令和6年の人事院勧告により、国家公務員の地域手当の仕組みが見直されました。この見直しに連動して、診療報酬の地域加算も改定されます。地域加算は、医業経費の地域差に配慮して入院基本料等に上乗せされる加算です。今回の改定では、地域加算の級地区分と点数が変更されるため、対象地域の医療機関は自院への影響を確認する必要があります。
今回の改定のポイントは3つあります。第1に、級地区分が現行の7段階から5段階に再編されます。第2に、各級地の点数が変更され、1級地(18点)は据え置きですが、2級地以降は新たな点数体系となります。第3に、点数が大きく変動する地域には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。
級地区分の再編:7段階から5段階へ
今回の改定で最も大きな変更点は、級地区分が7段階から5段階に再編されることです。この再編は、人事院規則で定める地域の見直しに基づいています。
現行の地域加算は、1級地から7級地までの7段階で構成されています。1級地は東京都特別区、2級地は横浜市や大阪市など、7級地は札幌市や新潟市などが該当し、市区町村単位で級地が設定されています。
改定後の地域加算は、1級地から5級地までの5段階に再編されます。この再編の背景には、人事院規則の見直しがあります。令和6年の給与法改正により、級地区分の設定が市区町村単位から都道府県単位を基本とする取扱いに変更されました。具体的には、都府県単位で級地を指定したうえで、中核的な市を個別に指定する方式に改められています。
なお、この再編後も地域加算を算定できる医療機関数に大きな変化はありません。現行の対象医療機関数は病院・有床診療所あわせて4,722施設であるのに対し、見直し後は4,855施設と、ほぼ同水準が維持されます。
点数の変更:各級地の新たな評価
級地区分の再編に伴い、各級地の点数も変更されます。以下に、現行と改定後の点数を示します。
現行の点数体系は、1級地18点、2級地15点、3級地14点、4級地11点、5級地9点、6級地5点、7級地3点の7段階です。
改定後の点数体系は、1級地18点、2級地14点、3級地11点、4級地7点、5級地4点の5段階となります。1級地の18点は据え置かれますが、2級地以降は点数が整理されます。
この点数変更により、級地が変わる地域では加算額が増減します。改定後の具体的な対象地域と級地区分は、告示や事務連絡で示されます。自院の所在地がどの級地に該当するかを、告示等の公表後に確認することが重要です。
経過措置:点数が大きく変動する地域への配慮
今回の改定では、点数が著しく変動する地域に対して経過措置が設けられます。この経過措置は、急激な収入変動を緩和するためのものです。
経過措置の対象は、別に定める地域に所在する保険医療機関です。対象となる医療機関は、令和9年5月31日までの間、算定する区分の調整が行われます。
経過措置の具体的な対象地域は、今後の告示や事務連絡で明らかになります。対象地域の医療機関は、改定後の級地区分と現行の級地区分を比較し、自院の点数がどの程度変動するかを事前に把握しておくことが重要です。
対象地域の設定基準
地域加算の対象地域は、2つの基準に基づいて設定されます。1つ目は、人事院規則で定める地域です。2つ目は、当該地域に準じる地域です。
人事院規則で定める地域とは、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第11条の3第1項に規定される地域を指します。この地域は、国家公務員に地域手当が支給される地域として定められています。
当該地域に準じる地域は、今回の改定では「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」(令和7年11月11日総務副大臣通知)別紙2に定める地域手当の支給地域を参考に設定されます。
まとめ
今回の地域加算の見直しでは、級地区分が7段階から5段階に再編され、各級地の点数が変更されます。点数が大きく変動する地域には、令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。対象地域の医療機関は、自院の所在地が改定後にどの級地に該当するかを確認し、収入への影響を試算しておくことが重要です。










