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令和10年度改定へ始動|入院・外来分科会の8つの調査項目
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令和10年度改定へ始動|入院・外来分科会の8つの調査項目

令和8年度改定の影響を検証する8項目の調査と、次期改定までのスケジュールを整理しました

令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、入院・外来医療等の調査・評価分科会(以下、分科会)が今後の進め方と調査計画を報告しました。この調査計画は、令和8年度診療報酬改定の影響を検証し、令和10年度改定の議論の土台となるデータを集めるためのものです。本号では、分科会の報告内容を、調査項目・調査内容・スケジュールの順に整理してお伝えします。

分科会は、令和8年度と令和9年度の2か年で、8つの項目について調査を実施します。8項目のうち6項目は入院医療と外来医療に関するもので、令和8・9年度の両年度で調査します。残る2項目のうち、「賃上げに係る評価等」と「医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態」は、令和9年度だけ調査します。令和8年度調査は令和8年10月から12月に実施し、令和9年3月以降に結果の速報を中医協総会に報告する予定です。

今回の報告資料(すべて分科会では令和8年5月14日に提示)

  • 総-1-1 今後の検討事項とスケジュール(案)

  • 総-1-1参考 各作業グループの作業内容

  • 総-1-2 令和8・9年度入院・外来医療等の調査について

  • 総-1-2参考1 令和8年度診療報酬改定項目の概要

  • 総-1-2参考2 分科会の検討結果(とりまとめ)令和7年9月25日(抜粋)

1. 分科会の役割と令和10年度改定に向けた進め方

分科会は、中医協の答申書に付けられた「附帯意見」の技術的な課題を、専門的に調査・検討する組織です。附帯意見とは、診療報酬改定の答申の際に、中医協が「今後引き続き検討すべき事項」として示す宿題のリストを指します。

附帯意見のうち、分科会が担当するのは12項目です。令和8年度改定の答申書附帯意見のうち、第3〜13項と第17項の計12項目について、分科会で調査・検証・検討を行うことが、令和8年4月8日の中医協総会で了承されました。担当する12項目は、賃上げ、病棟業務の効率化・タスクシフト/シェア、入院医療、人口少数地域の医療・医師偏在対策、外来医療、医療DX・オンライン診療の6分野にわたります。なお、医療DXに関することは、診療報酬改定結果検証部会で検討します。

分科会の下には、専門的な調査・分析を担う2つの作業グループがあります。

  • 診療情報・指標等作業グループ:DPCデータ等を活用した医療内容の評価指標・測定手法の分析、データの利活用の在り方

  • DPC/PDPS等作業グループ:医療機関別係数のフォローアップ、対象病院の要件、DPC退院患者調査の報告内容、病院情報の公表

DPC/PDPSとは、診断群分類に基づいて1日当たりの診療報酬を定額で支払う、急性期入院医療の包括払い制度です。これら作業グループの作業内容は、平成30年7月18日の中医協総会で承認されたものです。

分科会は、令和8年5月14日に、令和10年度改定に向けた今後の進め方と令和8・9年度の調査項目(案)を議論しました。以降は、各作業グループでの検討と、令和8年度の調査内容(案)の検討を順次進めます。DPC/PDPSについては、DPCデータを用いた検討を基本とし、必要に応じて特別調査を実施する方針です。

分科会の報告は、基本問題小委員会を経由せず、中医協総会に直接報告されます。この取扱いは、令和7年4月9日の中医協総会で決められたものです。

2. 令和8・9年度に調査する8つの項目

調査の基本的な考え方は、8項目を令和8年度と令和9年度の2か年で調べることです。効果を検証するまでに一定の期間が必要な項目は、経過措置の設定状況も踏まえ、令和9年度に調査するなどの工夫をします。

8項目と実施年度は、次のとおりです。

令和8年度・令和9年度の両年度で調査する6項目

  • (1)急性期入院医療(救急医療・DPC/PDPSを含む)に関する見直しの影響

  • (2)高度急性期入院医療(特定集中治療室管理料等)の見直しの影響

  • (3)包括期入院医療(地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料等)の見直しの影響

  • (4)慢性期入院医療(療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料等)の見直しの影響

  • (5)入院医療に関する共通事項(医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等)の見直しの影響

