令和8年度診療報酬改定では、在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援(緊急入院等)を担う医療機関の評価が見直されます。高齢者救急の増加と地域包括ケアシステムの推進を背景に、協力医療機関や包括期病棟が後方支援を担う体制と実績をより適切に評価することが、今回の改定の目的です。
見直しの内容は3つあります。第1に、協力医療機関と協力対象施設が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。第2に、200床未満の中小病院が後方支援を担う体制と実績を評価する「包括期充実体制加算」(1日80点)が新設されます。第3に、地域包括ケア病棟の在宅患者支援病床初期加算について、対象患者の拡大と点数のメリハリ化、包括範囲の見直しが行われます。
① カンファレンス頻度の大幅緩和——月1回から年3回へ
協力医療機関と介護保険施設等が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。現行の頻回なカンファレンス要件が届出の障壁となっていたことを受け、実効性のある連携関係を保ちながら業務効率化を図る見直しです。この見直しは、協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算の2つの加算に共通する施設基準の変更です。
ICTによる情報共有を行う場合、カンファレンス頻度は現行の年3回以上から年1回以上に緩和されます。ICTを通じて日常的に情報を共有できている場合、対面等でのカンファレンスは年1回で足りることになります。
ICTによる情報共有を行わない場合、カンファレンス頻度は現行の月1回以上から原則年3回以上に緩和されます。さらに、一定の実績(年2件以上の入院受入れまたは往診)がある場合は、カンファレンスは年1回以上で足りることとされます。
カンファレンスの実施方法についても柔軟化が図られます。入退院支援加算1における連携機関とのカンファレンスと兼ねることが新たに認められ、既存のカンファレンスと統合することで業務負担をさらに軽減できます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】協力医療機関のカンファレンス頻度が大幅緩和|月1回→年3回へ
② 包括期充実体制加算(80点)の新設——200床未満病院の後方支援を評価
在宅医療や介護保険施設の後方支援を充実させるため、包括期入院医療に「包括期充実体制加算」が新設されます。急性期病院一般入院料・急性期一般入院基本料(A100)の病棟を持たない200床未満の中小病院が、地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟で後方支援を担う体制と実績を評価する加算です。
加算の点数は1日につき80点で、入院日から14日間を限度に算定できます。14日間すべて算定した場合、1入院あたり最大1,120点の増収となります。
対象医療機関の要件は3つあります。1つ目は、許可病床数が200床未満(医療資源の少ない地域では280床未満)であることです。2つ目は、救急医療もしくは下り搬送を受け入れる体制を有していることです。3つ目は、A100の病棟を有しない病院であることです。
施設基準は、「病院の規模・病棟構成」「後方支援の体制と実績」「入退院支援加算1の届出」の3つの柱で構成されています。地域に密着した中小病院が後方支援を担う実態を、体制と実績の両面から評価する趣旨で設けられた加算です。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】包括期充実体制加算(80点)を新設|200床未満病院の後方支援評価
③ 地域包括ケア病棟の初期加算等の見直し——3つの変更ポイント
地域包括ケア病棟における在宅医療や協力対象施設の後方支援機能をより高く評価する観点から、初期加算等の見直しが行われます。見直しは、在宅患者支援病床初期加算の対象患者の範囲、点数の評価体系、退院支援に係る包括範囲の3点に及びます。
在宅患者支援病床初期加算①の対象が「救急搬送された患者」から「緊急入院した患者」に拡大されます。この変更により、救急車による搬送以外の緊急入院(在宅療養中の患者の直接来院や介護保険施設からの救急搬送によらない緊急入院など)も、高い点数の対象に含まれます。
点数体系はメリハリのある評価に変わります。介護老人保健施設からの入院では、緊急入院した患者は580点→590点に引き上げられる一方、それ以外の患者は480点→410点に引き下げられます。介護医療院・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム等または自宅からの入院でも同様に、緊急入院した患者は480点→490点に引き上げられ、それ以外の患者は380点→310点に引き下げられます。
退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料が包括範囲から除外されます。これにより、地域包括ケア病棟においてもこれらの指導料(各400点)を別途算定できるようになり、退院支援の取り組みへのインセンティブが強化されます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】地域包括ケア病棟の初期加算が変わる|3つの見直しポイントを解説
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援を担う医療機関の評価が3つの観点から見直されます。協力医療機関のカンファレンス頻度は月1回から原則年3回に大幅緩和され、届出のハードルが下がります。200床未満の中小病院には包括期充実体制加算(1日80点・14日間)が新設され、後方支援の体制と実績が新たに評価されます。地域包括ケア病棟の初期加算は、対象の拡大・点数のメリハリ化・包括除外の3点で見直され、後方支援機能と退院支援の充実が図られます。これらの改定は、在支病・在支診・後方支援病院や地域包括ケア病棟を有する医療機関にとって、体制整備と届出準備を進めるべき重要な変更です。










