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【令和8年度改定】回復期リハビリテーション病棟入院料の9つの変更点を徹底解説
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【令和8年度改定】回復期リハビリテーション病棟入院料の9つの変更点を徹底解説

強化体制加算の新設、重症患者基準の見直し、実績指数の引き上げなど主要改定項目を網羅的に解説します

令和8年度診療報酬改定では、より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、回復期リハビリテーション病棟入院料等の施設基準と要件が大幅に見直されました。この改定は、回復期リハビリテーション病棟入院料、回復期リハビリテーション入院医療管理料、および特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の3つを対象としています。

今回の改定では、主に9つの変更が行われました。第一に、入院料1を対象とした「回復期リハビリテーション強化体制加算」が新設されました。第二に、重症患者の基準が見直され、高次脳機能障害と脊髄損傷の患者が追加されました。第三に、入院料2と4にも実績指数の基準が新たに設けられました。第四に、FIMによる測定が望ましいとされました。第五に、退院前訪問指導料が出来高で算定可能になりました。第六に、FIM研修会の開催が入院料1~4の要件に拡大されました。第七に、地域支援事業への参加が入院料1~4を対象に拡大されました。第八に、口腔管理の体制整備が入院料3・4でも望ましいとされました。第九に、土曜日・休日のリハビリテーション提供体制が入院料1~4すべてで要件化されました。以下、各変更点と入院料の点数変更を詳しく解説します。

1. 回復期リハビリテーション強化体制加算の新設(80点/日)

入院料1を届け出ている病棟を対象に、回復期リハビリテーション強化体制加算(80点/日)が新設されました。この加算は、質の高いリハビリテーション医療を提供する病棟を評価するものです。

この加算の施設基準は、4つの要件で構成されています。1つ目は、回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準を満たしていることです。2つ目は、リハビリテーション実績指数が48以上であることです。3つ目は、退院前訪問指導について十分な実績を有していることです。4つ目は、排尿自立支援加算の届出を行っている保険医療機関であることです。

この加算の実績指数48以上という基準は、入院料1の実績指数42以上をさらに上回る水準です。排尿自立支援加算については、入院料1の届出病棟での届出率が30.2%にとどまっていた背景があります。加算の算定を目指す医療機関は、実績指数の向上と排尿自立支援加算の届出の両面で準備が必要です。

2. 重症患者の基準の見直し

重症患者の基準について、対象患者の範囲と要件の両面で見直しが行われました。

対象患者の範囲については、従来の日常生活機能評価10点以上またはFIM得点55点以下に加え、高次脳機能障害と診断された患者および脊髄損傷と診断された患者が新たに重症患者の対象に追加されました。この追加は、回復期リハビリテーション病棟における高次脳機能障害患者が一定数存在し、支援に係る情報提供の不足や障害福祉関連機関とのネットワークの希薄さが指摘されていたことを踏まえたものです。なお、FIM得点については、従来の「55点以下」から「21点以上55点以下」に変更され、FIMの測定により適合していることが望ましいとされました。

重症患者の改善割合に係る要件については、削除されました。従来、入院料1・2では重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能またはFIMが改善していることが求められていましたが、この要件は廃止されます。入院料3・4および入院医療管理料においても、同様に改善割合の要件は削除されました。

3. 重症患者割合と実績指数の基準の見直し

入院料1~4、入院医療管理料および特定機能病院リハビリテーション病棟入院料について、重症患者の新規受入割合基準とリハビリテーション実績指数の基準が見直されました。

重症患者の新規受入割合基準は、全体的に引き下げられました。入院料1・2では、従来の4割以上から3割5分以上に変更されました。入院料3・4では、従来の3割以上から2割5分以上に変更されました。入院医療管理料も同様に、3割以上から2割5分以上に変更されました。特定機能病院リハビリテーション病棟入院料では、5割以上から4割5分以上に変更されました。この引き下げは、高次脳機能障害と脊髄損傷の患者を重症患者に追加したことに伴う調整と考えられます。

リハビリテーション実績指数の基準は、引き上げと適用拡大が行われました。入院料1では、従来の40以上から42以上に引き上げられました。入院料3では、従来の35以上から37以上に引き上げられました。特定機能病院リハビリテーション病棟入院料でも、40以上から42以上に引き上げられました。加えて、入院料2には32以上、入院料4にも32以上の実績指数の基準が新たに設定されました。従来、入院料2と4には実績指数の要件がありませんでしたが、これにより全入院料に実績指数の基準が設けられたことになります。

この実績指数の適用拡大は、入院料2・4において実績指数が低い病棟が存在していたことを踏まえた対応です。入院料2と4について、令和8年3月31日時点で届出を行っている病棟には、令和8年9月30日までの経過措置が設けられています。

4. FIM測定の推奨

日常生活機能評価またはFIMの測定が求められているものについて、FIMによる測定が望ましいこととされました。

具体的には、入退院時および定期的(2週間に1回以上)の測定において、FIMを用いることが望ましいとされました。従来の算定要件では、日常生活機能評価またはFIMの測定が求められていましたが、FIMの優先は明記されていませんでした。今回の改定により、入退院時・定期測定のいずれにおいても、FIMの使用が推奨されます。

この変更の背景には、日常生活機能評価表が重症患者の判定と改善度合いの測定のみに用いられていたのに対し、FIMは実績指数の算出にも必須であるという運用上の違いがあります。FIMへの統一を進めることで、現場の負担軽減が期待されます。

5. 退院前訪問指導料の出来高算定と併算定制限

退院前訪問指導料が出来高にて算定できることとされました。従来、回復期リハビリテーション病棟入院料の包括範囲に含まれていた退院前訪問指導料が、出来高で別途算定可能になります。

