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がんゲノム検査のエキスパートパネル省略要件を新設|令和8年度改定の算定要件を解説
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がんゲノム検査のエキスパートパネル省略要件を新設|令和8年度改定の算定要件を解説

投与可能な薬がない症例でもエキスパートパネルを省略でき、検査と評価提供料を算定できる要件変更を整理します

がんゲノムプロファイリング検査(以下、CGP検査)は、がんに関わる多数の遺伝子変異を一度に調べ、患者ごとに適した治療薬を探す検査です。従来、CGP検査の結果を評価するがんゲノムプロファイリング評価提供料は、多職種の専門家による検討会(エキスパートパネル)で検査結果を検討することを算定の要件としてきました。しかし、投与できる薬が見つからない症例まで一律にエキスパートパネルを求めることが、効率的な提供の課題となっていました。本稿では、令和8年度診療報酬改定によるエキスパートパネル省略要件の見直しを解説します。

今回の改定は、投与できる薬が見つからない症例でも、エキスパートパネルを省略してCGP検査と評価提供料を算定できるようにしました。エキスパートパネルを省略するには、ア・イ・ウの3つの要件をすべて満たさなければなりません。この省略要件のうちウでは、投与可能な薬が臨床試験や治験を含めても存在しない場合まで対象に含めた点が特徴です。あわせて、CGP検査の区分は「固形腫瘍」と「造血器腫瘍又は類縁疾患」の2つに整理されました。

見直しの背景と趣旨

今回の見直しは、質の高いがんゲノム医療を効率的に提供することを目的としています。この目的の背景には、エキスパートパネルを省略できる症例に関する知見が集積したことがあります。

エキスパートパネルは、CGP検査の結果を医学的に解釈する多職種の検討会です。この検討会には、がん薬物療法や遺伝医学に関する専門医、遺伝カウンセリングの技術を持つ者などが参加します。多くの専門家が関与するため、実施には相応の時間と体制が必要になります。

こうした体制の負担を踏まえ、今回の改定では、一定の要件を満たす症例でエキスパートパネルを省略できる規定が新たに設けられました。省略できる症例に関する知見が積み重なったことが、この規定を設けた背景にあります。

エキスパートパネル省略の3要件

エキスパートパネルを省略するには、ア・イ・ウの3つの要件をすべて満たす必要があります。このうちイとウの判断には、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)の調査結果を参照します。

要件アは、固形腫瘍を対象とするCGP検査を実施した場合です。造血器腫瘍などを対象とした検査は、省略の対象になりません。

要件イは、C-CAT調査結果において、二次的所見を疑う病的変異が検出されない場合です。二次的所見とは、本来の検査目的とは別に偶然見つかる、遺伝性疾患などに関わる変異を指します。二次的所見が疑われる場合は、専門的な検討が必要になるため、省略の対象から外れます。

要件ウは、投与可能な医薬品の有無に関する2つの場合のいずれかを満たすことです。この2つの場合を、次の章で詳しく説明します。

見直しの中心となる省略対象

要件ウは、投与可能な薬の有無に応じて①と②の2つの場合を定めており、いずれも今回新たに設けられた規定です。このうち、投与可能な薬が存在しない場合(②)まで対象に含めた点が、今回の見直しの中心にあたります。

①は、検査で得られた遺伝子変異に基づいて投与可能な薬が存在する場合です。ただしこの場合は、検査に用いた体外診断用医薬品や医療機器の薬事承認・認証された使用目的に従うとき、または関連学会の指針に従うときに限られます。

②は、投与可能な薬が臨床試験や治験を含めても存在しない場合です。この判断には、C-CAT調査結果を用います。薬が見つからない症例まで省略の対象に含めたことで、エキスパートパネルを求めずに算定できる範囲が広がりました。

検査区分の整理

あわせて、改定案ではCGP検査の区分が2つに整理されました。区分は「1 固形腫瘍を対象とする場合」と「2 造血器腫瘍又は類縁疾患を対象とする場合」であり、いずれも44,000点です。

従来のCGP検査は、区分が分かれていない単一の項目でした。今回、対象とする腫瘍の種類に応じて2つの区分に整理され、造血器腫瘍を対象とする区分が新設されました。

この整理に伴い、がんゲノムプロファイリング評価提供料の適用範囲も明確になりました。評価提供料は、区分「1 固形腫瘍を対象とする場合」を行ったときに算定できます。

まとめ

令和8年度診療報酬改定は、投与できる薬がない症例でも、エキスパートパネルを省略してCGP検査と評価提供料を算定できる規定を設けました。エキスパートパネルを省略するには、固形腫瘍を対象とすること、二次的所見がないこと、投与可能な薬の有無に関する要件を満たすことという、ア・イ・ウの3要件をすべて満たす必要があります。今回の見直しは、質の高いがんゲノム医療を効率的に提供するための一歩といえます。

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