令和8年度診療報酬改定では、協力医療機関と介護保険施設等が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。この見直しは、協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算の2つの加算に共通する施設基準の変更です。背景には、現行の頻回なカンファレンス実施が医療現場の負担となっており、届出が進まないという課題がありました。今回の改定は、実効性のある連携関係を保ちながら業務効率化を図ることを目的としています。
見直しのポイントは3つあります。第一に、ICTによる情報共有を行う場合のカンファレンス頻度が、現行の年3回以上から年1回以上に緩和されます。第二に、ICTによる情報共有を行わない場合の頻度が、現行の月1回以上から原則年3回以上に緩和されます。第三に、カンファレンスを入退院支援加算1の連携機関とのカンファレンスと兼ねることが可能になります。
改定の背景:頻回なカンファレンスが届出の障壁に
今回の見直しの背景には、現行のカンファレンス要件が医療機関の届出を妨げているという実態があります。
令和6年度診療報酬改定では、介護保険施設等の入所者の病状急変時に備えた後方支援体制を強化するため、協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算が設けられました。これらの加算では、協力医療機関と介護保険施設等が平時から情報共有を行うことが施設基準として求められています。
この施設基準のうち、カンファレンスの頻度要件は、ICTを活用する場合で年3回以上、ICTを活用しない場合で月1回以上と定められていました。しかし、令和6年度改定の結果検証に係る特別調査では、カンファレンスの頻回な実施やICTの整備が困難であるという意見が寄せられ、加算の届出が伸び悩んでいることが明らかになりました。
こうした現場の声を受けて、今回の改定では、実効性のある連携関係を維持しつつ業務効率化を図る観点から、カンファレンス頻度の大幅な緩和が行われます。
変更点①:ICTによる情報共有ありの場合——年3回から年1回へ
ICTを活用して情報共有を行う場合のカンファレンス頻度は、現行の年3回以上から年1回以上に緩和されます。
この要件を満たすには、2つの条件を両方クリアする必要があります。1つ目は、入所者の診療情報と病状急変時の対応方針を、あらかじめ患者の同意を得たうえで介護保険施設等から協力医療機関に提供し、協力医療機関の保険医がICTを活用して常時確認可能な体制を有していることです。2つ目は、介護保険施設等と協力医療機関が、入所者の病状急変時の対応方針等を共有するためのカンファレンスを年1回以上実施することです。
現行では、ICTによる常時確認体制を整備したうえで年3回以上のカンファレンスが必要でした。改定後は、ICTを通じて日常的に情報を共有できている場合、対面等でのカンファレンスは年1回で足りることになります。
変更点②:ICTによる情報共有なしの場合——月1回から原則年3回へ
ICTを活用しない場合のカンファレンス頻度は、現行の月1回以上から原則年3回以上に大幅に緩和されます。
改定後の要件では、介護保険施設等と協力医療機関が、入所者の病状急変時の対応方針等を共有するためのカンファレンスを年3回以上実施することが求められます。さらに、一定の実績がある場合はカンファレンスの頻度がさらに軽減されます。具体的には、協力対象施設入所者入院加算では当該施設から年2件以上の入院を受け入れた場合、介護保険施設等連携往診加算では年2件以上の往診を行った場合に、カンファレンスは年1回以上で足りることとされます。
この実績要件による軽減が認められる場合には、加算ごとに求められる情報共有の条件が異なります。協力対象施設入所者入院加算では、入退院に際して施設職員と入所者の急変時の対応方針および入院依頼時の連絡方法等について適切な情報共有を行うことが条件です。介護保険施設等連携往診加算では、往診に際して施設職員と入所者の急変時の対応方針および往診依頼時の連絡方法等について適切な情報共有を行うことが条件です。
変更点③:カンファレンスの実施方法の柔軟化
カンファレンスの実施方法についても、柔軟な取扱いが新たに規定されます。
ビデオ通話による実施は、現行と同様に引き続き認められます。この点は従来から変更はありません。
入退院支援加算1の連携機関とのカンファレンスとの兼用は、今回新設される規定です。協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算のいずれについても、カンファレンスが入退院支援加算1における連携機関とのカンファレンスを兼ねることが認められます。すでに入退院支援加算1の届出をしている医療機関にとっては、既存のカンファレンスと統合することで、業務負担をさらに軽減できます。
対象となる2つの加算の整理
今回の見直しは、以下の2つの加算の施設基準に共通して適用されます。
協力対象施設入所者入院加算は、介護保険施設等の入所者が病状急変で入院が必要となった際、協力医療機関が入院を受け入れた場合に入院初日に算定する加算です。往診が行われた場合は600点、それ以外の場合は200点が算定されます。
介護保険施設等連携往診加算は、介護保険施設等の入所者が病状急変した際、協力医療機関の医師が往診を行った場合に算定する加算です。200点が算定されます。
いずれの加算も、対象となる医療機関は在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、在宅療養後方支援病院、および地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている病棟・病室を有する病院です。
まとめ
令和8年度診療報酬改定により、協力医療機関と介護保険施設等が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。ICTによる情報共有を行う場合は年3回以上から年1回以上に、ICTによる情報共有を行わない場合は月1回以上から原則年3回以上に変更されます。加えて、入退院支援加算1のカンファレンスとの兼用も認められ、業務効率化が図られます。協力対象施設入所者入院加算や介護保険施設等連携往診加算の届出を検討している医療機関にとっては、施設基準のハードルが下がる重要な改定です。










