岡大徳のメルマガ
岡大徳のポッドキャスト
【令和8年度改定】入退院支援加算等の見直し7つのポイントを徹底解説
0:00
-5:39

【令和8年度改定】入退院支援加算等の見直し7つのポイントを徹底解説

地域包括医療病棟等の点数新設、退院困難な要因の追加、面会制限の見直しまで全体像を解説します

令和8年度診療報酬改定では、入退院支援において「関係機関との連携」「生活に配慮した支援」「入院前からの支援」を強化する観点から、入退院支援加算等の評価や要件が見直されます。この見直しは、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と、地域包括ケアシステムの推進を目的とする「円滑な入退院の実現」の一環です。

今回の見直しは、大きく7つの項目で構成されます。第1に、地域包括医療病棟等における入退院支援加算1の点数が新設・引上げされます。第2に、地域連携診療計画加算に検査・画像情報提供の加算(200点)が新設されます。第3に、介護保険施設等への誘導による金品収受の禁止が施設基準に追加されます。第4に、退院困難な要因が拡大されます。第5に、入院患者への面会に関する規定が新設されます。第6に、入退院支援加算と精神科入退院支援加算の専従職員の兼務が明記されます。第7に、医療保護入院等診療料に多職種退院支援の評価が新設されます。

地域包括医療病棟等における入退院支援加算1の点数新設

入退院支援加算1に、地域包括医療病棟入院料・回復期リハビリテーション病棟入院料・地域包括ケア病棟入院料を対象とした新たな点数区分が設けられます。

従来、入退院支援加算1の点数は「一般病棟入院基本料等の場合(700点)」と「療養病棟入院基本料等の場合(1,300点)」の2区分でした。今回の改定では、この2区分の間に「地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料の場合(1,000点)」が新設されます。

この新設の背景には、これらの病棟に入院する高齢患者の特性があります。地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟では、「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要」といった、特に人手や時間を要する患者の割合が多い傾向にあります。こうした入退院支援の負担を適切に評価するため、一般病棟よりも高い1,000点の点数が設定されました。

地域連携診療計画加算における検査・画像情報提供加算の新設

地域連携診療計画加算を算定する患者について、検査・画像情報を添付して情報提供を行った場合に200点が加算されます。

具体的には、入退院支援加算の注5として新たな規定が設けられます。地域連携診療計画加算(注4)を算定する患者について、患者の同意を得た上で、退院後の治療計画・検査結果・画像診断に係る画像情報等を添付して、別の保険医療機関、精神障害者施設、介護老人保健施設または介護医療院に情報提供した場合に、200点が加算されます。

この加算が新設された理由は、従来の制度上の課題にあります。地域連携診療計画加算を算定する場合、退院時診療状況添付加算や検査・画像情報提供加算との併算定ができませんでした。そのため、検査結果や画像情報に係る加算が算定できず、情報提供のインセンティブが十分でなかったのです。今回の新設により、地域で必要な情報が適切に連携され、質の高い診療が継続されることが期待されます。

介護保険施設等への誘導による金品収受禁止の施設基準への追加

入退院支援加算の施設基準に、退院患者を特定の介護保険施設等へ誘導して金品等を収受していないことが追加されます。

この規定は、入退院支援加算1・2・3のすべてに適用されます。具体的には、「退院患者を特定の介護保険施設等へ誘導することによって、当該介護施設等から金品その他の財産上の利益を収受していないこと」が施設基準として明記されます。

この規定の趣旨は、患者本位の入退院支援の実現にあります。退院先となる介護施設等から金品を受け取ることは、患者にとって最適な退院先の選定を妨げるおそれがあります。そのため、金品収受の禁止を施設基準として明確に位置づけることで、公正な退院支援の確保が図られます。

退院困難な要因の拡大

入退院支援加算の算定対象となる患者の「退院困難な要因」に、2つの項目が追加されます。

1つ目は、要介護認定の区分変更に関する要因の拡大です。従来は「要介護認定が未申請」または「要支援認定が未申請」のみが対象でした。改定後は、これに加えて「現に認定を受けているが、認定を受けている要介護状態区分もしくは要支援状態区分以外の区分に該当する疑いがあるが変更の申請がされていないこと」も対象となります。この拡大により、入院によって状態が変化し、現在の要介護度が実態と合わなくなった患者も退院困難な要因として抽出できるようになります。

