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miiboマルチエージェントで実現する業務革新〜専門特化型AIチーム構築の実践ガイド
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miiboマルチエージェントで実現する業務革新〜専門特化型AIチーム構築の実践ガイド

カスタマーサポートの実例で学ぶ、複数AIエージェントの役割分担と協働の仕組み
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2025年8月5日に開催されたAIエージェント構築セミナー第21弾では、単体AIの限界を突破するマルチエージェント技術の実用化について解説されました。miibo Agent Hubを活用することで、複数のAIエージェントが役割分担しながら協働する「専門特化型AIチーム」をノーコードで構築できるようになりました。本セミナーでは、カスタマーサポートの実例を通じて、マルチエージェントの構築から運用までの実践的なノウハウが紹介されました。

セミナーの前半では、株式会社miibo代表の功刀氏がマルチエージェントの必要性と仕組みを説明しました。後半では、miiboパートナーである株式会社こころみの森山氏が、実際のカスタマーサポート業務での活用事例をデモンストレーションで示しました。参加者からは、エージェントの最適な数や業務への組み込み方法について活発な質問が寄せられ、マルチエージェント技術への高い関心が示されました。

単体AIの限界とマルチエージェントが解決する課題

単体のAIによる業務改善には、構造的な限界があることが明らかになってきました。ChatGPTで業務改善を試みても期待した効果が得られない、RAG検索の精度が低い、データ分析AIの結果が信頼できないといった課題が頻発しています。これらの問題の根本原因は、単体のAIでは複雑な業務プロセスに対応しきれないことにあります。

マルチエージェントは、複数のAIエージェントが役割分担することで、これらの課題を解決します。例えば、お問い合わせ対応では、FAQ検索を担当するAI、ログ解析を行うAI、感情分析を行うAI、回答作成を行うAIがそれぞれ専門的な処理を担当します。各エージェントが得意分野に特化することで、単体AIでは実現できなかった高精度な応答が可能になります。

技術的な進化も、マルチエージェントの実用化を後押ししています。リーズニングモデルをはじめとするLLMの進化、GoogleのAgent-to-Agent(A2A)プロトコル、Anthropic社のModel Context Protocol(MCP)などの技術により、AIエージェント同士の連携が現実的になりました。miiboは既にMCPに対応しており、今後A2Aプロトコルにも準拠する予定です。

miibo Agent Hubの機能と操作方法

miibo Agent Hubは、作成したAIエージェントを管理し、グループ化して協働させるプラットフォームです。エージェントの作成から、グループの組成、実行まで、すべてノーコードで実現できます。画面上でエージェントを選択し、グループの目的とプロセスを自然言語で記述するだけで、マルチエージェントシステムが構築できます。

汎用的なエージェントは、あらかじめテンプレートとして用意されています。Web検索エージェント、推論モデル、批判特化エージェントなど、特定の役割に特化したエージェントをインストールして、すぐに利用開始できます。これらのエージェントを組み合わせることで、様々な業務に対応するチームを構築できます。

作成したエージェントグループは、テンプレート化して再利用できます。また、API経由でのアクセスも可能で、業務システムとの連携や自動化が実現できます。バックグラウンド実行機能により、画面を開かなくても裏側で処理を進めることも可能です。

4つの実用ユースケースと活用事例

マルチエージェントの実用的なユースケースとして、4つの領域が特に有効であることが示されました。第一に、ナレッジ検索では、推論エージェントがクエリを生成し、検索用エージェントが検索を行い、最終的に推論エージェントが回答を生成するという役割分担により、単体AIの1回のやり取りでは引き出せない情報を多角的に取得できます。

第二に、データ分析では、分析の設計をするAI、データを取得するAI、ビジネス解釈AI、レポート執筆AIなど、複数の役割を持つAIを組み合わせることで、多角的な分析が可能になります。miibo社では実際に、社内向けの分析レポートや新聞を自動生成しており、大きな成果を上げています。

第三に、議論のユースケースでは、CEO、CFO、CMO、CTOを模したAIエージェントが経営会議をシミュレーションします。異なる視点を持つAIエージェント同士が議論することで、単一の視点では得られない深い洞察が得られます。

第四に、ワークフローの自動化では、従来のツリー状のワークフローと異なり、自然言語で柔軟な指示を出せるため、例外処理や変更に強いワークフローを構築できます。プロセスを自然言語で定義し、完了条件と制約条件を記述するだけで、柔軟なワークフローが実現できます。

カスタマーサポートでの実践的な構築方法

専門特化型AIチームの構築には、4つの主要なステップがあります。第一に、必要となる情報ソースを特定します。カスタマーサポートの例では、マニュアル・FAQ、ユーザーステータス、操作ログ、問い合わせ履歴、購入履歴などが必要になります。

第二に、判断事項を検討します。論理的な解決(正確な情報提供)、共感的な解決(感情への対応)、コンプライアンス遵守など、複数の観点から判断基準を設定します。これらの観点を一つのAIに詰め込むのではなく、それぞれ専門のAIに担当させることが重要です。

第三に、必要なエージェントを定義します。カスタマーサポートの例では、問い合わせ理解・FAQ検索AI、ログ解析AI、問い合わせ履歴把握・感情分析AI、回答案作成・エスカレーション判断AIの4体を組み合わせました。各エージェントには、目的、主な役割、チェックすべき観点を明確に指示するプロンプトを設定します。

第四に、チームとして組成します。miibo Agent Hubで各エージェントを選択し、グループの目的とプロセスを自然言語で記述します。実際のデモでは、「ログインできません。何度も試してたらロックされました」という問い合わせに対して、4体のエージェントが連携して適切な回答案を作成する様子が示されました。

まとめ

マルチエージェント技術は、単体AIの限界を突破し、複雑な業務課題を解決する実用的なソリューションとして確立されつつあります。miibo Agent Hubを活用することで、プログラミング不要で専門特化型AIチームを構築でき、カスタマーサポート、データ分析、経営会議シミュレーション、ワークフロー自動化など、様々な業務に適用できます。エージェントの最適な数は3〜4体程度で、多すぎると会話がまとまらなくなることも明らかになりました。今後、マルチエージェント技術の普及により、AIと人間、そしてAI同士が協働する新しい業務の形が実現していくことが期待されます。

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