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【令和8年度改定】重複投薬・相互作用等防止加算が廃止|新設2加算で最大50点へ
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【令和8年度改定】重複投薬・相互作用等防止加算が廃止|新設2加算で最大50点へ

調剤管理料の加算と在宅患者管理料を廃止し、目的別の2加算へ再編。新旧の点数と算定要件を整理します

令和8年度診療報酬改定では、調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算と、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料が廃止されます。現行の評価は、残薬調整に係るものを20点、それ以外を40点とする一律の設定でした。この設定では、服用薬剤の継続的・一元的な把握に基づく薬剤調整が、点数に反映されません。本稿では、廃止に代えて新設される2つの加算について、対象患者・算定根拠・点数区分の順に整理します。

今回の見直しは、疑義照会に対する評価を、介入の質に応じて階層化する再編です。第一に、廃止される2項目は、調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算に統合されます。第二に、調剤時残薬調整加算は、患者や家族からの残薬の聞き取りと、7日分以上相当の調剤日数の変更を要件として、30点または50点を算定します。第三に、薬学的有害事象等防止加算は、薬剤服用歴や電子処方箋の仕組みを用いた重複投薬の確認等を根拠として、残薬調整以外の処方変更を30点または50点で評価します。いずれの加算も、在宅患者への対応と、かかりつけ薬剤師による対応を50点で高く評価します。

1. 廃止と新設の全体像:区分の軸が「場所」から「目的」へ移る

新旧の対応関係は、「2項目の廃止」と「2加算の新設」という組み替えで整理できます。廃止されるのは、外来を対象とした重複投薬・相互作用等防止加算と、在宅を対象とした在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料です。新設されるのは、残薬調整を対象とする調剤時残薬調整加算と、残薬調整以外を対象とする薬学的有害事象等防止加算です。つまり、評価を区分する軸が、「外来か在宅か」から「残薬調整か、それ以外か」へ移ります。

廃止される2項目は、患者のいる場所によって評価が分かれていました。重複投薬・相互作用等防止加算は、外来患者の処方箋を対象に、照会による処方変更を評価する加算でした。在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、在宅患者を対象に、照会による処方変更と、処方箋交付前の処方提案を評価する管理料でした。この2項目は、いずれも残薬調整に係るもの以外を40点、残薬調整に係るものを20点としていました。

新設される2加算は、介入の目的によって評価が分かれます。調剤時残薬調整加算は、残薬に基づく調剤日数の変更を評価します。薬学的有害事象等防止加算は、残薬調整以外の処方変更を評価します。この2加算はどちらも調剤管理料の加算であるため、在宅患者も外来患者も同じ枠組みで評価されます。

2加算の点数は、イからニまでの4区分で共通します。イは、在宅患者へ処方箋が交付される前に処方提案を行い、それが反映された処方箋を受け付けた場合の50点です。ロは、在宅患者について変更が行われた場合(イを除く)の50点です。ハは、かかりつけ薬剤師による対応で変更が行われた場合(イ・ロを除く)の50点です。ニは、イからハまで以外の場合の30点です。

◆残薬調整に係るもの → 調剤時残薬調整加算

  • 現行:20点

  • 改定後:イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点

◆残薬調整に係るもの以外 → 薬学的有害事象等防止加算

  • 現行:40点

  • 改定後:イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点

※イ=在宅患者への交付前の処方提案、ロ=在宅患者への対応、ハ=かかりつけ薬剤師による対応、ニ=それ以外

この4区分により、点数は引き上げと引き下げの両方向に動きます。残薬調整に係るものは、20点から30点以上へ引き上げられます。残薬調整に係るもの以外は、在宅患者とかかりつけ薬剤師の対応が40点から50点へ引き上げられます。一方で、残薬調整に係るもの以外のうち、在宅患者にもかかりつけ薬剤師にも該当しない場合は、40点から30点へ引き下げられます。現行40点を算定してきた外来の一般的な疑義照会は、この引き下げの対象になる点に注意が必要です。

なお、イとロにいう「在宅患者」の範囲は、条文と施設基準の両方で定められます。条文が定めるのは、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する患者です。施設基準が加えるのは、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者、在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者、居宅療養管理指導費を算定している患者、介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者です。ただし、居宅療養管理指導費と介護予防居宅療養管理指導費は、薬局の薬剤師が行う場合に限られます。

2. 調剤時残薬調整加算:聞き取りと7日分以上の日数変更を評価する

調剤時残薬調整加算は、聞き取りを起点とする実効性の高い残薬対策を評価します。対象患者は、調剤管理料を算定する患者のうち、残薬が確認された患者です。算定の根拠は、患者又はその家族等から収集した情報等に基づく残薬の確認です。算定の要件は、処方医の指示又は照会の結果に基づく、7日分以上相当の調剤日数の変更です。

