救急医療機関には、夜間や休日を含めて24時間、救急患者を受け入れる応需体制(患者をいつでも受け入れられる体制)が求められている。しかし従来の評価は、この24時間体制を支える人員・設備・検査体制を十分に反映していなかった。そこで令和8年度診療報酬改定は、救急外来医療の評価を大きく再編した。本稿は、この再編の全体像を、新設された救急外来医学管理料を中心に解説する。
今回の再編は、24時間の救急外来提供体制を評価する救急外来医学管理料の新設が柱である。救急外来医学管理料は、救急搬送患者向けと夜間休日受診患者向けの2つの区分で構成される。各区分は、施設基準の充足度に応じて1から3の3段階に分かれる。あわせて、検査体制や医療DXを評価する加算が新たに設けられた。一方で、現行の救急搬送看護体制加算は廃止され、院内トリアージ実施料は体制加算へ組み替えられた。
救急外来医学管理料の新設 ― 2つの区分
救急外来医学管理料は、従来の夜間休日救急搬送医学管理料を見直して新設された点数である。この管理料は、患者の来院経路に応じて2つの区分に分かれる。1つは、救急車や救急医療用ヘリコプター等で搬送された患者を対象とする救急搬送医学管理料である。もう1つは、夜間休日に自ら受診した患者を対象とする夜間休日救急医学管理料である。
救急搬送医学管理料は、救急車等で緊急に搬送された患者への医学管理を評価する。この区分の点数は、施設基準に応じて800点(1)、600点(2)、200点(3)の3段階に設定される。従来の夜間休日救急搬送医学管理料が一律600点であったのに対し、体制の手厚さを点数へ反映する仕組みへ改められた。
夜間休日救急医学管理料は、救急車によらず夜間休日に救急外来を受診した患者への医学管理を評価する。この区分も、施設基準に応じて600点(1)、400点(2)、50点(3)の3段階に設定される。従来は搬送患者のみが対象であったのに対し、自ら受診した患者も評価の対象へ加えられた。
施設基準に応じた3段階の評価
救急外来医学管理料の点数は、施設基準の充足度に応じて1から3の3段階に分かれる。この3段階は、24時間の応需体制、救急搬送の実績、検査・処置の体制の厚さで区別される。段階が上がるほど、求められる人員・設備・実績の水準は高くなる。
最も手厚い1の基準は、24時間途切れない診療体制と豊富な実績を求める。人員面では、救急外来診療の経験5年以上の医師2名以上を含む専任医師と、専任看護師の常時勤務が要件となる。検査面では、血液検査・CT・MRIを常時実施できる体制が求められる。実績面では、救急搬送件数が年間1,500件以上(一部地域は1,200件以上)と定められている。
中間の2の基準は、1よりも緩やかな体制で算定できる。人員・検査面では、応需する時間帯の専任医師・看護師の勤務と、血液検査・CTの実施体制があればよい。実績面では、救急搬送件数が年間800件以上(一部地域は640件以上)とされる。
最も基本的な3の基準は、救急病院等としての認定のみを求める。救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所であれば、この段階を算定できる。
なお、施設基準のうち「地域の救急医療に関する取組」の要件には、経過措置が設けられている。届出を行う保険医療機関は、令和8年12月31日までの間、この要件を満たしたものとみなされる。
新設された加算と加算の整理
今回の再編では、救急外来の体制や取組を評価する加算が見直された。救急外来医学管理料に上乗せする主な新設加算は、救急外来緊急検査対応加算、救急時医療情報取得加算、時間外救急搬送加算の3つである(このほか、次章の院内トリアージ実施体制加算も新設された)。一方で、現行の夜間休日救急搬送医学管理料にあった救急搬送看護体制加算(400点/200点)は廃止された。なお、精神科疾患患者等受入加算(400点)は変更なく存続する。
救急外来緊急検査対応加算は、救急外来で緊急の検査や処置を行った場合を評価する。出血・凝固検査、血液化学検査、CT・MRI撮影などを実施した際に、施設基準に応じて300点(1)又は200点(2)を加算する。24時間の検査体制を点数へ反映する加算である。
救急時医療情報取得加算は、医療DXを活用した診療情報の取得を評価する。救急外来医学管理料を算定する意識障害の患者に対し、救急時医療情報閲覧機能と電子処方箋システムで診療情報を取得した場合に、月1回50点を加算する。患者が自ら病歴を伝えられない救急の場面で、過去の診療情報を活用する狙いがある。
時間外救急搬送加算は、救急搬送医学管理料を算定する時間帯に応じた評価である。土日祝の夜間は300点、土日祝以外の夜間は250点、土日祝の夜間以外は200点を加算する。時間外の搬送受入れの負担を点数へ反映する加算である。
院内トリアージ実施料の見直し
院内トリアージ実施料は、今回の改定で廃止された。従来は300点の独立した点数であったが、これが院内トリアージ実施体制加算50点として再編された。この体制加算は、夜間休日救急医学管理料に上乗せして算定する。
院内トリアージ実施体制加算は、時間外・休日・深夜のトリアージ体制を評価する。専任の医師、又は救急医療の経験3年以上の専任看護師の配置などの施設基準を満たす保険医療機関で、算定できる。なお、この見直しは、地域連携小児夜間・休日診療料及び地域連携夜間・休日診療料についても同様に適用される。
まとめ
今回の再編は、24時間の救急外来提供体制を評価する救急外来医学管理料の新設が柱である。この管理料は、救急搬送と夜間休日の2区分に分かれ、施設基準に応じて1から3の3段階で評価される。あわせて、検査体制や医療DXを評価する加算が新設された。一方で、救急搬送看護体制加算は廃止され、院内トリアージ実施料は体制加算へ組み替えられた。救急外来の体制の厚さを点数へ反映する方向性が、今回の改定に表れている。










