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令和8年度DPC改定の現況|対象病院は1,685に減少
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令和8年度DPC改定の現況|対象病院は1,685に減少

中医協資料から、病院数・医療機関別係数・診断群分類点数表の見直しを初心者向けに整理します

令和8年4月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第649回)で、令和8年度改定を踏まえたDPC/PDPSの現況が報告されました。DPC/PDPSは急性期入院の診療報酬の多くを診断群分類ごとの1日あたり定額で支払う仕組みであり、この報告は各病院の入院収入に直結します。本号では、この報告資料(総-7および参考1~5)の要点を、はじめての方にもわかるように整理します。

令和8年度改定で、DPC/PDPSは「病院の数」「病院ごとの係数」「点数表と算定ルール」の3点で大きく変わりました。第1に、DPC対象病院は1,685病院となり、前年度から76病院減少する見込みです。第2に、医療機関別係数では、DPC標準病院群が救急搬送や全身麻酔手術の実績で2つに区分されました。第3に、診断群分類点数表では、在院日数のばらつきが小さい一部の診断群分類で入院期間Ⅱが平均在院日数から在院日数の中央値へ見直され、再転棟時の算定ルールも変わりました。

用語メモ:DPC/PDPSとは DPC(Diagnosis Procedure Combination)は、病名と手術・処置の組み合わせで入院患者を分類する「診断群分類」です。PDPS(Per-Diem Payment System)は、その分類ごとに1日あたりの点数を定めて支払う方式です。包括評価部分の支払額は「診断群分類ごとの1日あたり点数 × 医療機関別係数 × 入院日数」で計算されます。手術など出来高で評価される部分は、これとは別に算定されます。

1. DPC対象病院は1,685病院に減少した

DPC対象病院は令和8年6月時点で1,685病院となり、前年度から大きく減少しました。減少の主な理由は、DPC対象病院の基準を満たせなかった病院の退出です。一方で、DPC準備病院は増えています。なお、以下の数値はいずれも令和8年4月1日時点で集計した、令和8年6月時点の見込み値です。

DPC対象病院の数は、前年度の1,761病院から76病院減って1,685病院となる見込みです。前回改定時(令和6年度)の1,786病院と比べると、12病院が新たに参加し、109病院が退出しました。このほか、病院の再編によって4病院が減っています。DPC対象病院の数は制度開始以来おおむね増加傾向にあり、これまでの年度ごとの減少は最大でも25病院(令和7年度)でした。今回の76病院の減少は、資料に掲載された年度の中で最も大きな減少幅です。

退出理由のうち最も多いのは、DPC対象病院の基準未達による退出の51病院です。令和7年6月以降の増減の内訳は次のとおりです。

  • 増加

    • 診療報酬改定に伴う新規参加:+12病院

  • 減少

    • DPC対象病院の基準未達による退出:-51病院

    • 診療報酬改定に伴う任意退出:-20病院

    • 入院基本料に係る施設基準の変更による退出:-13病院

    • 保険医療機関の廃止による退出:-2病院

    • DPC対象病院の再編(2病院→1病院の合併):-2病院

  • 合計:-76病院

病床規模別に見ると、減少は100床未満の小規模病院に集中しています。100床未満のDPC対象病院は373病院から316病院へ57病院減りました。これに対し、100床以上の各区分の減少は1~10病院にとどまります。

DPC準備病院は252病院となり、前年度から24病院増える見込みです。DPC準備病院とは、DPC制度への参加を希望している病院です。準備病院の8割は100床未満の病院であり、100床未満の準備病院は169病院から203病院へ増えました。

DPC算定病床数は、DPC対象病院で約47万床となり、前年度から約9.7千床減る見込みです。このうち、急性期一般入院料1~6の届出病床は約37万床、特定機能病院入院基本料の届出病床は約5.6万床です。1病院あたりのDPC算定病床数は平均277床で、最小は16床、最大は1,218床です。DPC準備病院の病床数は、本体資料では約1.9万床(前年度から約0.3千床増)の見込みとされています。

2. 医療機関別係数はすべての係数で見直された

医療機関別係数は、基礎係数・機能評価係数Ⅰ・機能評価係数Ⅱ・救急補正係数・激変緩和係数で構成されます。今回の改定では、これらすべての係数に対応が行われました。特に大きな変更は、基礎係数におけるDPC標準病院群の2区分化と、機能評価係数Ⅱにおける評価方法の見直しです。