  • (6)外来医療に係る評価等(オンライン診療を含む)

令和9年度だけ調査する2項目

  • (7)賃上げに係る評価等

  • (8)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態

賃上げに係る調査・検証は、主に別の方法で行います。賃上げの状況は、別途提出される「賃金改善実績報告書」で把握することとされています(詳細は後述の(7)を参照)。

3. 各調査項目の調査内容

各調査項目は、附帯意見と令和8年度改定の主な改定内容に対応しています。ここでは、項目ごとに「何を検証するか」「誰に聞くか」「何を聞くか」を整理します。

(1)急性期入院医療(救急医療・DPC/PDPSを含む)

急性期入院医療の調査は、新設された急性期病院一般入院基本料や急性期総合体制加算の影響を検証します。

  • 関係する主な改定内容:急性期病院一般入院基本料の新設、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目・判定基準等の見直し、急性期総合体制加算の新設、救急外来医学管理料等の新設と救急患者連携搬送料の見直し、DPC/PDPSにおける基礎係数・機能評価係数Ⅱ・入院期間Ⅱ等の見直し

  • 調査対象:一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料等の届出医療機関

  • 調査内容:地域における急性期の病院機能(一次・二次・三次救急、高齢者救急、下り搬送・転院搬送の活用状況など)、救急外来の患者の経路・状態・転帰と職員体制、入棟患者の状況(重症度、医療・看護必要度の該当患者割合等)と病棟機能の変更の意向

下り搬送とは、高次の救急医療機関に搬送された患者を、状態に応じて地域の他の医療機関へ転院搬送することです。

(2)高度急性期入院医療(特定集中治療室管理料等)

高度急性期入院医療の調査は、ICU等の評価体系と施設基準の見直しの影響を検証します。

  • 関係する主な改定内容:救命救急入院料と特定集中治療室管理料の評価体系の見直し、特定集中治療室管理料の施設基準の見直し、ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準等の見直し

  • 調査対象:特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料等を算定している患者が入院している医療機関

  • 調査内容:病院機能(救急車の搬送件数、全身麻酔による手術件数等)、重症度、医療・看護必要度とSOFAスコアの項目別の該当患者割合、患者の状態と医療提供内容、医師等の配置・勤務状況、情報通信機器を用いた診療状況

SOFAスコアとは、呼吸・循環・肝臓・腎臓などの臓器障害の程度を点数化した、集中治療で使われる重症度の指標です。

(3)包括期入院医療(地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟等)

包括期入院医療の調査は、高齢者救急の受入れやリハビリテーションの評価の見直しの影響を検証します。包括期入院医療とは、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟などが担う、主に高齢者の緊急入院や急性期治療後の患者を受け入れ、在宅復帰までを支える入院医療です。

  • 関係する主な改定内容:地域包括医療病棟入院料と回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準等の見直し、包括期充実体制加算の新設、回復期リハビリテーション強化体制加算の新設と実績指数の評価方法の見直し

  • 調査対象:地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料等の届出医療機関 等

  • 調査内容:地域での役割と連携体制(高齢者救急、介護保険施設の協力医療機関、緊急入院患者の入院経路など)、退院後の生活機能自立に向けたリハビリテーションの実績・体制、病棟の患者像(疾患、要介護度、重症度、医療・看護必要度、ADL等)と病棟機能の変更の意向

高齢者救急については、介護保険施設からの搬送を含めて、(1)の急性期入院医療の調査と組み合わせて調べます。

(4)慢性期入院医療(療養病棟・障害者施設等)

慢性期入院医療の調査は、療養病棟の医療区分や障害者施設等入院基本料の見直しの影響を検証します。

  • 関係する主な改定内容:療養病棟入院基本料の医療区分の見直しと入院料2の医療区分2・3の患者割合の見直し、障害者施設等入院基本料における廃用症候群の患者の評価の見直し、身体的拘束最小化推進体制加算の新設、入院期間が長い病棟において入棟期間が90日以上となる場合のDPCデータ様式1の提出

  • 調査対象:療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料の届出医療機関 等

  • 調査内容:療養病棟の医療区分2・3の患者割合と患者像、障害者施設等の病棟の患者の状態と医療提供内容、救急搬送・下り搬送の受入れ状況や平均在院日数・退院先、身体的拘束最小化に向けた取組

