指導について、現行では1を算定した日の属する月またはその翌月から起算して3月が限度となっています。改定後は、同じ起算点から6月までが限度となり、より長期にわたる継続的な支援が評価対象になります。
評価の引き上げは、初回・2回目以降・相談支援加算・情報通信機器使用時のすべての項目で行われます。初回は800点から850点へ、2回目以降は400点から500点へ引き上げられます。相談支援加算は50点から400点へと大幅に増点されます。情報通信機器を用いた場合は、初回696点から740点へ、2回目以降348点から435点へとそれぞれ引き上げられます。
まとめ
令和8年度改定では、療養・就労両立支援指導料が4つの観点から見直されます。第1に、勤務情報の提供方法に「治療と仕事の両立支援カード」が追加されます。第2に、対象疾患の定めが廃止され、入院中の患者以外の算定対象が拡大されます。第3に、2回目以降の算定可能期間が3月から6月に延長されます。第4に、初回・2回目以降の点数および相談支援加算が引き上げられます。これらの見直しにより、治療と仕事の両立支援がさらに推進される改定となっています。