用語メモ:医療機関別係数とは 医療機関別係数は、病院ごとの機能や実績を支払額に反映するための係数です。同じ診断群分類の患者でも、この係数が高い病院ほど支払額が大きくなります。

基礎係数:DPC標準病院群を「1」と「2」に区分した

基礎係数では、DPC標準病院群が救急搬送や手術の実績によって「DPC標準病院群1」と「DPC標準病院群2」に区分されました。基礎係数は、病院の類型(医療機関群)ごとに定められる基本的な係数です。これまでの医療機関群は大学病院本院群・DPC特定病院群・DPC標準病院群の3つでした。今回、このうちDPC標準病院群の中で基礎係数の評価が区別されました。

  • 大学病院本院群:82施設、基礎係数1.1245

  • DPC特定病院群:172施設、基礎係数1.0769

  • DPC標準病院群1:1,142施設、基礎係数1.0583

  • DPC標準病院群2:290施設、基礎係数1.0283

DPC標準病院群1になる要件は、次の4つのうちいずれかを満たすことです。判定には令和6年10月~令和7年9月のDPCデータが使われました。

  1. 救急車等による入院数が年間700人以上

  2. 救急車等による入院数が年間200人以上、かつ全身麻酔による手術件数が年間500件以上

  3. 救急車等による入院数が年間400人以上、かつ二次医療圏で最大(人口20万人以下の二次医療圏に限る)

  4. 救急車等による入院数が二次医療圏で最大(離島のみで構成される二次医療圏に限る)

この区分は、今後の急性期入院料の再編を見据えたものです。資料では、令和10年度改定以降は「急性期病院A一般入院料」または「急性期病院B一般入院料」を届け出る医療機関を要件とすることを念頭に、データを収集するとされています。DPC標準病院群の病院は、救急搬送入院数と全身麻酔手術件数の推移を今から注視する必要があります。

機能評価係数Ⅰ:現行の評価手法を継続した

機能評価係数Ⅰでは、現行の評価手法が維持されました。機能評価係数Ⅰは、入院患者全員に算定される加算などを係数に置き換えたものです。今回は医科点数表の改定に合わせて、各項目の評価の見直しと、新設された入院基本料等加算の設定が行われました。

機能評価係数Ⅱ:複雑性係数と地域医療係数を見直した

機能評価係数Ⅱでは、複雑性係数と地域医療係数の評価方法が見直されました。機能評価係数Ⅱは、効率性・複雑性・カバー率・地域医療の4つの係数で、病院の診療実績や地域での役割を評価するものです。

複雑性係数は、入院初期の医療資源投入量で患者構成を評価する方法に変わりました。これまでは、1入院あたりの医療資源投入量で評価していました。改定後は、在院日数の25パーセンタイル値までの期間、つまり入院初期の包括範囲出来高点数を用いて評価します。資料では、入院初期の医療資源投入の観点から見た患者構成を評価する趣旨と説明されています。

地域医療係数の定量評価指数は、DPC標準病院群で評価する領域が細分化されました。定量評価指数は、所属する地域で発生した患者のうち、その病院が担当した患者の割合(シェア)を評価するものです。対象地域は、DPC標準病院群が二次医療圏、大学病院本院群とDPC特定病院群が三次医療圏です。これまでは「小児」と「それ以外」の2区分でした。改定後のDPC標準病院群では、「小児及び周産期」と「それ以外」を等分で評価し、「それ以外」はさらに「がん」「脳卒中」「心筋梗塞等の心血管疾患」の3領域を等分で評価します。なお、地域医療係数はDPC標準病院群1と2でそれぞれ別に評価されます。

地域医療係数の体制評価指数には、2つの項目が新設されました。1つは「認定ドナーコーディネーターの院内配置」で、過去3カ年に法的脳死判定後の臓器提供実績がない病院に限り0.5ポイントを加算します(令和9年度以降の評価)。もう1つは「地域の需要変動への応答性」で、DPC算定病床数に占める各日の入院患者数の割合のばらつきが著しく小さい病院を1ポイント減点します。資料では、社会や地域の実情に応じて求められている機能を評価する観点から新設されたと説明されています。

