令和8年度診療報酬改定は、外来や在宅医療など様々な場面でオンライン診療の推進を進めています。しかし、在宅振戦等刺激装置治療指導管理料とプログラム医療機器等指導管理料には、これまで情報通信機器を用いた場合の評価がありませんでした。本稿は、この2つの管理料に新設された情報通信機器を用いた場合の評価を、背景と算定要件に分けて解説します。
今回の改定では、2つの管理料に情報通信機器を用いた場合の評価が新たに設けられました。在宅振戦等刺激装置治療指導管理料は、情報通信機器を用いた場合に所定点数に代えて705点を算定できます。プログラム医療機器等指導管理料は、情報通信機器を用いた場合に所定点数に代えて78点を算定できます。いずれの管理料も、情報通信機器を用いた診療の体制を整え、施設基準を地方厚生局長等に届け出る必要があります。
在宅振戦等刺激装置治療指導管理料の新設(705点)
在宅振戦等刺激装置治療指導管理料には、情報通信機器を用いた場合の評価として705点が新設されました。
在宅振戦等刺激装置治療指導管理料は、振戦などの不随意運動症に対して脳深部刺激療法(DBS)を受ける患者を対象とします。DBSは、患者の体内に刺激装置を植え込み、その刺激の設定を医師が定期的に調整する治療です。この調整は、これまで患者が医療機関へ来院し、対面で行う必要がありました。
来院による調整を変えたのが、DBSの遠隔プログラミングです。遠隔プログラミングは、インターネット回線を介して刺激の設定を遠隔から変更する技術を指します。この技術に対応するプログラム医療機器は、令和4年11月に薬事承認されました。海外の臨床試験では、遠隔プログラミングの有用性と安全性が示されています。さらに、日本定位・機能神経外科学会が「脳深部刺激療法(DBS)における遠隔プログラミングの手引き」を作成し、対面診療と遠隔プログラミングを適切に組み合わせる方法を示しました。
こうした有用性と手引きを踏まえ、情報通信機器を用いた場合の評価が新設されました。具体的には、施設基準を届け出た保険医療機関が、当該指導管理を情報通信機器を用いて行った場合に、所定点数に代えて705点を算定できます。
プログラム医療機器等指導管理料の新設(78点)
プログラム医療機器等指導管理料には、情報通信機器を用いた場合の評価として78点が新設されました。
プログラム医療機器等指導管理料は、患者自らが使用する治療用アプリ等の指導管理を月1回評価する管理料です。対象となるアプリには、ニコチン依存症治療補助アプリや高血圧症治療補助アプリがあります。所定点数は90点です。
今回の新設は、併算定する管理料との整合性を踏まえています。プログラム医療機器等指導管理料は、ニコチン依存症管理料や生活習慣病管理料(Ⅱ)と併せて算定できます。これらの併算定する管理料には、すでに情報通信機器を用いた場合の規定がありました。一方、プログラム医療機器等指導管理料には、この規定がありませんでした。
この規定の不整合を踏まえ、情報通信機器を用いた場合の評価が新設されました。具体的には、施設基準を届け出た保険医療機関が、当該医学管理を情報通信機器を用いて行った場合に、所定点数に代えて78点を算定できます。
算定に必要な施設基準と届出
いずれの管理料も、情報通信機器を用いた場合の評価を算定するには、施設基準を満たして届け出る必要があります。
両管理料に共通する施設基準は、情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていることです。この体制を整えた上で、地方厚生局長等に届け出ます。
プログラム医療機器等指導管理料は、この共通基準に加えて、もう一つの施設基準を満たす必要があります。それは、プログラム医療機器等の指導管理を行うにつき十分な体制が整備されていることです。つまり、従来からの指導管理の体制と、新たな情報通信機器の体制という2つの体制を備える必要があります。
まとめ
令和8年度改定は、オンライン診療の推進の一環として、2つの管理料に情報通信機器を用いた場合の評価を新設しました。在宅振戦等刺激装置治療指導管理料は所定点数に代えて705点、プログラム医療機器等指導管理料は所定点数に代えて78点を算定できます。いずれの管理料も、情報通信機器を用いた診療の体制を整え、施設基準を届け出ることが算定の前提となります。










