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令和8年度改定:特別地域訪問看護加算が「合計時間」でも算定可能に
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令和8年度改定:特別地域訪問看護加算が「合計時間」でも算定可能に

移動時間1時間の従来要件に加え、移動と訪問の合計2時間30分以上も対象化

過疎地域等における訪問看護では、看護師の移動と訪問にかかる総時間が極めて長くなる実態がある。現行の特別地域訪問看護加算は、訪問看護ステーションから利用者宅までの片道移動時間のみを評価軸としており、こうした長時間訪問を十分に評価できていない。本稿は、令和8年度診療報酬改定における特別地域訪問看護加算の要件見直しの内容を、現行制度との対比で解説する。

今回の改定では、移動と訪問看護提供の合計時間が長い訪問も加算対象に追加される。現行の算定要件は、片道移動時間1時間以上が共通条件であった。改定後は、特別地域内のステーションから特別地域内の利用者を訪問する場合に限り、移動時間30分以上かつ移動と訪問の合計2時間30分以上でも算定できる新区分が設けられる。この見直しは、訪問看護基本療養費のほか、在宅患者訪問看護・指導料など関連4項目にも同様に適用される。

改定の背景|長時間訪問が評価されない現行制度の課題

特別地域訪問看護加算の対象地域では、片道1時間未満の移動でも訪問全体に長時間を要する事例がある。日本訪問看護財団の調査では、片道50分の移動と2時間のケアを合わせて、利用者1人に約4時間を要する事業所の実例が報告されている。通過ルート上に他の利用者宅がないため午前中の訪問が1件のみとなる事業所もあり、非効率なサービス提供が常態化している。

なお本稿で扱う「特別地域」とは、厚生労働大臣が定める6カテゴリの地域を指す。具体的には、過疎地域、離島振興対策実施地域、奄美群島、振興山村、小笠原諸島、および沖縄の離島である。改定案の表題等で用いられる「過疎地域等」も、この6カテゴリ全体を意味する。

現行の特別地域訪問看護加算は、こうした長時間訪問を評価できない構造である。算定要件は片道移動時間1時間以上のみであり、移動と訪問の合計時間は評価軸に含まれない。その結果、特別地域に所在する訪問看護ステーションは全体の1.5%にとどまり、算定者数こそ微増傾向(令和3年426人→令和7年600人)にあるものの、利用者全体に占める算定割合は横ばいで推移している。

今回の改定は、この実態と評価のギャップを埋めることを目的とする。基本的な考え方として、住み慣れた地域での療養継続を支えるため、遠方への移動負担を考慮した要件見直しが行われる。

改定後の要件|区分イと新設区分ロの2本立て

改定後の特別地域訪問看護加算は、区分イと区分ロの2区分で構成される。いずれも、所定額の100分の50を加算する点は現行と同じである。

区分イは、現行の算定要件を整理・統合した区分である。移動時間1時間以上を共通条件とし、(1)特別地域内のステーションが訪問する場合と、(2)特別地域外のステーションが特別地域内の利用者を訪問する場合のいずれかに該当することを求める。現行制度のイ・ロ両要件が、改定後の区分イに集約された形である。

区分ロは、特別地域内のステーションから特別地域内の利用者への訪問を対象に新設される区分である。算定には、(1)移動時間30分以上と、(2)往復移動および訪問看護実施に要した時間の合計2時間30分以上の両方を満たすことが求められる。この区分により、移動時間が1時間に達しない場合でも、訪問全体の時間負担が大きい訪問を加算対象として取り込むことが可能になる。

適用範囲|訪問看護基本療養費を含む関連5項目に横断的に適用

今回の要件見直しは、訪問看護基本療養費だけでなく、関連する4項目にも同様に適用される。具体的な対象は、在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料、および精神科訪問看護基本療養費である。

これら4項目は、訪問看護基本療養費と並んで特別地域の訪問看護を支える評価項目である。横断的に同一の要件改定を行うことにより、評価項目間の整合性が保たれ、提供主体や対象患者によって算定可否が異なる事態を防ぐ設計となっている。

まとめ|合計時間の導入で過疎地域等の訪問看護提供体制を下支え

今回の改定は、特別地域訪問看護加算に「合計時間」という新しい評価軸を導入する。現行の移動時間1時間以上の要件に加え、特別地域内訪問では移動時間30分以上かつ合計2時間30分以上の訪問も加算対象となる。この見直しと関連4項目への横断適用により、過疎地域等における訪問看護提供体制の維持と拡充が期待される。

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