2つ目は、家族との連絡困難に関する新たな要因です。「患者の意思決定支援及び退院後の生活に向けた調整を行うにあたって、家族及び親族との連絡が困難であること」が、退院困難な要因として新たに追加されます(タ号)。身寄りがない、または家族との関係が途絶えている患者の退院支援には、通常以上の調整が必要です。この追加により、こうした患者を早期に抽出し、適切な支援につなげることが可能になります。

入院患者への面会に関する規定の新設

入院基本料等の通則および入退院支援加算の施設基準に、入院中の患者への家族等による面会を妨げないよう求める規定が新設されます。

入院基本料等の通則では、「感染対策等の正当な理由なく面会を妨げないよう、面会に係る規定を策定する等の配慮をすることが望ましい」とする努力規定が設けられます。

入退院支援加算の施設基準では、より具体的な規定が設けられます。面会は患者の療養生活の質の向上や尊厳の保持に資するだけでなく、円滑な退院支援を行う上でも重要であるとされています。そのため、感染対策等の正当な理由なく面会を妨げてはならないこと、やむを得ず面会を制限する場合でも必要以上に厳格にならないよう配慮すること、面会に関する規定を策定して定期的に見直すこと、患者や家族に規定内容を十分に周知すること、が求められます。この規定は、入退院支援加算1・2・3のすべてに適用されます。

入退院支援加算と精神科入退院支援加算の専従職員の兼務明記

入退院支援加算と精神科入退院支援加算の双方を届け出る場合、同一の入退院支援部門であれば、専従職員が双方の業務を兼務できることが明記されます。

具体的には、精神科入退院支援加算の施設基準において、以下の2点が追加されます。第1に、入退院支援加算および精神科入退院支援加算の入退院支援部門の専従または専任の看護師は、双方を兼務できます。第2に、入退院支援部門に専従または専任の精神保健福祉士が社会福祉士の資格も持つ場合、入退院支援加算に係る専従または専任の社会福祉士を兼務できます。

この明記により、限られた人員で両方の加算を効率的に運営できるようになります。従来は兼務の可否が明確でなかったため、人員確保が課題となっていた医療機関にとって、実務上の大きな改善となります。

医療保護入院等診療料における多職種退院支援の評価の新設

医療保護入院等診療料に、多職種による退院支援を評価する「医療保護入院等診療料2(400点)」が新設されます。

従来の医療保護入院等診療料は、精神保健指定医が治療計画を策定し治療管理を行った場合に、患者1人につき1回のみ300点を算定する仕組みでした。改定後は、従来の評価が「医療保護入院等診療料1(300点)」として位置づけられます。

新設される医療保護入院等診療料2(400点)は、医療保護入院等診療料1を算定した患者に対して、多職種で退院支援を行った場合に算定できます。算定の頻度は、入院日から6月までの間は3月に1回、6月以降は6月に1回です。この新設により、医療保護入院患者に対する継続的かつ多職種による退院支援が、診療報酬上で適切に評価されるようになります。

まとめ

令和8年度診療報酬改定における入退院支援加算等の見直しは、7つの項目から構成されます。地域包括医療病棟等の点数新設(1,000点)により、包括期病棟における入退院支援の負担が適切に評価されます。地域連携診療計画加算への検査・画像情報提供加算(200点)の新設により、退院時の情報連携が促進されます。金品収受禁止の施設基準への追加により、公正な退院支援が確保されます。退院困難な要因の拡大により、支援が必要な患者をより幅広く抽出できます。面会に関する規定の新設により、患者の療養生活の質と退院支援の円滑化が図られます。専従職員の兼務の明記により、人員配置の効率化が可能になります。医療保護入院等診療料2の新設により、精神科における多職種退院支援が適切に評価されます。各医療機関は、これらの改定内容を踏まえ、施設基準や算定要件への対応を計画的に進める必要があります。

Discussion about this episode

User's avatar

Ready for more?