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令和8年度改定|歯科技工士連携加算はこう変わる 対象拡大と施設基準の厳格化
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令和8年度改定|歯科技工士連携加算はこう変わる 対象拡大と施設基準の厳格化

補綴時診断料への新設、工程ごとの算定、処遇改善体制の要件化まで4つの変更点を整理

令和6年度改定で新設された歯科技工士連携加算は、算定が一定の広がりを見せています。一方で、加算を算定しない理由として「必要性を感じない(従来の技工指示等で対応可能)」や「歯科医師と歯科技工士が連携を行う時間の調整が難しい」が上位を占め、連携の実効性には課題が残りました。本稿は、この課題を受けた令和8年度改定の見直し内容を、算定要件と施設基準の両面から整理します。

今回の見直しは、加算の対象を広げる一方で、施設基準を引き上げる内容です。第一に、対象範囲は、補綴時診断料への新設、印象採得の対象補綴物の拡大、光学印象の評価の再編という3方向に広がります。第二に、算定回数は、同一の補綴物でも工程ごとに別に算定できるルールへ改まります。第三に、施設基準は、歯科技工士の負担軽減・処遇改善に資する体制と、院内掲示・ウェブサイト掲載が追加されます。第四に、技工料は、保険医療機関と歯科技工所の相互の連携に基づき決定する旨が留意事項に明記されます。

1. 見直しの背景|「連携する時間がない」を制度で解きほぐす

見直しの背景には、連携加算が使われる場面の狭さと、歯科技工士の人材確保という2つの事情があります。制度の狙いを押さえると、個々の要件変更の意味が読み取りやすくなります。

連携加算が使われる場面は、これまで補綴物の製作工程の一部に限られていました。従来の対象は、印象採得(光学印象を含む)、咬合採得、仮床試適の3工程です。設計や材料を決める補綴時診断は対象外であり、連携が最も効果を発揮する上流工程が評価されていませんでした。さらに、同一の補綴物では製作工程につき1回しか算定できず、複数工程で連携しても評価は1回分にとどまりました。

歯科技工士の人材確保は、連携加算のもうひとつの狙いです。厚生労働科学研究は、歯科技工士不足の解決策として、歯科医師と歯科技工士の情報共有と連携体制の整備、そしてICTの活用を提言しました。しかし令和7年度の検証調査では、加算が人材定着・確保に寄与した程度について「現時点ではわからない」が54.3%を占めています。加算による評価が歯科技工士に届いているかを確かめる仕組みが、今回の施設基準の見直しにつながりました。

2. 対象範囲の拡大|補綴時診断料への新設、印象採得の拡大、光学印象の再編

対象範囲は、3つの区分で広がります。いずれも、対面による連携を歯科技工士連携加算1(60点)、情報通信機器による連携を歯科技工士連携加算2(80点)として評価する形に統一されました。

補綴時診断料には、歯科技工士連携加算1・2が新設されます。対象となるのは、高強度硬質レジンブリッジ(M017-2)、チタンブリッジ(M017-3)、3次元プリント有床義歯(M018-2)を製作する場合です。このうち3次元プリント有床義歯は、令和8年度改定で新たに評価される項目です。歯科医師が歯科技工士に意見を求め、その内容を踏まえて補綴時診断を行った場合に算定します。同時に2以上の新たな欠損補綴について説明した場合でも、算定は1回です。設計段階での相談が評価対象に加わった点が、今回の目玉といえます。

印象採得は、対象補綴物が大きく広がります。現行の対象は、レジン前装金属冠(M011)、レジン前装チタン冠(M011-2)、CAD/CAM冠(M015-2)の3つに限られていました。改定案では、前歯部の歯冠補綴物またはブリッジを製作する場合が広く対象となります。拡大されたのは対象補綴物の種類であり、前歯部の印象採得を行う場合という前提は現行と変わりません。歯科医師が歯科技工士とともに色調採得および口腔内の確認等を行い、補綴物の製作に活用するという要件も同じです。

光学印象は、評価そのものが組み替えられます。現行は「光学印象歯科技工士連携加算」として50点であり、対象はCAD/CAMインレー(M015-3)、方法は対面のみでした。改定案では、対象にCAD/CAM冠(M015-2)が加わり、名称も歯科技工士連携加算1・2に統一されます。あわせて情報通信機器を用いた連携が算定できるようになり、点数も60点・80点へ引き上げられます。

