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令和8年度診療報酬改定|手術等の医療技術の適切な評価4つの柱を徹底解説
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令和8年度診療報酬改定|手術等の医療技術の適切な評価4つの柱を徹底解説

新規技術の保険導入から整形外科Kコード細分化まで、改定の全体像を初心者向けに解説

医療技術は日々進歩しており、新しい手術手技や検査が次々と臨床現場に登場しています。一方で、診療報酬上の評価は必ずしも技術の実態や人件費・材料費に追いついておらず、医療機関の持ち出しが恒常化している術式も少なくありません。令和8年度診療報酬改定では、こうした課題に対応するため、手術等の医療技術について評価の見直しが行われます。

今回の改定では、手術等の医療技術の適切な評価として4つの柱で見直しが行われます。第1に、医療技術評価分科会の検討結果を踏まえた新規技術の保険導入と既存技術の再評価が行われます。第2に、新規医療材料等として保険適用された準用点数技術への新たな評価が行われます。第3に、外保連試案2026を参考にした技術料の見直しが行われます。第4に、整形外科領域のKコードが部位別に細分化されます。

1.新規技術の保険導入と既存技術の再評価

医療技術評価分科会の検討結果を踏まえ、新規技術の保険導入と既存技術の再評価(廃止を含む)が行われます。学会等から提案された技術のうち、優先度が高いものが新たに保険適用され、エビデンスが乏しくなった技術は廃止されます。あわせて、LDTs(Laboratory Developed Tests)の評価のあり方も整理されます。

優先度が高い新規技術として、学会等からの提案では5項目が例示されています。具体的には、骨盤内臓全摘術(ロボット支援)、死体移植腎機械灌流保存技術、自己免疫性脳炎に対する血漿交換療法、肝エラストグラフィ撮影加算、細菌培養同定検査(血液又は穿刺液)です。先進医療として実施されている技術では、陽子線治療と重粒子線治療が対象となり、いずれも切除不能の3個以内の大腸癌肺転移に係るもので、かつ原発巣切除後であり局所再発のないものに限られます。保険医療材料等専門組織で審議された技術では、「注意欠如多動症治療補助プログラム」の使用に係る医療技術や、在宅振戦等刺激装置治療指導管理料及び疼痛等管理用送信器加算(遠隔プログラミングを算定対象とするための再評価)が対象となります。

廃止される技術の例として、ヒッチコック療法が挙げられます。臨床的な使用実績や有効性のエビデンスを踏まえ、診療報酬上の評価から削除される技術が整理されます。

LDTsの評価については、令和8年度改定の次の改定における医療技術評価分科会の評価対象とする方向が示されました。具体的には、性能評価や精度管理等の要件を満たすことが客観的に担保された施設で実施されていること、国内診療において一定の使用実績があることの2要件を満たすLDTsが対象となります。LDTsとは、単一の検査室または検査室ネットワーク内で設計・開発・製造され、臨床診断の補助や臨床的管理の意思決定に用いられる検査を指します。

2.新規医療材料等の準用点数技術への新たな評価

C2区分で保険適用された新規医療材料等について、これまで準用点数で算定されていた医療技術に技術料が新設されます。準用点数とは、新規材料が保険適用された際に、既存の類似技術の点数を準用して算定する仕組みです。今回の改定では、こうした準用状態の技術に独立した点数が設定されます。

技術料新設の代表例として、植込型除細動器移植術に「4 胸骨下植込型リードを用いるもの 24,310点」が新設されます。胸骨下植込型リードという新しい医療材料の特性を踏まえ、従来の経静脈リード等を用いるものとは区別された独立評価が行われます。これにより、医療機関は技術の実態に即した算定が可能となります。

3.外保連試案2026に基づく技術料の見直し

外科系学会社会保険委員会連合(外保連)の「外保連試案2026」における人件費及び材料費の調査結果等を参考に、技術料の見直しが行われます。外保連試案は、各術式に要する人件費・医療材料費等を学会が積算した資料であり、診療報酬の適正化を検討する際の重要な参考データです。今回の改定で見直される区分の例として、CT撮影が挙げられます。

CT撮影については、機器のマルチスライス列数による区分が見直されます。現行では「64列以上」「16列以上64列未満」「4列以上16列未満」「その他」の4区分でしたが、改定後は「128列以上」が新設され5区分となります。具体的な点数は、128列以上の共同利用施設で1,120点、その他で1,100点となり、64列以上128列未満は共同利用施設で1,020点、その他で1,000点とされます。最新の高性能機器による撮影が独立して評価されることで、機器更新を進める医療機関のインセンティブとなります。

4.整形外科領域のKコードの部位別見直し

整形外科領域のKコードについて、部位別を基本として区分が見直されます。これまで複数部位を一括りにしていた区分が、部位ごとに細分化されます。背景には、外科系学会社会保険委員会連合の手術基幹コードであるSTEM7の分類に基づく解析により、手術時間に有意な差があることが明らかになった点があります。

骨折観血的手術(K046)を例にとると、現行の3区分が改定後は15区分に細分化されます。現行では「肩甲骨、上腕、大腿」(21,630点)、「前腕、下腿、手舟状骨」(18,370点)、「鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他」(11,370点)の3区分でした。改定後は、肩甲骨骨折、上腕骨骨折、大腿骨骨折、前腕骨骨折、下腿骨骨折、手舟状骨骨折、鎖骨骨折、膝蓋骨骨折、手根骨(舟状骨を除く。)骨折、中手骨骨折、手指骨骨折、足根骨骨折、中足骨骨折、足趾骨骨折、その他の骨折観血的手術の15項目に整理されます。点数水準は現行と同様の3階層(21,630点、18,370点、11,370点)が維持されつつ、各部位がどの階層に該当するかが明確化されます。

部位別細分化により、診療実態に即した算定がしやすくなります。これまで複数部位がまとめられていた区分が部位ごとに独立して整理されることで、レセプト記載の明確化と統計データの精緻化が期待されます。

まとめ:手術等医療技術の評価が実態に即したものへ

令和8年度診療報酬改定では、手術等の医療技術の適切な評価として4つの見直しが行われます。新規技術の保険導入と既存技術の再評価、準用点数技術への技術料新設、外保連試案2026に基づくCT撮影等の技術料見直し、整形外科Kコードの部位別細分化です。いずれも、医療技術の進歩や実態に即した適正な評価を目指したものです。

医療機関の事務担当者や臨床現場の医師・看護師にとっては、改定後の点数算定ルールの確認が不可欠です。特にCT撮影の128列以上の新設や、整形外科Kコードの細分化は、施設基準の届出やレセプト記載の運用に直接影響します。改定告示・通知の発出後、速やかに自院の対応状況を点検することをお勧めします。

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