療養病棟入院基本料の入院料2では、医療区分2・3の患者割合の要件が5割から6割に引き上げられました。

(5)入院医療に関する共通事項(負担軽減・働き方改革等)

入院医療の共通事項の調査は、看護業務の効率化や医師の働き方改革に関する見直しの影響を検証します。

  • 関係する主な改定内容:看護・多職種協働加算の新設、ICT等の活用による看護業務効率化・負担軽減、医師事務作業補助体制加算の配置基準の柔軟化、地域医療体制確保加算2と外科医療確保特別加算の新設 等

  • 調査対象:急性期総合体制加算、医師事務作業補助体制加算、看護職員夜間配置加算、地域医療体制確保加算、外科医療確保特別加算など、勤務医・看護職員の負担軽減に資する取組を要件とする項目の届出医療機関 等

  • 調査内容:負担軽減の取組を要件とする加算の届出状況、病棟・各部門の職種ごとの体制と勤務状況、身体的拘束の実施状況・入退院支援・面会制限・入院時の食事療養など

(6)外来医療(オンライン診療を含む)

外来医療の調査は、外来機能分化、生活習慣病の管理、かかりつけ医機能、オンライン診療に関する見直しの影響を検証します。

  • 関係する主な改定内容:大病院の外来診療料等の紹介・逆紹介割合に基づく減算規定の見直し、連携強化診療情報提供料の見直し、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の眼科(歯科)医療機関連携強化加算・充実管理加算の新設、特定疾患療養管理料の対象疾患の見直し、地域包括診療加算等の見直し、オンライン診療(遠隔連携診療料、D to P with Nなど)の見直し

  • 調査対象:地域包括診療料・加算、生活習慣病管理料、情報通信機器を用いた診療等の届出等を行っている医療機関

  • 調査内容:外来機能分化に向けた取組状況、生活習慣病などの管理でのガイドライン遵守と地域連携の状況、オンライン診療の取組状況と今後の活用意向・課題

D to P with Nとは、患者が看護師等と一緒にいる場面で、医師がオンラインで診療する形態です。

(7)賃上げに係る評価等(令和9年度)

賃上げの調査は、ベースアップ評価料の引上げなどにより、幅広い職種で賃上げが実施されているかを検証します。

  • 関係する主な改定内容:ベースアップ評価料の水準の引上げ、対象職員の拡大と夜勤手当に充てることを可能とする見直し、入院基本料等の見直し、調剤ベースアップ評価料と歯科技工所ベースアップ支援料の新設

  • 把握の方法:

    • 保険医療機関:ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書等(令和9年度に他の調査の一部としても必要な情報を把握)

    • 保険薬局:ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書、必要に応じて別途調査

    • 歯科技工所:歯科技工所ベースアップ支援料の実績報告書、別途調査

    • 訪問看護ステーション:ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書等、「改定の結果検証に係る特別調査」等

附帯意見では、賃上げの実態を迅速かつ詳細に把握し、必要な場合には令和9年度における更なる対応を検討するよう求めています。

(8)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態(令和9年度)

医療資源の少ない地域の調査は、人口の少ない地域での医療提供体制を支える評価の影響を検証します。

  • 関係する主な改定内容:医療提供機能連携確保加算の新設、地域医療体制確保加算2・外科医療確保特別加算の新設、人口20万人未満の地域の拠点病院における急性期総合体制加算・急性期病院B一般入院料の要件緩和 等

  • 調査対象:医療提供機能連携確保加算を算定する病院、医療資源の少ない地域に所在する保険医療機関

  • 調査内容:外来・在宅診療体制の確保に係る診療の状況、外科医の確保に向けた取組状況、医療資源の少ない地域に配慮した診療報酬項目の算定状況 等

4. 調査スケジュール

令和8年度調査は令和8年10月から12月に実施し、令和9年度調査は令和9年5月から7月に実施する予定です。どちらの調査も、分科会が調査票を作り、中医協総会に報告してから調査を実施します。

