株式会社アスカネットは、シナリオ型チャットボットから会話型AIへの移行により、カスタマーサポートの運用負荷を大幅に削減しました。同社のフォトブック事業「MyBook」では、GMO即レスAI(miiboを活用したサービス)の導入により、MacOS関連の問い合わせで約40%の自己解決率を達成し、お客様対応の質と効率が飛躍的に向上しています。
本事例では、シナリオ型チャットボットの課題、会話型AIへの移行プロセス、そして導入後の劇的な変化を詳しく紹介します。運用の属人化解消、お客様ニーズの可視化、そしてAIに対する意識変革まで、アスカネットが経験した3つの重要な変化から、会話型AI導入の実践的なヒントをお伝えします。
シナリオ型チャットボットが抱えていた3つの課題
アスカネットのカスタマーサポート部門は、シナリオ型チャットボットの運用において深刻な課題を抱えていました。フォトブック事業部の上原さんと井上さんによると、「頑張ってチューニングしている割に利用率が低い」という状況が続いていたのです。
シナリオ型チャットボットの最大の課題は、メンテナンスの複雑さでした。お客様の多様な質問に対応するため、無数の分岐パターンを設計し、定期的に更新する必要がありました。この作業は専任スタッフが担当していましたが、運用が完全に属人化してしまい、担当者の入れ替わりがあると、新しいスタッフが慣れるまでに膨大な時間がかかっていました。
2つ目の課題は、FAQページの検索機能の欠如でした。お客様は必要な情報を見つけるために、大量のFAQを一つずつ確認しなければならず、自己解決を諦めて有人対応に頼る傾向が強くなっていました。この状況は、サポート部門の負荷を増大させ、お客様の満足度低下にもつながっていました。
3つ目の課題は、お客様の真のニーズが見えていなかったことです。シナリオ型では設定されたパターンに沿った対応しかできず、お客様が本当に困っていることや、FAQ に載せるべき新たな情報を発見することが困難でした。
会話型AI導入がもたらした運用面での革新
GMO即レスAI(miiboベース)の導入により、運用面で劇的な改善が実現しました。最も大きな変化は、シナリオのチューニング作業から完全に解放されたことです。
会話型AIの特徴は、マニュアルやFAQをそのまま学習データとして投入できる点にあります。アスカネットの場合、既存のドキュメントをGMO即レスAIに登録するだけで、AIが自動的に適切な回答を生成するようになりました。井上さんは「管理画面もわかりやすく、誰でも使いやすいため属人化しにくい」と評価しています。
運用負荷の軽減は数値にも表れています。MacOSでの利用方法に関する問い合わせでは、約40%の自己解決率を達成しました。この数値は、シナリオ型チャットボット時代には考えられなかった成果です。また、メールや電話でのやり取り回数も大幅に減少し、お問い合わせ解決までのスピードが向上しました。
サポート時間外の対応も改善されました。24時間365日稼働する会話型AIにより、営業時間外でもお客様は必要な情報を得られるようになり、翌営業日まで待つストレスから解放されました。
データ活用とAI活用意識の変革がもたらす新たな可能性
会話型AI導入の真の価値は、お客様の行動データの可視化にあります。チャットの履歴分析により、FAQサイトに載せていない内容への問い合わせが多いことや、既存FAQの説明がわかりにくいといった課題が明確になりました。
上原さんは「お客様がどんなことを知りたいのか、困っているのかがわかるようになった」と語ります。この気づきは、単なる問い合わせ対応の効率化を超えて、サービス改善の重要なヒントを提供しています。会話型AIが収集するデータは、FAQ改善やサービス設計の貴重な資源となっています。
最も印象的な変化は、スタッフのAIに対する意識変革です。「AIとは遠い関係」と考えていたスタッフが、今では「AIをどう育てていこう」という前向きな姿勢に変わりました。この意識変化は、今後の継続的な改善活動の原動力となっています。井上さんは「社内で他のAIツールを導入する際も、積極的に関われそう」と、AI活用への自信を示しています。
実践から学ぶ会話型AI導入の成功ポイント
アスカネットの事例から、会話型AI導入を成功させるための3つの重要なポイントが明らかになりました。第一に、シナリオ型からの移行は運用負荷を劇的に軽減し、属人化を解消します。第二に、会話型AIは顧客ニーズの可視化ツールとして機能し、サービス改善の指針を提供します。第三に、スタッフのAI活用意識の変革が、継続的な改善活動の基盤となります。miiboを活用したGMO即レスAIは、これらの変革を実現する強力なツールとして、カスタマーサポートの新しい形を創造しています。
Share this post