令和8年度診療報酬改定では、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定要件と施設基準が大幅に見直されます。令和6年度に新設されたこの加算は、届出率がわずか9%にとどまっていました。今回の改定は、届出のハードルを下げつつ、取組の質に応じた段階的な評価を実現することを目的としています。
今回の改定のポイントは3つあります。第一に、現行の体制加算(120点)が加算1(150点)と加算2(90点)の2段階に再編されます。第二に、加算2では土日祝日のリハ提供量とADL低下割合の基準が緩和され、より多くの医療機関が届出可能になります。第三に、地域包括ケア病棟にもリハビリテーション・栄養・口腔連携加算(30点)が新設されます。
改定の背景:届出率9%の壁
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、令和6年度改定で急性期病棟向けに新設された加算です。この加算は、入院患者のADL維持・向上を目的に、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理を多職種で一体的に実施する取組を評価するものです。算定期間は、計画作成日から起算して14日間を限度としています。
この加算の届出率は、令和6年度の実態調査で9.0%にとどまりました。届出できない理由として最も多かったのは、「常勤専従の理学療法士等を2名以上配置することが困難」(56.3%)でした。次いで、「土日祝日のリハビリテーション提供単位数が平日の8割以上を満たさない」(53.9%)が挙げられています。
一方で、加算を届け出ている施設では、ADLが低下する患者の割合が3%未満という基準を満たしていました。加算を算定していない施設では、ADL低下割合が4%以上5%未満にピークがみられます。このデータは、一体的な取組がADL維持に効果をもたらすことを示しています。
ポイント1:加算1(150点)と加算2(90点)の2段階再編
今回の改定では、現行のリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(120点)が2段階に再編されます。加算1は1日につき150点、新設される加算2は1日につき90点です。対象病棟には、新たに急性期病院一般入院基本料が追加されます。
加算1の施設基準は、現行の体制加算とほぼ同等です。「ADL等の維持、向上、及び栄養管理等に資する十分な体制」の整備が求められます。プロセス・アウトカム評価の要件も現行どおり、早期リハ実施割合8割以上、土日祝日のリハ提供量が平日の8割以上、ADL低下割合3%未満、褥瘡保有割合2.5%未満の4項目すべてを満たす必要があります。
加算1ではこのほか、BI研修に関する記載が見直されました。現行では「BIの測定に関する研修会を年1回以上開催すること」とされていましたが、改定後は「併せてFIM(機能的自立度評価法)の測定に関する内容も含むことが望ましい」と追記されています。
ポイント2:加算2の新設による一部要件の緩和
加算2は、加算1よりも取得しやすい施設基準が設定されています。加算2の施設基準は、「ADL等の維持、向上、及び栄養管理等に資する必要な体制」の整備を求めるものです。加算1の「十分な体制」に対して、加算2は「必要な体制」とされており、体制整備のハードルが引き下げられています。
加算2のプロセス・アウトカム評価は、加算1の4項目のうち2項目の基準値が緩和されます。具体的な比較は次のとおりです。
早期リハ実施割合は、加算1・加算2ともに8割以上で変わりません。土日祝日のリハ提供量は、加算1の「平日の8割以上」に対し、加算2では「平日の7割以上」に引き下げられます。ADL低下割合は、加算1の「3%未満」に対し、加算2では「5%未満」に緩和されます。褥瘡保有割合は、加算1・加算2ともに2.5%未満で変わりません。
つまり、加算2で緩和されるのは、土日祝日のリハ提供量とADL低下割合の2項目です。届出率を下げていた最大の要因である「土日祝日のリハ提供量が平日の8割以上を満たさない」(53.9%の施設が該当)に対して、7割への引き下げは一定の効果が期待できます。
加算2の人員配置基準は、加算1と同じです。専従の常勤理学療法士等が2名以上(うち1名は専任でも可)、専任の常勤管理栄養士が1名以上必要です。ただし、加算2の専従理学療法士等は、排尿自立支援加算、精神科リエゾンチーム加算、摂食嚥下機能回復体制加算における理学療法士等の業務との兼務が認められています。この兼務規定も、人員確保のハードルを下げる措置のひとつです。
ポイント3:地域包括ケア病棟への連携加算の新設
地域包括ケア病棟においても、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算(30点/日)が新設されます。この加算の算定期間は、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日間です。地域包括ケア病棟では、これまで管理栄養士の配置基準がなく、栄養管理に係る加算は包括されていました。今回の新設は、地域包括ケア病棟における一体的な取組を推進する狙いがあります。
地域包括ケア病棟の連携加算には、独自の施設基準が設定されます。専任の常勤管理栄養士1名以上の配置、リハビリテーション医療に関する3年以上の経験を有し所定の研修を修了した常勤医師1名以上の配置が必要です。プロセス・アウトカム評価としては、入棟後3日までの疾患別リハ実施割合6割以上、土日祝日のリハ提供量が平日の7割以上、褥瘡保有割合2.5%未満の3項目を満たすことが求められます。
この加算を算定する患者については、入院栄養食事指導料と栄養情報連携料も算定可能となります。地域包括ケア病棟の包括範囲から、これらの管理料が除外されるためです。この見直しにより、管理栄養士による個別の栄養指導と退院時の栄養情報連携が、経済的にも評価されることになります。
まとめ
令和8年度改定では、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算が加算1(150点)と加算2(90点)の2段階に再編されます。加算2では、土日祝日のリハ提供量(8割→7割)とADL低下割合(3%→5%)の基準が緩和され、届出率9%という現状の改善が期待されます。さらに、地域包括ケア病棟にも30点の連携加算が新設され、入院栄養食事指導料等の算定が可能になります。急性期から包括期にわたるリハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組が、今後より幅広い病棟で進むことが見込まれます。