令和8年度調査

  • 調査項目・内容の決定:令和8年6月〜7月

  • 調査票の作成・決定:令和8年7月〜10月

  • 調査の実施:令和8年10月〜12月

  • 集計・分析:令和9年1月〜2月

  • 調査結果の報告(速報):令和9年3月〜

令和9年度調査

  • 調査票の作成・決定:令和9年4月〜5月

  • 調査の実施:令和9年5月〜7月

  • 集計・分析:令和9年7月

  • 調査結果の報告(速報):令和9年8月〜

スケジュールは、必要に応じて分科会と中医協で見直します。分科会の検討内容は中医協総会に報告され、中医協の意見を踏まえて必要に応じて修正されます。

5. 中長期的に検討すべき3つの課題

今回の報告では、令和8年度改定に向けた議論で積み残された課題も、参考資料として改めて示されました。令和7年9月25日の分科会とりまとめは、データ解析の技術的な限界や委員間の見解の相違があった課題を「中長期的に検討すべき課題」と位置付けました。これらの課題は、今後の実態調査や厚生労働科学研究等で検討を進めることが望ましいとされています。参考資料で抜粋された課題は、次の3つです。

持参薬ルールは、入院中の持参薬の使い方を統一するための課題です。DPCデータでは、持参薬の使用割合に医療機関間で大きなばらつきがあります。ルールを明確にするには、医療安全、病棟での確認業務の負担、患者が薬を持参する負担などの観点から、具体的な場面ごとに妥当性を丁寧に検討する必要があります。DPC/PDPS以外で薬剤費が包括される病棟での取扱いも、検討を進めることが望ましいとされました。

重症度、医療・看護必要度は、入院患者の状態を測る指標の在り方を見直す課題です。この指標は平成20年度改定で「入院患者へ提供されるべき看護の必要量」を予測する指標として導入され(当時の名称は「重症度、看護必要度」)、平成26年度改定で現在の名称に変わり、「急性期患者の医学的な特性」を測る目的が重視されるようになりました。導入から約20年が経ち、指標が現在の病棟の看護の必要量を適切に推測できているかを検証する必要があります。最新のタイムスタディ調査では、病棟看護業務の約25%を「診療・治療」、約25%を「患者のケア」が占めていました。

包括期入院医療における患者別の評価は、患者ごとの医療・看護ケアの必要量を支払いに反映させる課題です。地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟には、DPC/PDPSのように患者別に支払額を変える仕組みがなく、基本的にすべての患者が一律の支払額です。必要量に応じた支払いにならないと、患者の選別を招き、病棟の機能低下につながる懸念があります。地域包括医療病棟では、緊急入院や手術の有無などによって医療資源投入量に一定の違いがあることがわかりました。一方で、医療資源投入量が同程度でも高齢者のADLや要介護度は様々であり、引き続き最新の診療データによる分析などで検討する必要があるとされています。

6. 調査票の回収率向上の取組

分科会は、調査の精度を高めるため、回収率の向上に引き続き取り組みます。直近の令和7年度調査の回収率は、入院が58.8%(4,658施設中2,737施設)、外来が43.9%(2,300施設中1,009施設)でした。

  • 令和5年度:入院 4,700施設中2,374施設(50.5%)/外来 2,000施設中704施設(35.2%)

  • 令和6年度:入院 5,865施設中2,896施設(49.4%)/外来 2,440施設中914施設(37.5%)

  • 令和7年度:入院 4,658施設中2,737施設(58.8%)/外来 2,300施設中1,009施設(43.9%)

回収率向上の取組は、関係団体への協力依頼、リーフレットの配布、調査項目の必要最低限化、DPCデータ等の活用による調査票の合理化、オンライン回答、調査項目一覧の作成などです。令和8・9年度調査でも、これらの取組を継続します。

まとめ:令和10年度改定に向けたデータ集めが始まった

第651回中医協総会で、分科会は令和10年度改定に向けた調査計画を報告しました。調査は令和8・9年度の2か年で、8つの項目について行います。入院医療と外来医療の6項目は両年度で、賃上げと医療資源の少ない地域の2項目は令和9年度に調べます。令和8年度調査は令和8年10月から12月に実施し、令和9年3月以降に速報が報告される予定です。持参薬ルール、重症度、医療・看護必要度、包括期の患者別評価といった中長期課題の検討も続きます。

調査票が届いた医療機関にとって、回答は次の改定の評価の在り方に自院の実態を反映させる機会です。今後、分科会で調査票の内容や調査結果が示された際には、本メルマガで引き続き解説します。

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