機能評価係数Ⅱの合計値は、中央値で0.0864となりました。医療機関群別の中央値は、大学病院本院群0.0936、DPC特定病院群0.0928、DPC標準病院群1が0.0858、DPC標準病院群2が0.0820です。機能評価係数Ⅱとは別の係数である救急補正係数は、救急医療入院の患者の資源投入量の乖離を評価するもので、中央値0.0236、最大値0.0629でした。

激変緩和係数:従来どおり変動率を2%以内に抑えた

激変緩和係数は、従前と同じ方法で設定されました。激変緩和係数は、改定によって病院の収入が急激に変わらないように調整する係数です。具体的には、推計診療報酬変動率(出来高部分を含む)が2%を超えて変動しないように設定されます(入院料の増点等による影響は除きます)。今回の改定では、21施設と65施設、合わせて86施設が激変緩和の対象となりました。

3. 診断群分類点数表と算定ルールも見直された

診断群分類点数表では、分類の整理に加えて、入院期間Ⅱの設定方法が大きく変わりました。あわせて、転棟・再転棟時の算定ルールも見直されました。これらの変更は、1入院あたりの点数と在院日数の管理に影響します。

診断群分類数:3,265分類に整理した

診断群分類は、医療資源の同等性と臨床的類似性の観点から見直されました。その結果、傷病名数は504(前回比-2)、診断群分類数は3,265(前回比+17)、包括対象となる分類数は2,449(前回比-28)となりました。見直しの例として、非ホジキンリンパ腫ではCAR-T細胞療法(末梢血単核球採取・CAR発現生T細胞投与)の分岐が新設されました。また、新型コロナウイルス感染症は、これまでの出来高算定の取扱いが見直され、専用の診断群分類が設定されました。

入院期間Ⅱ:平均在院日数から中央値へ見直した

入院期間Ⅱの基準は、在院日数のばらつきが小さい一部の診断群分類で、平均在院日数から在院日数の中央値へ見直されました。入院期間Ⅱとは、1日あたりの点数が段階的に下がる3つの期間のうち、2番目の期間です。見直しの背景には、多くの診断群分類で平均在院日数が在院日数の中央値を上回っている実態があります。

この見直しの対象は、点数設定方式A~Cのうち、在院日数の変動係数が0.6を下回る分類です。変動係数が小さいとは、在院日数のばらつきが小さく、診療の標準化が進んでいることを意味します。変動率の上限は10%とされ、中央値は平均在院日数から±10%以内の範囲で設定されます。あわせて、1日あたりの点数の基礎となる医療資源投入量も、中央値を用いた算出方法に変わりました。中央値は平均値より短くなることが多いため、対象の分類では入院期間Ⅱの終了日が早まる可能性があります。

再転棟ルール:期間を問わず一連の入院として扱う

DPC算定病棟から他の病棟へ転棟した後の再転棟について、算定ルールが変わりました。改定後は、DPC算定病棟からDPC算定対象外の病棟へ転棟した患者が、同一傷病等で再びDPC算定病棟へ戻った場合、転棟後の期間を問わず原則として一連の入院として扱います。この変更により、転棟から再転棟までの期間が長い場合でも、原則として別の入院としては扱われなくなります。

まとめ:3つの変化を自院の数字で確認する

令和8年度改定で、DPC/PDPSは「病院の数」「病院ごとの係数」「点数表と算定ルール」の3点で大きく変わりました。第1に、DPC対象病院は1,685病院に減少し、特に100床未満の病院の減少が目立ちました。第2に、DPC標準病院群は救急搬送と全身麻酔手術の実績で2区分され、機能評価係数Ⅱでは入院初期の医療資源投入や地域の需要変動への応答性が新たに評価されました。第3に、在院日数のばらつきが小さい一部の診断群分類で入院期間Ⅱが在院日数の中央値を基準に見直され、再転棟は期間を問わず一連の入院として扱われるようになりました。

今回の区分は、令和10年度改定以降の急性期入院料の再編につながる可能性があります。DPC対象病院の皆さまは、自院の医療機関群と各係数を参考資料の医療機関別一覧(参考4・参考5)で、主要な診断群分類の入院期間Ⅱを診断群分類点数表で確認されることをおすすめします。


出典 中央社会保険医療協議会 総会(第649回、令和8年4月8日) 「令和8年度改定を踏まえたDPC/PDPSの現況について」(総-7)および参考1~5

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