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【令和8年度改定】精神科地域密着多機能体制加算を新設|最大800点の算定要件を解説
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【令和8年度改定】精神科地域密着多機能体制加算を新設|最大800点の算定要件を解説

精神障害にも対応した地域包括ケアを支える小規模病院・病床削減病院への新評価を整理

精神病床に入院する患者数は、減少を続けています。この減少が続くと、小規模な精神科病院や病床削減に取り組む精神科病院は運営が難しくなり、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(以下「にも包括」)を支える医療機関が地域から失われます。そこで令和8年度診療報酬改定は、小規模医療機関または病床削減に取り組む医療機関を支える新たな評価を設けました。本記事は、この新たな評価である「精神科地域密着多機能体制加算」の内容を、算定要件、施設基準、関連する見直しの順に解説します。

精神科地域密着多機能体制加算は、質の高い入院医療と地域定着支援を一体的に提供する病院を、病床規模と実績に応じて3区分で評価する加算です。第1に、点数は1日につき加算1が800点、加算2が250点、加算3が50点であり、精神病棟入院基本料(10対1、13対1、15対1)または精神科急性期治療病棟入院料を算定する患者が対象となります。第2に、施設基準は全区分共通の「通則」と、区分ごとの個別基準の二層で構成され、個別基準は精神病床の規模と病床削減の進み具合で区分が分かれます。第3に、令和6年度改定で新設された精神科地域包括ケア病棟入院料は、経過措置を設けたうえで廃止されます。

1. 加算の点数と算定要件

精神科地域密着多機能体制加算は、3つの区分に分かれた1日単位の加算です。区分ごとの点数は、加算1が800点、加算2が250点、加算3が50点です。この3区分は、後述する精神病床の規模と病床削減の進み具合によって分かれます。

対象患者は、精神病棟入院料(10対1入院基本料、13対1入院基本料または15対1入院基本料を算定するものに限る)または精神科急性期治療病棟入院料を算定する入院患者です。したがって、18対1や20対1、特別入院基本料を算定する患者は、対象から外れます。

算定要件は、精神科を標榜し、施設基準の届出を行った保険医療機関であることです。この保険医療機関に入院する患者について、届け出た区分に従い、所定点数に加算します。加算の対象となる入院料を現に算定していることが、算定の前提となります。

2. 施設基準の構造と区分ごとの要件

施設基準は、全区分に共通する「通則」と、区分ごとの個別基準の二層で構成されます。この二層構造を理解すれば、自院がどの区分を狙えるかを短時間で判断できます。

通則は、病院全体の規模と体制を問う6項目です。第1に、にも包括の構築に貢献するにつき十分な体制を整備していることが求められます。第2に、許可病床数が350床以下であることが求められます。第3に、許可病床数に占める精神病床の割合が6割5分以上であることが求められます。第4に、常勤の精神保健指定医を2名以上配置していることが求められます。第5に、地域の精神科救急医療体制の確保に協力する体制と実績を有していることが求められます。第6に、退院支援に関する部門を設置していることが求められます。

通則を満たしたうえで、加算1は「精神病床100床以下」の最も小規模な病院を評価します。この区分は、精神病床の平均在院日数が150日以内であること、精神療養病棟入院料または認知症治療病棟入院料を算定する病床の割合が3割以下であること、地域生活に向けた重点的な支援の体制と実績を有すること、入院患者の退院が着実に進んでいることを求めます。多職種配置については、常勤の精神保健福祉士2名以上、常勤の作業療法士1名以上、常勤の公認心理師1名以上を、それぞれ求めます。

加算1と同じ多職種配置を求めつつ、加算2は「精神病床101~150床」または「病床削減を進める151~250床」の病院を評価します。この区分は、精神病床の平均在院日数が150日以内であること、精神療養病棟入院料または認知症治療病棟入院料を算定する病床の割合が3割以下であること、地域生活に向けた重点的な支援の体制と実績を有すること、入院患者の退院が着実に進んでいることを求めます。つまり、平均在院日数と多職種配置を含め、加算1と共通の要件が並びます。加算1と異なるのは、対象となる精神病床の規模と、病床削減の指標です。151床以上250床以下の病院は、届出前月末の精神病床の許可病床数を3年前の年度の1日当たり入院料算定患者数で割った値が0.95以下であること、届出から1年が経過するごとに同様の値が0.95以下であることを求められます。

加算2よりも要件を緩め、加算3は「精神病床250床以下」で病床削減に着手した病院を評価します。この区分は、平均在院日数を250日以内とし、地域生活に向けた重点的な支援についても「適切な」体制と実績で足ります(加算1・2は「十分な」体制と実績)。病床割合の要件も、加算1・2が精神療養病棟入院料と認知症治療病棟入院料の合計で3割以下を求めるのに対し、加算3は精神療養病棟入院料を算定する病床のみが3割以下であれば足ります。多職種配置も、常勤の精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師の合計2名以上で足ります。

一方で加算3は、病床削減について3つの条件を重ねて求めます。第1に、届出前月末の精神病床の許可病床数を3年前の年度の1日当たり入院料算定患者数で割った値が0.97以下であることを求めます。第2に、届出時の精神病床の許可病床数を上回らないことを求めます。第3に、届出から1年が経過するごとに、当該月末の精神病床の許可病床数を3年前の精神病床の許可病床数で割った値が0.95以下であることを求めます。この第3の指標は、加算2が入院料算定患者数を分母とするのに対し、許可病床数を分母とする点で異なります。

3. 精神科地域包括ケア病棟入院料の廃止と経過措置

新たな加算の新設とあわせて、精神科地域包括ケア病棟入院料(1日につき1,535点)は廃止されます。この入院料は令和6年度改定で新設されたものです。中医協の資料「個別事項について(その2)精神医療①」は、届出病棟に限らず院内全体で満たす必要のある施設基準が設定されていること、令和7年10月時点の届出医療機関数が31施設にとどまることを、課題として挙げていました。

廃止に伴い、経過措置が2つ設けられます。算定要件については、令和8年3月31日時点で届出を行っていた病棟が令和8年6月1日までに精神科急性期治療病棟入院料2の届出を行った場合、精神科地域包括ケア病棟入院料の算定期間と通算して180日を限度に、同入院料2のハを算定できます。施設基準については、同じく令和8年3月31日時点の届出病棟に限り、令和8年9月30日までの間、基本診療料の施設基準等の第九の十五の(1)ならびに(3)のイおよびニからヘまでを満たせばよいこととされます。

まとめ:小規模・病床削減の病院を3区分で支える

精神科地域密着多機能体制加算は、にも包括を支える病院を将来にわたって確保するための新たな評価です。点数は1日につき800点、250点、50点の3区分であり、精神病棟入院料(10対1、13対1、15対1)または精神科急性期治療病棟入院料の算定患者が対象となります。施設基準は、350床以下・精神病床6割5分以上などの通則と、病床規模および病床削減の進み具合に応じた個別基準の二層で構成されます。あわせて、精神科地域包括ケア病棟入院料は、経過措置を設けたうえで廃止されます。自院の精神病床数と平均在院日数、多職種の配置状況を確認し、狙える区分を早期に見極めてください。

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