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令和8年度改定で認知症ケア加算が変わる|点数引き上げと身体的拘束減算の強化
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令和8年度改定で認知症ケア加算が変わる|点数引き上げと身体的拘束減算の強化

基本点数の引き上げと身体的拘束減算の強化、2つの柱をわかりやすく整理します

認知症を抱えたまま身体疾患で入院する高齢患者が、年々増えている。こうした患者の安全を守るための身体的拘束をいかに減らすかが、近年の診療報酬改定で重要なテーマとなってきた。本稿では、令和8年度診療報酬改定における「認知症ケア加算の見直し」を、その背景とあわせて解説する。

今回の見直しは、「ケアの評価を手厚くする」方向と「身体的拘束をより強く抑える」方向を組み合わせている。第一に、認知症ケア加算1〜3のすべての区分で、基本点数を引き上げた。第二に、身体的拘束を実施した日の減算を、所定点数の100分の40から100分の20へと強化した。これら2つの見直しは、組織で統一した取組を通じて身体的拘束の最小化を進める狙いを持つ。

1. 前提:認知症ケア加算とは何か

認知症ケア加算は、身体疾患で入院した認知症患者へのケアを評価する診療報酬である。対象は、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅢ以上の患者(重度の意識障害がある者を除く)とされる。算定は1日につき行われ、入院後14日以内の期間と15日以上の期間で点数が分かれている。

この加算は、ケアの体制に応じて加算1から加算3までの3段階に分かれている。加算1は、専任の医師・看護師・社会福祉士などからなる認知症ケアチームによる取組を評価する。加算2は、専任の医師または専門性の高い看護師による取組を評価する。加算3は、研修を受けた病棟看護師による取組を評価する。いずれの区分でも、身体的拘束を必要としない環境づくりや、やむを得ず実施する場合の早期解除が、算定の要件に組み込まれている。

2. 改定その1:基本点数の引き上げ

今回の見直しは、まず認知症ケア加算の基本点数を全区分で引き上げた。引き上げは加算1から加算3まで、また14日以内・15日以上のすべての区分に及ぶ。これは、認知症患者へのアセスメントやケアの充実そのものを、これまでより手厚く評価する措置である。

具体的な点数の変化は、次のとおりです。認知症ケア加算1は、14日以内の期間が180点から186点へ、15日以上の期間が34点から39点へ上がります。認知症ケア加算2は、14日以内の期間が112点から115点へ、15日以上の期間が28点から31点へ上がります。認知症ケア加算3は、14日以内の期間が44点から47点へ、15日以上の期間が10点から13点へ上がります。

この引き上げは、適切なケアを提供する医療機関を後押しする「飴」にあたる。点数が上がることで、認知症患者への丁寧なケアに取り組む経済的な裏付けが強まる。次に述べる減算の強化と組み合わせることで、改定の方向性がより明確になる。

3. 改定その2:身体的拘束実施日の減算の強化

基本点数の引き上げと対をなすのが、身体的拘束を実施した日の減算の強化である。改定後は、身体的拘束を実施した日の点数が、所定点数の100分の40から100分の20へと引き下げられる。つまり、拘束のない日に算定できる点数に対して、拘束を行った日に算定できる割合が半分(20%)にまで縮むことになる。

この減算は、身体的拘束を抑える「鞭」にあたる。たとえば認知症ケア加算1(14日以内)の場合、拘束のない日は186点を算定できる。一方で拘束を行った日は、その20%にあたる約37点にとどまる。拘束する日としない日の差が大きくなるほど、拘束を避ける動機が強まる仕組みである。

減算の強化は、今回が初めてではなく、段階的に進められてきた経緯がある。平成28年度に認知症ケア加算が新設された当初、拘束日の点数は100分の60であった。令和6年度改定でこれが100分の40に引き下げられ、今回さらに100分の20へと強化される。60、40、20という数字の推移は、身体的拘束の抑制を年々強める国の姿勢を示している。

4. 改定の背景と狙い

この2方向の見直しは、データと議論の積み重ねを背景としている。令和6年度改定で減算が強化された後、認知症ケア加算を算定した日のうち身体的拘束を実施した日の割合は、減少に転じた。この動向を踏まえ、中央社会保険医療協議会の分科会では、評価をさらに厳格化することもあり得るのではないかとの意見が出された。今回の減算強化は、こうした議論を反映したものである。

見直しのもう一つの狙いは、組織で統一した取組を促すことにある。身体的拘束を減らすには、現場の努力だけでなく、管理者が主体となった意識づくりが欠かせない。改定資料でも、組織で統一した取組により、適切なケアや支援を推進することが明記されている。点数の引き上げと減算の強化は、こうした組織的な取組を診療報酬の面から後押しする手段といえる。

まとめ

令和8年度改定における認知症ケア加算の見直しは、「ケアの評価充実」と「身体的拘束の抑制強化」という2つの方向を組み合わせたものである。第一に、加算1〜3の全区分で基本点数を引き上げ、丁寧なケアを後押しした。第二に、身体的拘束を実施した日の減算を100分の40から100分の20へ強化し、拘束を避ける動機を強めた。これらの見直しは、組織で統一した取組を通じて身体的拘束の最小化を進める、国の一貫した方針を映し出している。

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