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【2026年度改定】残薬対策の3つの論点|処方箋様式・訪問看護・薬局連携を徹底解説
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【2026年度改定】残薬対策の3つの論点|処方箋様式・訪問看護・薬局連携を徹底解説

第637回中医協総会で議論された処方箋様式見直しと多職種連携の方向性を詳しく解説します

令和7年12月19日に開催された第637回中央社会保険医療協議会総会において、残薬対策が議題として取り上げられました。医療費適正化基本方針では、残薬、重複投薬、不適切な多剤投与を減らす取組が重要施策として位置づけられています。本稿では、2026年度診療報酬改定に向けて中医協で示された残薬対策の現状と課題、今後の論点について解説します。

中医協は残薬対策について3つの観点から検討を行いました。第一に、地域包括診療料等の算定患者への処方のあり方と電子処方箋の活用による「残薬の発生抑制」です。第二に、薬局薬剤師による残薬確認の実効性向上と訪問看護での情報提供に関する「残薬の確認」です。第三に、処方箋様式の見直しによる医師と薬局の連携強化を通じた「残薬の解消」です。

残薬対策の基本的枠組みと診療報酬上の評価

残薬への対応は「発生の抑制」「残薬の確認」「残薬の解消」という3つの観点から、それぞれ報酬上の対応が図られています。基盤となる仕組みとして、かかりつけ医機能、かかりつけ薬剤師制度、電子処方箋・オンライン資格確認、お薬手帳の活用などが整備されています。

発生抑制に関する評価として、医科では薬剤総合評価調整管理料、地域包括診療料、薬剤適正使用連携加算などがあります。調剤では、かかりつけ薬剤師指導料、外来服薬支援料1、服用薬剤調整支援料などが設けられています。これらの評価は、ポリファーマシー対策や医療DX推進体制整備加算と連動しています。

残薬確認に関する評価として、調剤では重複投薬・相互作用等防止加算(残薬調整以外40点、残薬調整20点)があります。在宅では在宅患者訪問薬剤指導料、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料、在宅移行初期管理料などが算定可能です。外来服薬支援料1は、ブラウンバッグ運動による節薬バッグの取組を評価しています。

残薬対策の現状と課題

かかりつけ薬剤師が患者から受ける相談の約6割は残薬に関するものです。薬剤師が残薬調整に対応するきっかけとして最も多いのは「患者とのやりとり」であり、患者との継続的な関わりや服薬の一元的管理が重要な役割を果たしています。医療機関においても、薬局から情報提供される情報のうち「残薬状況」は「服用状況」に次いでニーズが高い情報です。

残薬調整を薬局で実施する際の問題点として、「患者が全ての薬剤を持参しない」ことを挙げる薬剤師が半数を超えています。このため、在宅患者訪問薬剤管理指導料等が算定できない患者に対して、薬剤師が患家を訪問して残薬整理を行っている事例もあります。残薬確認の時間や一包化の手間、複数薬局利用時の情報共有など、現場では多くの課題を抱えています。

地域包括診療加算の算定患者は処方薬剤種類数が多い傾向があります。また、薬剤適正使用連携加算は現在、入院・入所患者のみが対象であり、他院にも通院する外来患者への情報提供は対象外となっています。訪問看護の事業の人員及び運営基準においては、服薬状況(残薬状況)の情報提供について明記されていない点も課題として挙げられています。

中医協で示された3つの論点

中医協では残薬対策について、3つの観点から論点が示されました。

残薬の発生抑制に関する論点として、地域包括診療料・加算や在宅時医学総合管理料等について、診療の際に患家における残薬を確認した上で適切な服薬指導を行うことの評価が検討されています。また、地域包括診療料・加算の算定患者に対する処方のあり方について、電子処方箋管理サービスの活用や、外来患者への薬剤適正使用連携加算の拡大が議論されています。

残薬の確認に関する論点として、薬局薬剤師による外来患者に対する残薬確認の実効性を高める観点から、残薬状況を薬剤服用歴に明記して継続的に管理すること、患者や家族の求めに応じて患家訪問し残薬確認を行うことの評価が検討されています。また、指定訪問看護の実施時等に、居宅において残薬を発見した際の医師や薬剤師への情報提供のあり方も論点となっています。

残薬解消に関する論点として、処方箋様式の見直しが検討されています。現在、一部の医療機関では処方箋の備考欄に「残薬調整後報告可」と記載し、薬局との連携により残薬調整に取り組んでいる事例があります。こうした取組を踏まえ、医師が事前に薬局で残薬を確認した際の取扱いについて円滑に指示を行うことができるよう、処方箋様式を見直すことが議論されています。

まとめ

中医協第637回総会では、残薬対策について「発生抑制」「確認」「解消」の3つの観点から包括的な検討が行われました。地域包括診療料等の算定患者への残薬確認と服薬指導、薬局薬剤師による継続的な残薬管理と患家訪問の評価、訪問看護における情報提供の明確化、処方箋様式の見直しによる医師・薬局連携の強化が、2026年度診療報酬改定における主要な論点となります。医療機関、薬局、訪問看護ステーションなど、各医療従事者は今後の議論の動向を注視し、残薬対策への取組を強化していくことが求められます。

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