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【令和8年度改定】3次元プリント有床義歯4,000点を新設|算定要件を解説
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【令和8年度改定】3次元プリント有床義歯4,000点を新設|算定要件を解説

1顎4,000点の新設項目について、対象機器・包括範囲・施設基準を初心者向けに整理します

3次元プリント有床義歯は、新規医療機器等として保険適用された医療機器を用いて製作する義歯です。しかし、保険適用の時点では専用の評価がなく、通常の有床義歯の点数を準用する取扱いが続いています。そこで令和8年度診療報酬改定では、歯科治療のデジタル化を推進する観点から、3次元プリント有床義歯に対する新たな評価が設けられます。本稿では、この新設項目の内容を、点数、算定要件、施設基準の順に整理します。

新設項目「3次元プリント有床義歯」は、デジタル機器で設計・製作した有床義歯を1顎単位で包括的に評価します。点数は1顎につき4,000点です。算定には、指定されたコンピュータ支援設計・製造ユニットと歯科技工用重合装置を用いた設計・製作・装着が求められ、印象採得などの基本的な技術料は所定点数に含まれます。施設基準は、体制の整備と機器・設備の保有の2点で構成され、機器・設備は歯科技工所との連携でも要件を満たせます。

1. 新設の背景:準用点数から独自の評価へ

新設の背景には、3次元プリント有床義歯が保険適用されながら独自の評価を持たなかった経緯があります。この項では、保険適用の経緯と、デジタル化がもたらす効果を確認します。

3次元プリント有床義歯は、新規医療機器等として保険適用されました。中央社会保険医療協議会の資料では、令和7年12月に保険適用される予定と示されています。保険適用から令和8年度改定までの間は通常の「有床義歯」の評価を準用する取扱いとされ、製作方法の違いが点数に反映されない状態が続いていました。

準用の状態を解消するため、令和8年度改定では専用の評価が新設されます。個別改定項目の基本的な考え方にも、「現在準用点数で行われている3次元プリント有床義歯について、新たな評価を行う」と示されました。新たな評価は、歯科治療のデジタル化を推進するという改定の方針に沿った措置です。

デジタル化の推進が求められる理由は、義歯製作の効率化にあります。中医協に提出された資料では、有床義歯の製作をデジタル化することで、一般的な義歯製作に比べて5時間程度の製作時間が短縮されたとの報告が紹介されました。製作時間の短縮は、歯科技工に係る業務負担の軽減にもつながります。

2. 新設される点数:1顎につき4,000点

新設される点数は、3次元プリント有床義歯1顎につき4,000点です。この項では、点数の水準と算定単位を確認します。

点数は「3次元プリント有床義歯(1顎につき)4,000点」として設定されます。算定単位は1顎であり、上下顎の両方に製作した場合は、それぞれ1顎として算定します。なお中医協資料では、3次元プリント義歯は総義歯として説明されています。対象となる義歯の範囲は、改定に伴う告示・通知で改めて確認してください。

1顎単位という算定単位は、算定要件でも改めて示されています。算定要件の(2)には「本区分を算定する場合は、1顎単位で算定する」と規定されました。1口腔単位で算定する新製有床義歯管理料などとは単位が異なるため、レセプト作成時には注意が必要です。

3. 算定要件:機器・製作方法・包括範囲

算定要件は、使用する機器、製作方法、包括される技術料の3点に整理できます。この項では、それぞれの内容を順に説明します。

使用する機器は、コンピュータ支援設計・製造ユニットと歯科技工用重合装置の2つです。前者は歯科技工室設置型のものを指し、後者は液槽光重合方式3次元プリント有床義歯製作装置を指します。算定できるのは、これらの機器を用いて有床義歯を設計・製作し、装着した場合に限られます。

製作方法は、作業模型を用いた間接法と定められています。算定要件の(1)では、3次元プリント有床義歯を「コンピュータ支援設計・製造ユニット及び歯科技工用重合装置を用いて、作業模型で間接法により造形製作された有床義歯」と定義しました。口腔内で直接造形する方法は、この定義に該当しません。

包括される技術料は、製作時に実施した基本的な技術料です。算定要件の(3)には、印象採得、咬合採得、仮床試適、装着等の基本的な技術料が所定点数に含まれ、別に算定できないと規定されました。これらを個別に算定していた従来の有床義歯とは取扱いが異なるため、点数算定の際は特に注意が必要です。

4. 製作後の取扱い:修理・再製作は従来どおり

製作後の取扱いは、従来の有床義歯と同じルールに従います。この項では、義歯修理や再製作を実施する場合の算定方法を確認します。

義歯修理や再製作等を実施する場合は、M018に掲げる有床義歯の例により算定します。算定要件の(4)に規定されたこの取扱いにより、装着後の対応は従来の有床義歯と共通になります。新設項目が適用されるのは新たに製作して装着する場面に限られる、と整理すると理解しやすいでしょう。

5. 施設基準:体制と機器設備の2要件

施設基準は、体制の整備と機器・設備の保有という2つの要件で構成されます。この項では、それぞれの要件と届出の必要性を説明します。

第1の要件は、当該療養を行うにつき十分な体制が整備されていることです。第2の要件は、当該療養を行うにつき十分な機器及び設備を有していること、または十分な機器及び設備を有している歯科技工所との連携が確保されていることです。第2の要件に連携の選択肢が設けられたことで、自院に機器を持たない医療機関でも算定の道が開かれました。

これら2つの要件を満たしたうえで、地方厚生局長等への届出が必要です。届出を行った保険医療機関でなければ、3次元プリント有床義歯は算定できません。院内に機器を導入するか、機器を有する歯科技工所と連携するかは、各医療機関が製作体制の実態に応じて判断することになります。

まとめ:算定の可否は「機器・単位・届出」で確認する

3次元プリント有床義歯の新設は、準用点数による暫定的な取扱いを解消し、デジタル技術による義歯製作を正面から評価する見直しです。点数は1顎につき4,000点で、印象採得や咬合採得などの基本的な技術料は所定点数に含まれます。算定には、指定機器を用いた間接法での設計・製作・装着に加え、体制と機器・設備に関する施設基準の届出が必要です。機器・設備の要件は歯科技工所との連携でも満たせるため、まずは自院の製作体制と連携先の状況を確認することから始めましょう。

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