会話型AIの進化により、単なる質問応答だけでなく「報告・連絡・相談」ができる問い合わせ対応AIの実現が可能になりました。しかし、AIに「報連相」を実装する具体的な方法はまだ広く知られていません。先日開催されたGPT会話AI構築実践セミナー第16弾では、この課題に焦点を当て、miiboとMCP (Model Context Protocol) を活用した実践的な構築方法を紹介しました。
MCPを活用することで、AIが状況に応じて自律的に外部ツールと連携し、報告・連絡・相談を実行できるようになります。株式会社miiboの功刀氏と株式会社こころみの森山氏によるデモでは、知識データにない質問を受けた場合のSlack連携や、クレーム対応の引き継ぎ、問い合わせ完了時のレポート作成などの具体例が示されました。この新機能はまだベータ版であり、設計側の慎重な検証が必要ですが、AI活用の可能性を大きく広げる重要な一歩となります。
MCPとは何か - AIに外部ツール連携の自律性をもたらす新技術
MCPとは、Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル)の略であり、AIモデルと外部ツールを簡単に接続するための新しい仕組みです。従来の連携方法では、それぞれのAPIに応じた複雑な設定が必要でしたが、MCPを使えば自然言語での指示だけで外部連携が可能になります。
MCPの最大の特徴は、状況に応じてAIが自律的に判断し、必要な外部ツールを呼び出せる点です。例えば、ユーザーの質問に対して知識データベースに情報がない場合、AIが自発的にSlackへメッセージを送信し、社内への情報追加を依頼できます。また、クレーム対応が必要と判断した場合には、担当者への引き継ぎメッセージを自動送信するといった連携も可能です。
miiboでは、ZapierのMCP機能を活用することで、8,000以上のアプリケーションとの連携が容易になっています。Google ドキュメント、Slack、Gmail、Googleカレンダーなど、業務でよく使われるツールとシームレスに接続できるため、AIの活用範囲が飛躍的に広がります。
miiboの最新アップデート - より使いやすく進化する会話型AI構築プラットフォーム
miiboは、LLMを活用したAIアプリケーションを、エンジニアでなくてもノーコードで構築できるBackend as a Serviceです。会話型AI構築に必要なプロンプト設計、ナレッジの付与、UI連携、ログ分析などの機能をフルセットで提供しています。
最新のアップデートとして、5月1日にはUI(管理画面)のリニューアルがベータ版としてリリースされました。100以上ある機能を整理し、より直感的に操作できるようになった新UIは、「新しい画面を試す」ボタンから利用可能です。
また、新たに「miibo Agent Hub」というサービスも開発されています。このツールでは、miiboで作成した複数のAIエージェントがチームを組み、自律的に協働することができます。いわゆるA2A(Agent to Agent)のアプローチにより、AIエージェント同士が議論しながら高度な問題解決を行う環境が構築できます。
さらに、データベース連携機能によるText to SQLの実装など、AIを活用した業務効率化のための機能も充実しています。ユーザーは自然言語で質問するだけで、AIが裏側でSQLを発行し、データベースを検索・分析して回答を返すといった高度な活用も可能になっています。
「報連相」ができる問い合わせ対応AIの意義と実装例
ビジネス現場で「報告・連絡・相談」は基本的なコミュニケーションスキルとして重視されています。問い合わせ対応においても、単にユーザーの質問に答えるだけでなく、適切な報連相ができると業務効率が大幅に向上します。
従来の問い合わせ対応AIでは、ユーザーとの会話に焦点が当てられ、社内連携は人手を介して行われていました。しかし、MCPとmiiboを組み合わせることで、AIが状況を判断して自律的に報連相を行えるようになります。
具体的なユースケースとして:
報告: 問い合わせ対応が完了した際、その内容を自動的にGoogleドキュメントにまとめて報告する機能
連絡: ナレッジデータベースにない質問を受けた場合、Slackチャンネルに内容を連絡し、知識の追加を依頼する機能
相談: クレームなど対応が難しい問い合わせを受けた場合、担当者にSlackで状況を共有し、対応の引き継ぎを相談する機能
セミナーのデモでは、これらの機能を実際に動作させ、AIが自律的に外部ツールと連携して報連相を行う様子が示されました。例えば、「アラブ首長国連邦でも作れますか?」という知識データベースにない質問に対して、AIが自動的にSlackに情報を送信し、「この質問への回答がナレッジデータにないため、追加をお願いします」と伝えるといった連携が実現できています。
MCPの実装と活用のポイント
MCPとmiiboを組み合わせた「報連相AI」の実装方法と注意点については、セミナー動画で詳しく解説されています。実際のデモを通して、MCPの設定から外部ツールとの連携、プロンプト設計のポイントまで確認することができます。
特に注目すべきは、AIの判断を制御するためのプロンプト設計の重要性と、複数のツールと連携する際の検証プロセスです。森山氏は「AIの能力の前に、設計側の能力が問われる」と指摘しており、効果的なMCP連携のためには慎重な設計と検証が不可欠であることを強調しています。
実際の実装方法や詳細な手順については、YouTubeで公開されているセミナー動画をご覧ください。動画では、miiboとZapier MCPを使った具体的な設定方法や、デモを通じた実践的な活用例が紹介されています。
YouTube: GPT会話AI構築実践セミナー第16弾 ~MCP x miiboで作る報連相ができる問い合わせ対応AI~
miibo×MCPで広がる会話型AIの可能性
MCP (Model Context Protocol) とmiiboの連携により、AIが自律的に判断して外部ツールと連携する「報連相」機能を持った問い合わせ対応AIが実現可能になりました。ナレッジデータベースにない質問への対応、クレーム時の引き継ぎ、問い合わせ完了時のレポート作成など、これまで人手を介していた業務をAIが自律的に行えるようになります。
この技術はまだ発展途上であり、設計者側の慎重な検証が必要ですが、会話型AIの可能性を大きく広げる重要な一歩です。miibo公式サイトやDiscordコミュニティでは、随時最新情報が提供されているので、ぜひ確認してみてください。詳しい実装方法や具体的な事例については、セミナー動画を参照していただくことで、より深く理解することができるでしょう。
AI開発に興味のある方は、ぜひmiiboとMCPを組み合わせた「報連相AI」の可能性を探ってみてください。そして、具体的な構築方法については、ぜひセミナー動画をご覧いただき、実践の参考にしていただければと思います。
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