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【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説
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【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説

生成AIの導入が必須要件に。業務範囲の明確化と合わせて、押さえるべき施設基準の変更点を詳しく解説します

令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革とICT活用の推進を背景に、医師事務作業補助体制加算の施設基準が見直されます。生成AIやRPAなどのICT機器を組織的に導入した医療機関では、医師事務作業補助者の人員配置基準が柔軟化されます。あわせて、医師事務作業補助者が実施できる業務範囲も明確化されます。

今回の見直しのポイントは3つです。第1に、生成AIを含むICT機器の活用により、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。第2に、文書作成補助や代行入力など、医師事務作業補助者の業務範囲が具体的に明示されます。第3に、ICT活用による配置基準の柔軟化を届け出る場合は、導入前後の効果を年1回評価する義務が課されます。

ICT活用による配置人数の算入方法

今回の改定の最大の変更点は、ICT機器を活用する医療機関において、医師事務作業補助者の配置人数を割り増しで算入できる仕組みが新設されることです。この仕組みでは、活用するICT機器の種類と範囲に応じて、1人あたり1.2人または1.3人として算入できます。

1.2人換算が認められるには、以下のアからエまでの4つの要件をすべて満たす必要があります。アの要件は、生成AIを活用した文書作成補助システム(①)を含むICT機器を組織的に導入し、大半の医師と医師事務作業補助者が日常的に活用することで、業務の効率化が顕著に図られていることです。この生成AIシステムは、退院時要約・診断書・紹介状等の原案作成を自動的に行い、業務を大幅に効率化するものでなければなりません。イの要件は、電子カルテ等と連動するICT機器について、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に準拠していることです。ウの要件は、生成AI等を用いる製品・サービスについて、「AI事業者ガイドライン」が遵守されていることです。エの要件は、すべての医師事務作業補助者にICT機器の操作方法と生成AIの適切な利用に関する研修を実施し、常時ICT機器を用いて業務を遂行できる体制を整備していることです。

1.3人換算は、上記の生成AIシステムに加えて、さらに別のICT機器を広く活用している場合に認められます。追加で活用するICT機器には、医療文書用の音声入力システム(汎用音声入力機能を除く)、RPAによる定型入力作業の自動化、10種類以上の患者向け説明動画の3種類があります。これら3種類のうち、少なくとも1種類以上を広く活用していれば、1.3人換算が可能です。

届出と運用に関する要件

ICT活用による配置基準の柔軟化を届け出るには、前述のアからエの要件に加え、実績要件と効果評価の義務を満たす必要があります。

実績要件として、新たに届け出る場合は、直近3か月以上にわたり、ICT活用なしの配置基準で当該配置区分またはそれを上回る配置区分を算定し続けていることが求められます。つまり、まず従来の基準で実績を積んだうえで、ICT活用による柔軟化を届け出る流れになります。

効果評価の義務として、年1回程度の定量的または定性的な評価の実施が求められます。具体的には、ICT機器の導入前後における医師事務作業補助者の業務内容・業務量・業務時間、および医師の事務作業時間・負担感等を評価します。この評価結果は、衛生委員会等で確認し、必要に応じて対策を講じなければなりません。

業務範囲の明確化

今回の改定では、医師事務作業補助者が実施できる業務の範囲がより具体的に明示されました。この明確化は、現場での業務運用を円滑にすることを目的としています。

文書作成補助の範囲は、従来の「診断書等の文書作成補助」から具体的な文書名が列挙されました。改定後は、診断書・診療情報提供書・返信・診療サマリー・診療計画書等の文書作成補助と明記されています。

代行入力の範囲も、従来の「診療記録への代行入力」から詳細に記載されました。改定後は、診療記録・検査オーダー・食事オーダー・クリニカルパス・地域連携パスへの代行入力と具体的に示されています。

そのほかの業務でも記載が充実しています。患者・家族への説明文書の準備・作成が新たに明記されたほか、診療録・画像検査結果等の整理、院内がん登録等の統計・調査・入力作業といった業務も具体的に示されました。

常勤要件の変更

配置基準の柔軟化とあわせて、医師事務作業補助者の常勤要件にも小幅な変更があります。従来は常勤職員の定義が「週32時間以上」でしたが、改定後は「週31時間以上」に緩和されました。

この変更に関連して、常勤換算の計算方法も改定案で明記されています。常勤換算の際は、「当該保険医療機関における常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)」の勤務をもって常勤1名として換算します。週31時間への緩和は常勤職員の定義に関するものであり、常勤換算の基準時間とは区別して理解する必要があります。

まとめ

令和8年度改定では、医師事務作業補助体制加算に3つの重要な変更が加わります。第1に、生成AIを含むICT機器の組織的活用により、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。第2に、文書作成補助や代行入力の業務範囲が具体的に明確化されます。第3に、ICT活用による柔軟化を届け出る場合は、年1回の効果評価が義務づけられます。生成AIの導入が必須要件となっている点は、今後の医療機関のICT投資計画に大きく影響するため、早めの検討をおすすめします。

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