対象患者は、残薬が確認された患者に限られます。ここでの残薬とは、飲み残した医薬品や飲み忘れた医薬品を指します。残薬を確認する起点は、患者又はその家族等からの情報収集です。したがって、患者との対話を通じて残薬を把握する日常業務が、そのまま算定の前提になります。

算定要件には、「7日分以上相当」という新しい閾値が設けられます。この閾値は、残薬調整の実効性を担保する趣旨と読み取れます。ただし、6日分以下の変更でも算定できる例外が用意されます。例外に該当するのは、保険薬剤師が患者の服薬状況等により必要性があると判断した場合です。この場合は、その理由を調剤報酬明細書に記載することで算定できます。

要件の追加は、記録と説明の負担が増えることを意味します。算定にあたっては、残薬の確認方法と変更した調剤日数を、記録として残す必要があります。6日分以下の調整では、必要性を判断した理由も明細書に記載しなければなりません。一方で、点数は20点から最大50点へ引き上げられます。負担の増加に見合う評価が用意された、と整理できます。

3. 薬学的有害事象等防止加算:一元管理に基づく処方変更を評価する

薬学的有害事象等防止加算は、服用薬剤の一元管理に基づく薬剤調整を評価します。対象患者は、調剤管理料を算定する患者のうち、処方医に確認すべき点がある処方箋が交付された患者です。この「確認すべき点」からは、残薬に係るものが除かれます。算定の根拠は、薬剤服用歴や、電子処方箋の仕組みを用いた重複投薬の確認等です。算定の要件は、照会の結果として処方に変更が行われたことです。

名称の変更は、評価の対象が広がったことを示します。現行の名称は「重複投薬・相互作用等防止」でした。新しい名称は「薬学的有害事象等防止」です。この変更により、重複投薬と相互作用は、防止すべき薬学的有害事象の代表例として位置づけ直されると読み取れます。

算定の根拠には、電子処方箋の仕組みを用いた確認が明記されます。ここでの仕組みとは、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づき、電磁的記録をもって作成された処方箋の仕組みです。この明記は、他の医療機関の処方まで含めた一元的な把握を求める趣旨と読み取れます。中医協の議論でも、機械的なチェックそのものではなく、その結果を薬学的に判断する行為を評価するという整理が示されていました。

処方変更に至らない照会は、引き続き評価されません。算定の要件は、あくまで「処方に変更が行われた場合」です。この点は現行の加算と同じです。したがって、照会の内容と処方変更の結果を対応づけて記録する運用が、これまでどおり求められます。

4. 実務対応:算定漏れを防ぐための3つの準備

新加算の算定に向けて、薬局が準備すべき点は3つあります。第一は、手帳の活用実績の確保です。第二は、残薬の聞き取りと調剤日数変更の記録です。第三は、かかりつけ薬剤師と在宅対応の体制整備です。

手帳の活用実績は、算定の可否そのものを左右します。新設される2加算は、いずれも「別に厚生労働大臣が定める保険薬局において行われた場合を除く」との除外規定を置きます。除外されるのは、施設基準に示された「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」です。つまり、手帳の活用実績が乏しい薬局は算定できません。同様の除外規定は現行の重複投薬・相互作用等防止加算にも置かれています。一方、廃止される在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料には、この除外規定がありません。在宅を中心に対応してきた薬局ほど、手帳の活用実績を確認する必要があります。

残薬の聞き取りと調剤日数変更の記録は、7日分以上要件を裏づける材料になります。記録すべき情報は、誰からどのように残薬を確認したかという経緯です。あわせて、変更した調剤日数と、処方医の指示又は照会の結果も残します。6日分以下の調整を行った場合は、必要性を判断した理由の記載が追加で必要です。

かかりつけ薬剤師と在宅対応の体制は、1回あたり20点の差を生みます。ハの50点は、服薬管理指導料の注1に規定するかかりつけ薬剤師が対応した場合の評価です。かかりつけ薬剤師以外が対応した場合は、ニの30点にとどまります。在宅患者では、処方箋の交付前に処方提案を行うイの区分が、最も高い評価の入口になります。

なお、地域支援体制加算の実績要件には、「重複投薬・相互作用等防止加算等の実績」が含まれています。加算の廃止と新設に伴う実績の取扱いは、今後示される告示・通知で確認が必要です。

まとめ:評価軸は「何をしたか」から「誰がどう関わったか」へ

令和8年度改定では、重複投薬・相互作用等防止加算と在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料が廃止されます。廃止される2項目は、調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算に統合されます。調剤時残薬調整加算は、残薬の聞き取りと7日分以上相当の調剤日数の変更を要件に、30点または50点を算定します。薬学的有害事象等防止加算は、薬剤服用歴や電子処方箋の仕組みを用いた確認等を根拠に、残薬調整以外の処方変更を30点または50点で評価します。2加算に共通する評価軸は、在宅患者への関与と、かかりつけ薬剤師としての関与です。まずは手帳の活用実績と残薬の記録運用から、算定に向けた準備を進めましょう。

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