この見直しの背景には、回復期リハビリテーション病棟における退院前訪問指導の実施割合が3~5%にとどまっていた実態があります。退院前訪問指導は多職種が関わって約半日を費やす負担の大きい業務であり、包括評価では労力に見合わないとの指摘がありました。出来高算定が可能になることで、実施のインセンティブが高まります。

ただし、退院前訪問指導料とリハビリテーション総合計画評価料(H003-2)の注3に規定する入院時訪問指導加算との併算定はできません。この併算定制限は、退院前訪問指導料の算定要件に明記されています。

6. FIM研修会の対象拡大

FIMの測定に関する研修会を年1回以上開催することについて、対象が入院料1~4すべてに拡大されました。従来、この要件は入院料1・3のみの施設基準でしたが、入院料2・4にも適用されます。

今回の改定で入院料2・4にも実績指数の基準が新たに設定されたことから、FIMの正確な測定はすべての入院料で重要性が増しています。実績指数の算出にはFIMの測定が不可欠であるため、研修会の開催を通じた測定精度の向上が求められます。

7. 地域支援事業への参加の対象拡大

介護保険法に規定する地域支援事業に協力する体制を確保していることについて、対象が入院料1~4すべてに拡大されました。従来、この要件は入院料1・2で望ましいとされていましたが、入院料3・4にも適用されます。

令和6年11月1日時点で地域支援事業に参加している回復期リハビリテーション病棟は約70%でした。入院料3・4を届け出ている病棟においても、地域の介護サービスとの連携体制の構築が求められます。

8. 口腔管理の対象拡大

口腔管理の体制を整備していることについて、入院料3・4においても望ましいこととされました。従来、この要件は入院料1・2の施設基準でしたが、入院料3・4にも努力義務として拡大されます。

入院料3・4では「望ましい」という位置づけですが、入院料1・2では引き続き施設基準として必須です。将来的な要件化を見据え、口腔管理体制の整備を計画的に進めることが望まれます。

9. 土曜日・休日のリハビリテーション提供体制の見直し

入院料1~4すべてについて、土曜日・休日を含め全ての日においてリハビリテーションを提供できる体制を備えていることが要件とされました。

従来、入院料1・2では休日を含む全日のリハビリテーション提供が施設基準に含まれ、入院料3~5および入院医療管理料では「休日リハビリテーション提供体制加算」として別途評価されていました。今回の改定では、入院料1~4において、土曜日が明示的に追加された上で、全日のリハビリテーション提供体制が基本要件となりました。

この体制変更に伴い、休日リハビリテーション提供体制加算(60点/日)の対象は、入院料5および入院医療管理料に限定されました。従来は入院料3・4も加算の対象でしたが、入院料3・4では全日提供が基本要件に組み込まれたためです。

提供単位数の基準も引き上げられました。従来は「休日の1日当たりリハビリテーション提供単位数が平均2単位以上」とされていましたが、「土曜日、休日の1日当たりリハビリテーション提供単位数が平均3単位以上」に変更されました。現状では全ての入院料において休日の提供単位数が平均2単位を大きく上回っている実態を踏まえた引き上げです。

入院料3・4について、令和8年3月31日時点で届出を行っている病棟には、令和8年9月30日までの経過措置が設けられています。

入院料の点数引き上げと入院料5の算定期間変更

全入院料において、点数が引き上げられました。各入院料の改定前後の点数は以下のとおりです。

入院料1は2,229点から2,346点(117点増)に、入院料2は2,166点から2,274点(108点増)に、入院料3は1,917点から2,062点(145点増)に、入院料4は1,859点から2,000点(141点増)に、入院料5は1,696点から1,794点(98点増)に、入院医療管理料は1,859点から1,960点(101点増)に、それぞれ引き上げられました。入院料3・4の増点幅が大きいのは、土曜日・休日のリハビリテーション提供体制が基本要件に組み込まれたことに伴う評価と考えられます。入院料1では、強化体制加算(80点/日)を算定した場合、合計2,426点となります。

入院料5の算定期間についても、重要な変更があります。従来、入院料5は届出から2年を限度として算定するものとされていました。今回の改定では、算定開始から2年を超えて算定する場合、100分の80に相当する点数で算定を継続できることとされました。入院料5で2年超となった場合の点数は1,435点(1,794点×80%)です。なお、入院料1~4を算定していた病棟から入院料5に変更した場合の期限は、従来どおり1年です。この変更により、入院料5を届け出ている病棟は、2年経過後も減額された点数で算定を継続できるようになります。

まとめ

令和8年度改定における回復期リハビリテーション病棟入院料等の見直しは、質の高いリハビリテーション医療の推進を目的とした包括的な改定です。

強化体制加算の新設は、入院料1の中でも特に高い実績を持つ病棟への評価を強化するものです。重症患者基準への高次脳機能障害・脊髄損傷の追加は、対象患者の適切な受入れを促進します。実績指数の全入院料への適用拡大は、アウトカム評価を回復期リハビリテーション病棟全体に浸透させるものです。退院前訪問指導料の出来高算定は、退院支援の充実につながります。FIM研修会・地域支援事業・口腔管理の対象拡大は、リハビリテーション医療の質を底上げするものです。土曜日・休日のリハビリテーション提供体制の要件化は、切れ目のないリハビリテーション提供を制度として担保します。入院料5の算定期間変更は、2年超の算定継続を可能にするものです。

医療機関においては、特に入院料2・4における実績指数32以上の達成、入院料3・4における全日リハビリテーション提供体制の整備について、経過措置期間(令和8年9月30日まで)内の対応が求められます。各施設の現状を早期に確認し、計画的に準備を進めることが重要です。

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