慢性疾患を抱えた小児は、成人になっても継続的な医学管理を必要とします。しかし従来の診療報酬は、小児科から成人の診療科へ移った患者の医学管理を、十分に評価してきませんでした。本メルマガは、この課題に対応した令和8年度改定の「難病外来指導管理料」の見直しを解説します。
今回の改定は、難病外来指導管理料を2つの区分に再編し、成人移行期の患者を新たに評価しました。従来の難病外来指導管理料は「難病外来指導管理料1」となり、点数は270点で変わりません。新設の「難病外来指導管理料2」は、小児科以外の診療科が270点を算定できる区分です。難病外来指導管理料2は、小児科から紹介された患者について、紹介後5年以内に限り算定できます。
改定の背景 ── 成人移行期医療の「管理料の壁」
今回の見直しは、成人移行期医療をめぐる「管理料の壁」を解消するものです。この壁は、小児科療養指導料と難病外来指導管理料が対象とする疾患の範囲が違うことから生じていました。
成人移行期医療とは、小児期に発症した慢性疾患の患者を、小児科から成人の診療科へ引き継ぐ医療をいいます。医療の進歩により、長期の経過をたどる小児患者は増えています。そのため、成人医療へ円滑に移行する体制の整備が求められてきました。
小児期の患者は、小児科で「小児科療養指導料」により管理されてきました。小児科療養指導料は、慢性疾患で生活指導が特に必要な15歳未満の患者を対象とし、270点を月1回算定できます。対象疾患には、脳性麻痺や先天性心疾患、小児慢性特定疾病などが含まれます。
一方、成人の診療科では、慢性疾患の患者を「難病外来指導管理料」により管理します。難病外来指導管理料は、指定難病などを対象とし、270点を月1回算定できます。しかし対象疾患は指定難病などに限られ、小児科療養指導料より範囲が狭くなっています。
この対象疾患の差は、疾病の数にはっきり表れています。令和7年4月1日時点で、小児慢性特定疾病は801疾病、指定難病は348疾病が指定されています。そのため小児科療養指導料で管理されていた患者が成人の診療科へ移ると、難病外来指導管理料の対象でない限り、紹介先は同等の管理料を算定できませんでした。
改定の内容 ── 難病外来指導管理料の2区分化
改定では、難病外来指導管理料を2つの区分に分けました。この2区分化により、成人移行期の患者が新たに算定対象へ加わりました。
1つ目の区分は、従来の内容を引き継ぐ「難病外来指導管理料1」です。難病外来指導管理料1は、指定難病などを主病とする患者を対象とし、270点を月1回算定できます。この区分の要件は、従来の難病外来指導管理料から変わっていません。
2つ目の区分は、今回新設された「難病外来指導管理料2」です。難病外来指導管理料2は、小児科以外の保険医療機関が算定でき、点数は1と同じ270点です。この区分により、成人移行期の患者を受け入れた診療科も、継続的な生活指導を評価されるようになりました。
難病外来指導管理料2の算定要件
難病外来指導管理料2の算定には、4つの要件を満たす必要があります。この4要件は、算定できる医療機関、対象となる患者、紹介の経路、算定できる期間を定めています。
第1に、算定できる医療機関は、小児科を標榜する保険医療機関以外です。
第2に、対象となる患者は、慢性疾患で生活指導が特に必要なものを主病とする、入院中以外の患者です。
第3に、その患者は、小児科を標榜する他の保険医療機関から紹介を受けた患者に限られます。
第4に、算定できる期間は、紹介を受けて初診を行った日から5年以内です。
なお、難病外来指導管理料2も、必要な生活指導を継続して行った場合に、月1回に限り算定します。この5年以内という期間の限定は、成人の診療科への移行が定着するまでの継続を支えるものと考えられます。
まとめ
令和8年度改定は、難病外来指導管理料を2つの区分に再編しました。従来の内容は「難病外来指導管理料1」に引き継がれ、270点のまま変わりません。新設の「難病外来指導管理料2」は、小児科以外の診療科が、紹介後5年以内の患者について270点を算定できます。この見直しにより、成人移行期の小児は、良質な医療を切れ目なく受けられるようになります。
用語メモ
診療報酬:医療サービスに対して医療機関に支払われる対価。
難病外来指導管理料:指定難病などを主病とする外来患者に、計画的な医学管理と療養上の指導を行った場合の評価(270点/月1回)。
小児科療養指導料:小児科で、慢性疾患で生活指導が特に必要な15歳未満の患者に、必要な生活指導を継続して行った場合の評価(270点/月1回)。










