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【令和8年度改定】障害者施設等入院基本料における廃用症候群の評価が変わる|3つの入院料が対象
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【令和8年度改定】障害者施設等入院基本料における廃用症候群の評価が変わる|3つの入院料が対象

障害者施設等入院基本料・特殊疾患入院医療管理料・特殊疾患病棟入院料の3つが対象となる改定内容を詳しく解説

令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料等における廃用症候群の患者の評価が見直されます。この見直しは、障害者施設等入院基本料を算定する病棟に入院する廃用症候群の患者の状態が、療養病棟に入院する患者と類似しているという実態調査の結果を踏まえたものです。本記事では、この見直しの背景、具体的な改定内容、対象となる入院料と除外される患者について解説します。

今回の改定では、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料の3つの入院料において、主傷病名が廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた評価に変更されます。ただし、廃用症候群を発症する以前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は、この見直しの対象外です。この変更により、該当する廃用症候群の患者の診療報酬は、療養病棟に準じた評価に切り替わります。

見直しの背景:廃用症候群の患者状態は療養病棟と類似

障害者施設等入院基本料を算定する病棟では、廃用症候群の患者が多く入院しています。令和6年度の実態調査によると、障害者施設等入院基本料の10対1入院基本料では廃用症候群の患者が5.0%を占め、13対1・15対1入院基本料では11.8%を占めていました。これらの患者は「肢体不自由」として対象患者に含まれている割合が高い状況です。

こうした廃用症候群の患者の状態は、療養病棟に入院する患者と類似していることが明らかになっています。認知症の有無、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)、医療的な状態のいずれにおいても、障害者施設等入院基本料と療養病棟入院料で類似した分布を示しました。一方で、レセプト請求点数は障害者施設等入院基本料の方が高い状況でした。

患者の状態が類似しているにもかかわらず、請求点数に差がある背景には、障害者施設等入院基本料の算定構造の違いがあります。障害者施設等入院基本料は「個別の病態変動が大きく、その変動に対し高額な薬剤や高度な処置が必要となるような患者」を対象としており、投薬・注射・処置等が原則出来高で算定されます。これに対し、療養病棟入院基本料は医療区分とADL区分に応じた包括評価です。同じような状態の患者であっても、入院する病棟によって評価体系が異なることが、慢性期入院料の役割分担の観点から課題とされていました。

これまでの経緯:段階的に進められてきた評価の見直し

今回の廃用症候群に関する見直しは、障害者施設等入院基本料における累次の改定の流れを引き継ぐものです。療養病棟と障害者施設等入院基本料の双方に多く入院している患者については、過去の改定で段階的に療養病棟に準じた評価体系への見直しが行われてきました。

平成28年度改定では、重度の意識障害者(脳卒中の後遺症の患者に限る)のうち、医療区分1または2に相当する患者について、療養病棟入院基本料の評価体系を踏まえた評価が導入されました。続く令和4年度改定では、重度の意識障害を有さない脳卒中の患者についても、同様に療養病棟入院料の評価体系を踏まえた評価が導入されています。さらに令和6年度改定では、透析を実施する慢性腎臓病患者について、療養病棟入院基本料に準じた評価体系とする見直しが行われました。

令和8年度改定における廃用症候群の見直しは、こうした段階的な見直しの延長線上に位置づけられます。脳卒中の後遺症、脳卒中、慢性腎臓病に続き、廃用症候群が療養病棟に準じた評価の対象に加わることになります。

改定の具体的な内容:廃用症候群の患者を療養病棟に準じた評価に

今回の改定では、障害者施設等入院基本料の注13の算定要件が変更されます。現行の注13は、脳卒中または脳卒中の後遺症の患者を対象としていました。改定後は、この対象に廃用症候群の患者が追加されます。

具体的には、注13の対象患者が「脳卒中又は脳卒中の後遺症の患者」から「脳卒中、脳卒中の後遺症又は廃用症候群の患者」に拡大されます。この対象患者のうち、医療区分2または医療区分1に相当する患者については、通常の障害者施設等入院基本料ではなく、療養病棟に準じた点数で算定することになります。

改定後の除外要件も拡充されています。現行では、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者等が除外対象でした。改定後は、これらに加えて「脳卒中又は廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)であった患者」が除外対象として明記されます。つまり、もともと重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者が廃用症候群を発症した場合は、引き続き従来どおりの障害者施設等入院基本料(出来高)で算定できます。

対象となる3つの入院料

この見直しは、障害者施設等入院基本料だけでなく、特殊疾患入院医療管理料と特殊疾患病棟入院料にも適用されます。3つの入院料に共通して、主傷病名が廃用症候群の患者について療養病棟に準じた評価が導入されます。

障害者施設等入院基本料は、個別の病態変動が大きく高額な薬剤や高度な処置が必要となる患者を対象とする入院料です。重度の肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者等が7割以上を占めることが施設基準となっています。特殊疾患入院医療管理料と特殊疾患病棟入院料は、処置内容や病態の変動はそれほど大きくないものの、医療の必要性が高い患者を対象としています。

3つの入院料に共通する除外要件として、廃用症候群を発症する以前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は対象外となります。この除外要件が設けられた背景には、実態調査のデータがあります。廃用症候群の患者のうち、身体障害者障害程度等級表の1級・2級に該当する患者は、療養病棟の患者と比べてより頻回な看護提供を必要とする割合が高いことが示されていました。このため、もともと重度の障害がある患者については、従来の評価体系を維持することが適切と判断されたのです。

まとめ

令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料の3つの入院料において、廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた評価に見直されます。この見直しは、廃用症候群の患者の状態が療養病棟と類似しているにもかかわらず請求点数に差があるという実態を踏まえたものです。ただし、廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は除外されます。対象となる医療機関では、廃用症候群の患者の入院管理体制と算定方法の見直しが必要になります。

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