区分 現行 改定案 補綴時診断料 対象外 加算1:60点/加算2:80点(新設) 印象採得 レジン前装金属冠等の3種 前歯部の歯冠補綴物またはブリッジ 光学印象 50点・対面のみ・CAD/CAMインレー 加算1:60点/加算2:80点、CAD/CAM冠を追加 咬合採得・仮床試適 加算1・加算2を算定可 点数の見直しはなく、併算定ルールのみ変更

3. 併算定ルールの見直し|「製作工程につき1回」から「工程ごと」へ

併算定のルールは、算定機会を増やす方向へ転換します。連携の回数に応じた評価となる点で、実務への影響が最も大きい見直しです。

現行は、1つの補綴物につき1回しか算定できません。印象採得で加算を算定すると、同じ補綴物について咬合採得や仮床試適の加算は算定できない仕組みでした。工程ごとに連携しても、評価は最初の1回で打ち止めとなります。

改定案は、同一の補綴物でも工程ごとに別に算定できます。「同日に行った場合を除き、別に算定する」との規定が、補綴時診断料と印象採得、印象採得と咬合採得、咬合採得と仮床試適という隣接する工程の間に置かれました。有床義歯のように補綴時診断から装着まで4回程度の来院を要する治療では、来院日ごとの連携が評価されます。ただし同日に複数の工程を行った場合は、重複して算定できません。

各工程では、加算1か加算2のいずれか1つだけを算定します。「1装置につき、いずれか1つのみ算定する」との規定が、各区分に共通で置かれました。同じ工程で対面と情報通信機器の両方を用いても、算定できるのは一方のみです。

4. 施設基準の見直し|処遇改善体制と情報公開を要件化

施設基準は、要件が実質的に厳しくなります。届出済みの医療機関も、追加された要件への対応が必要です。なお経過措置の有無は個別改定項目に示されておらず、告示・通知での確認が欠かせません。

歯科技工士連携加算1の施設基準には、3つの要件が追加されます。従来からの要件は、歯科技工士の配置または他の歯科技工所との連携体制の確保です。ここに、歯科技工士の負担軽減および処遇の改善に資する体制の整備、連携体制に関する事項の院内掲示、そして掲示事項の原則ウェブサイト掲載が加わります。加算による評価を歯科技工士に還元し、その体制を患者にも示すことが求められます。

歯科技工士連携加算2の施設基準は、加算1の要件をすべて満たすことが前提となります。加えて、情報通信機器を用いた歯科診療を行うにつき十分な体制の整備が必要です。現行では加算1と加算2の要件が並列に置かれていましたが、改定案では加算1を土台とする積み上げ型に整理されました。

施設基準の項番と対象項目も改まります。現行の「二の二」は「三の二」となり、名称に補綴時診断料と光学印象が加わります。光学印象の連携加算が独立した加算から統合された点が、名称の変更に表れています。

5. 技工料の取扱いの明確化|相互の連携に基づく費用決定

歯冠修復および欠損補綴の通則についても、取扱いが明確化されます。補綴物を円滑に製作・委託できる環境を整えるための見直しです。

算定留意事項は、現行の5が削除され、新たに9が設けられます。新設される9では、歯科技工の委託に当たり、製作技工に要する費用および製作管理に要する費用の決定を、保険医療機関と歯科技工所の相互の連携に基づき行うこととされました。委託先の歯科技工所と協議のうえで費用を決める運用が、留意事項として明文化された形です。

この明確化は、歯科技工所従事者の賃上げ議論を背景としています。歯科技工所への支払いは歯科医療機関を経由するため、評価の効果が現場に届く仕組みが課題とされてきました。ただし賃上げそのものへの対応は別の項目で措置されるため、本項目は費用の決定過程を明確にする位置づけと理解するのが適切です。

まとめ|「対象を広げ、還元を求める」改定

令和8年度改定は、歯科技工士連携加算の対象を広げる一方で、算定する医療機関に体制整備と情報公開を求めます。対象範囲は、補綴時診断料への新設、印象採得の対象拡大、光学印象の再編により3方向へ広がります。算定回数は、同日実施を除き工程ごとに別に算定できるルールへ改まります。施設基準は、歯科技工士の負担軽減・処遇改善に資する体制、院内掲示、ウェブサイト掲載が追加されます。技工料は、保険医療機関と歯科技工所の相互の連携に基づき決定する旨が明記されます。届出済みの医療機関ほど、追加された施設基準への対応を早めに確認しておくことをおすすめします。

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