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【令和8年度改定】調剤基本料の見直し|47点への引き上げと新設減算15点
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【令和8年度改定】調剤基本料の見直し|47点への引き上げと新設減算15点

面分業は評価アップ、立地依存は評価ダウン。改定10項目と経過措置を一気に確認

「患者のための薬局ビジョン」の策定から10年が経過しました。この10年で処方箋集中率が85%を超える薬局の割合はむしろ増加し、医療モール内の薬局や調剤基本料2を算定する薬局の損益率は他の薬局より高い水準にあります。厚生労働省は、こうした立地に依存する構造からの脱却と薬剤師の職能発揮を、令和8年度診療報酬改定の課題と位置づけました。本稿では、個別改定項目「Ⅲ-8-① 調剤基本料の見直し」の内容を、実務で確認すべき順に整理します。

今回の見直しは、立地に依存しない薬局の評価を引き上げ、立地に依存する薬局の評価を引き下げる構造になっています。第一に、面分業を担う薬局が算定する調剤基本料1は45点から47点に、調剤基本料3のハは35点から37点に引き上げられます。第二に、調剤基本料2と調剤基本料3のイは、処方箋集中率と処方箋受付回数の基準が引き下げられ、該当する薬局の範囲が広がります。第三に、門前薬局等立地依存減算が新設され、対象となる薬局は所定点数から15点を減算されます。第四に、処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールが見直され、医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされます。

1. 面分業を担う薬局は調剤基本料1が47点に上がる

調剤基本料の点数の引き上げは、面分業を推進する観点から2つの区分で行われます。引き上げの対象は、調剤基本料1と調剤基本料3のハです。いずれも現行から2点の引き上げとなります。

調剤基本料1は、45点から47点に引き上げられます。調剤基本料1は、調剤基本料2、調剤基本料3および特別調剤基本料のいずれの施設基準にも該当しない薬局が算定する区分です。特定の医療機関に依存せず、多くの医療機関の処方箋を応需する薬局が、今回の引き上げの中心的な対象になります。

調剤基本料3のハも、35点から37点に引き上げられます。調剤基本料3のハは、改定後の基準では、同一グループの処方箋受付回数の合計が1月に40万回を超えるグループに属し、かつ処方箋集中率が85%以下である薬局が算定する区分です。大手グループに属する薬局であっても、特定の医療機関に依存しない店舗は評価を引き上げる、という考え方が読み取れます。

■ 引き上げの内容

  • 調剤基本料1

    • 45点 → 47点(+2点)

  • 調剤基本料3のハ

    • 35点 → 37点(+2点)

2. 立地に依存する薬局は調剤基本料2・3の対象が広がる

調剤基本料2および調剤基本料3の施設基準は、特定の医療機関に依存する薬局をより広く捉える方向で見直されます。見直しの内容は4つです。調剤基本料2は、受付回数の基準が引き下げられ、都市部の薬局を対象とする基準が新設されます。調剤基本料3は、イの基準が統合される一方、ロとハからは店舗数の要件が削除されます。

調剤基本料2は、処方箋集中率85%超・処方箋受付回数1月1,800回超で該当するようになります。現行は、受付回数2,000回超なら集中率85%超、受付回数1,800回超なら集中率95%超が基準でした。改定後はこの2つの基準が1つに統合されます。その結果、受付回数が1,800回超2,000回以下で集中率が85%超95%以下の薬局が、新たに調剤基本料2の対象になります。

都市部に新規開設する薬局は、処方箋受付回数1月600回超・集中率85%超で調剤基本料2に該当します。この新しい基準は、別表第三の一に掲げる地域に所在し、かつ水平距離500メートル以内に他の保険薬局がある場合に限って適用されます。別表第三の一に掲げる地域とは、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市および熊本市です。損益率が高い大都市の小規模門前薬局を適正化する狙いがあります。なお、施設基準の条文に「新規開設」という要件はありません。既存の薬局の多くは次に述べる経過措置によって当面の間対象から外れるため、実質的な対象が新規に開設する薬局になります。

調剤基本料3のイは、同一グループの受付回数3万5千回超40万回以下・集中率85%超に統合されます。現行は、3万5千回超4万回以下なら集中率95%超、4万回超40万回以下なら集中率85%超という2階建ての基準でした。改定後は、3万5千回超4万回以下のグループに属する薬局も、集中率85%超で調剤基本料3のイに該当します。あわせて、医療機関との関係を示す要件が「不動産の賃貸借取引」から「不動産取引等その他の特別な関係」に拡大されます。

