令和8年度診療報酬改定において、脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SCU管理料)の施設基準が見直されます。今回の見直しでは、脳卒中の超急性期治療に関する実績要件が新たに追加されました。SCU管理料を届け出ている病院、および今後届出を検討している病院は、新要件への対応が必要です。
今回の見直しのポイントは3つあります。第一に、「超急性期脳卒中加算」と「経皮的脳血栓回収術」の算定実績を合計して年間20回以上という要件が新設されます。第二に、この見直しの背景には、SCUを有する病院間で超急性期治療の実績に大きな差がある現状があります。第三に、既存の届出病院には令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。
見直しの背景|SCU病院間で超急性期治療の実績に大きな差
今回の見直しの背景には、SCU管理料を算定する病院間で、超急性期治療の実績に大きな差があるという課題がありました。
脳卒中の医療体制の構築においては、「脳梗塞に対する超急性期の再開通治療」が重要とされています。再開通治療とは、脳梗塞を発症した患者に対して、血栓溶解療法(rt-PA療法)や血栓回収術によって詰まった血管を再開通させる治療のことです。この再開通治療の恩恵を住民ができる限り公平に享受できるようにすることが、脳卒中医療体制の目標とされています。
しかし、SCU管理料を算定する病院を調査したところ、超急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収術の実績に大きなばらつきがありました。中医協の審議資料(DPCデータ:令和5年4月~令和6年3月)によれば、SCU管理料の算定患者に対する超急性期脳卒中加算の算定がゼロの病院が2施設、経皮的脳血栓回収術の算定がゼロの病院が7施設存在していました。さらに、病院全体でみても、超急性期脳卒中加算の算定がゼロの病院が1施設、経皮的脳血栓回収術の算定がゼロの病院が6施設あり、これらの治療の算定回数が少数にとどまる病院も一定数ありました。
こうした実績の差は、SCU算定患者への医療の質にも影響を与えていました。同じ中医協の審議資料によれば、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の病院全体の算定回数合計が多い病院ほど、SCU算定患者の救急搬送入院患者の割合、1症例1日あたり医療資源投入量、1症例あたり手術・処置の出来高点数がいずれも高い傾向にありました。
こうした状況を踏まえ、中医協では「SCUに求められる機能を果たしている病院が保有すべきユニットであることを明確にし、実績に応じた評価とすべき」との方向性が示されました。
改定の具体的内容|超急性期治療の合計年間20回以上が施設基準に追加
今回の改定では、SCU管理料の施設基準に、超急性期の再開通治療に関する実績要件が新たに追加されます。
新設される施設基準の内容は、「超急性期脳卒中加算(A205-2)」と「経皮的脳血栓回収術(K178-4)」を合計して年間20回以上算定していることです。この2つの算定項目は、いずれも脳梗塞に対する超急性期の再開通治療に関するものです。
超急性期脳卒中加算は、脳梗塞発症後の超急性期にrt-PA(血栓溶解薬)を投与した場合に算定できる加算です。経皮的脳血栓回収術は、カテーテルを用いて脳血管内の血栓を物理的に回収する手術です。これら2つの治療を合算して年間20回以上の実績が求められることになります。
経過措置|既存届出病院は令和8年12月31日まで猶予
既にSCU管理料を届け出ている病院に対しては、経過措置が設けられています。
経過措置の内容は、令和8年3月31日時点で現にSCU管理料の届出を行っている治療室について、令和8年12月31日までの間に限り、新設された実績要件を満たしているものとみなすというものです。つまり、既存の届出病院には約9か月間の猶予期間が与えられます。
この経過措置の期間内に、対象となる病院は年間20回以上の実績を確保するか、届出の継続について判断する必要があります。
まとめ
令和8年度改定では、脳卒中ケアユニット入院医療管理料の施設基準に、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の合計年間20回以上の実績要件が新設されます。この見直しの背景には、SCU病院間で超急性期治療の実績に大きな差がある現状があります。既存の届出病院には令和8年12月31日までの経過措置がありますが、この期間内に実績の確保または届出継続の判断が必要です。SCU管理料を届け出ている病院は、自院の超急性期治療の実績を早期に確認し、対応を検討してください。