調剤基本料3のロおよびハからは、同一グループの店舗数300以上という要件が削除されます。改定後の基準は、同一グループの受付回数の合計が1月40万回を超えることに一本化されます。300店舗以上のグループの損益率が令和6年度改定後に低い水準となった実態が、この削除の背景です。店舗数は多いが受付回数が40万回以下のグループに属する薬局は、これらの区分から外れることになります。

小規模な薬局には、集中率の判定を緩和する経過措置が設けられます。令和8年5月31日時点で処方箋受付回数が1月当たり1,800枚以下として届け出ており、その後も継続的に1,800枚以下である薬局が対象です。対象となる薬局は、当面の間、処方箋集中率を85%以下とみなして取り扱われます。集中率が85%以下とみなされる結果、これらの薬局は集中率を基準とする調剤基本料2の区分には該当しません。

3. 新規開設の薬局には門前薬局等立地依存減算15点が新設される

門前薬局等立地依存減算は、所定点数から15点を減算する新しい仕組みです。減算の対象となるのは、2つの類型に該当する薬局です。いずれの類型でも、特別調剤基本料Aを算定する薬局は対象から除かれます。ただし、既存の薬局は経過措置によって当面の間対象外となるため、実質的な対象は新規に開設する薬局に限られます。

第1の類型は、都市部の薬局が密集する地域に立地する薬局です。この類型は、次の3つの要件をすべて満たす場合に該当します。1つ目は、別表第三の一に掲げる地域に所在し、かつ水平距離500メートル以内に他の保険薬局があることです。2つ目は、処方箋集中率が85%を超えることです。3つ目は、①許可病床数200床以上の医療機関の敷地の境界線から水平距離100メートル以内の区域に所在し、当該区域内および当該医療機関の敷地内に他の保険薬局が2以上あること、②周囲50メートルの区域内に他の保険薬局が2以上あること、③周囲50メートルの区域内に所在する他の保険薬局が②に該当すること、のいずれかに当てはまることです。

第2の類型は、医療機関と同一の敷地内または建物内に立地する薬局です。この類型は、処方箋集中率が85%を超え、かつ医療機関と同一の敷地内または建物内に所在する場合に該当します。いわゆる敷地内薬局と医療モール内の薬局が想定されています。

既存の薬局には、減算を適用しない経過措置が設けられます。令和8年5月31日時点で現に保険薬局の指定を受けている薬局は、当面の間、この減算の施設基準に該当しないものとして取り扱われます。したがって、今回の減算は、令和8年6月1日以降の新規開設を抑制する仕組みとして機能します。

4. 処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールが変わる

処方箋集中率と処方箋受付回数の計算方法も、あわせて見直されます。見直しの内容は3つです。医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされ、集中率の計算から除外する処方箋が追加され、在宅や施設の処方箋は受付回数に算入されます。

医療モールの複数医療機関は、1つの医療機関とみなして集中率を計算します。同一の建物内または同一の敷地内に複数の医療機関が所在する場合、それらの処方箋の受付回数をすべて合算し、特定の医療機関に係る受付回数として扱います。この取扱いは、調剤基本料2の上位3医療機関の合計集中率70%超という基準にも適用されます。医療機関が3つ以上ある医療モールの薬局が基準を下回っていた実態が、この見直しの背景です。

集中率の計算から除外する処方箋には、施設入居者の処方箋が追加されます。除外の対象は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームおよび認知症高齢者グループホームに入居する患者の処方箋です。ただし、単一建物診療患者または単一建物居住者が1人の場合の処方箋は除外されません。集中率の基準をわずかに下回らせるために遠方の高齢者施設の処方箋を意図的に受け入れる事例が、この見直しにつながりました。なお、情報通信機器を用いた服薬指導の処方箋、同一グループの薬局の勤務者およびその家族の処方箋は、現行と同様に除外されます。

処方箋受付回数から除外する処方箋は、時間外等処方箋のみになります。現行では、在宅患者訪問薬剤管理指導料等に係る処方箋と居宅療養管理指導費に係る処方箋も受付回数から除外されていました。改定後は、これらの規定が削除され、在宅や施設の患者の処方箋も受付回数に算入されます。その結果、在宅対応の多い薬局では受付回数が現行より増える点に注意が必要です。

5. まとめ:評価の軸は「立地」から「機能」へ

令和8年度改定の調剤基本料は、立地に依存しない薬局を評価する方向で見直されます。面分業を担う薬局の調剤基本料1は45点から47点に、調剤基本料3のハは35点から37点に引き上げられます。一方で、調剤基本料2と調剤基本料3のイは基準が緩和され、該当する薬局の範囲が広がります。新規に開設する薬局には、門前薬局等立地依存減算として15点の減算が新設されます。処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールも見直され、医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされます。自局の集中率と受付回数を新しいルールで再計算し、令和8年6月からの算定区分を早めに確認しておきましょう。

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