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【令和8年度改定】歯周病SPTとP重防が統合|新設「歯周病継続支援治療」の全要点
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【令和8年度改定】歯周病SPTとP重防が統合|新設「歯周病継続支援治療」の全要点

算定要件の整理・統合と新加算の創設まで、歯科診療所が押さえるべき変更点を体系的に整理

歯周病は成人の約半数が罹患し、糖尿病をはじめとする全身疾患との関連も明らかになっている国民的な疾患です。これまで継続管理の評価は「歯周病安定期治療(SPT)」と「歯周病重症化予防治療(P重防)」の2系統で運用されてきましたが、両者は対象とする歯周組織の状態こそ異なるものの、提供される治療内容が類似しているという課題がありました。本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定で実施される歯周病継続管理の評価体系の抜本的な見直しについて、歯科診療所が押さえるべき変更点を体系的に解説します。

令和8年度改定の見直しは、大きく2つの柱で構成されます。第1の柱は、SPTとP重防を「歯周病継続支援治療」へ整理・統合し、点数体系をシンプルに再編することです。第2の柱は、糖尿病患者に対する医科歯科連携を強化するため、従来の「歯周病ハイリスク患者加算」を「重症化予防連携強化加算」へと名称変更し、主治医への情報提供を要件として追加することです。これらの見直しによって、ライフコースを通じた継続的・効果的な歯周病治療と、医科との情報連携が同時に推進されることになります。

SPTとP重防を統合した「歯周病継続支援治療」の創設

令和8年度改定では、これまでのSPTとP重防が「歯周病継続支援治療」という新たな名称のもとに整理・統合されます。両治療は対象患者の歯周組織の状態に違いがあったものの、プラークコントロール、スケーリング、SRP、咬合調整、機械的歯面清掃といった治療内容が共通していました。算定回数も年々増加し、令和6年の月次審査データでは両治療を合わせて月あたり300万回を超える規模に達するなか、評価体系のシンプル化が長年の論点となっていたのです。

新設される歯周病継続支援治療は、歯数に応じた3段階の点数構造を維持しつつ、点数水準を再設定します。具体的には、1歯以上10歯未満が170点、10歯以上20歯未満が200点、20歯以上が350点となります。算定対象は「一連の歯周病治療終了後、継続支援が必要な患者」に拡張され、SPTとP重防それぞれで設定されていた歯周組織の状態に応じた区分は撤廃されます。

算定頻度の基本ルールは3月に1回(前回実施月の翌月初日から2月経過後)が維持されます。ただし、口腔管理体制強化加算の届出を行っている診療所では月1回の算定が可能となり、歯周外科手術後など治療間隔の短縮が必要な場合の取り扱いも従前どおり継続されます。これにより、患者の状態に応じた柔軟な継続管理が引き続き実施できる仕組みとなっています。

ハイリスク患者加算から「重症化予防連携強化加算」への再編

歯周病ハイリスク患者加算は、令和8年度改定で「重症化予防連携強化加算」へ名称が変更され、要件と点数が大きく見直されます。従来の加算は、主治医からの文書をもって歯周病が重症化するおそれのある患者にSPTを実施した場合の評価でしたが、その後に医科医療機関へ歯科治療や口腔内状況をフィードバックする要件は設定されていませんでした。実態調査でも、糖尿病患者に関する医科からの情報提供依頼は約9%にとどまっており、連携の不足が指摘されていたのです。

新たな重症化予防連携強化加算は、80点から100点へと評価が引き上げられるとともに、医科医療機関への診療情報提供が新たな要件として追加されます。具体的には、歯科診療のみを行う保険医療機関を除く他の保険医療機関からの情報に基づき歯周病継続支援治療を実施し、かつ、診療情報を当該医療機関に提供した場合に算定できる仕組みです。算定には医科側からの情報提供が前提となるため、医科起点で受け取った情報に対して歯科から治療結果や口腔内状況をフィードバックする、双方向の連携プロセスが要件化されます。

エビデンスの蓄積も、この見直しを後押ししています。糖尿病患者に対する非外科的歯周治療の介入は、HbA1c値の有意な改善(平均0.30%減少)をもたらすことがメタアナリシスで確認されており、歯周治療が血糖コントロールに資する全身管理の一環として位置づけられているためです。重症化予防連携強化加算は、こうしたエビデンスを診療現場での連携実装へとつなげる仕組みといえます。

口腔管理体制強化加算と外科移行時の取り扱い

口腔管理体制強化加算120点は、令和8年度改定後も引き続き算定可能です。小児口腔機能管理料注3に規定する施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た診療所が、歯周病継続支援治療を開始した場合に所定点数へ加算する仕組みは維持されます。かかりつけ歯科医機能の中核をなす評価として、継続管理の質を担保する役割を担い続けることになります。

歯周外科手術へ移行した場合の取り扱いも、現行ルールが踏襲されます。歯周病継続支援治療の開始後に病状の変化により歯周外科手術を実施した場合は、歯周精密検査によって再び病状が安定し継続的な治療が必要と判断されるまでの間、歯周病継続支援治療は算定できません。また、歯周病継続支援治療を開始した日以降に歯周外科手術を実施した場合は、所定点数の100分の50で算定するルールも継続されます。これらの取り扱いにより、急性憎悪期の外科介入と安定期の継続管理が明確に切り分けられた評価体系となっています。

なお、現行の「歯周病重症化予防治療」は削除され、SPTとP重防の併算定不可規定(現行注7)も整理されます。これに伴い、令和8年度改定以降は歯周病の継続管理に係る包括評価は「歯周病継続支援治療」に一本化されることになります。

まとめ

令和8年度改定における歯周病継続管理の見直しは、評価体系のシンプル化と医科歯科連携の実質化という2つの柱で構成されます。SPTとP重防は「歯周病継続支援治療」へ整理・統合され、歯数に応じた3段階の点数構造のもとで継続管理が一本化されます。歯周病ハイリスク患者加算は「重症化予防連携強化加算」へと再編され、主治医への診療情報提供が新たな要件として追加されることで、糖尿病をはじめとする全身疾患を有する患者への医科歯科連携が推進されます。歯科診療所においては、新たな算定要件を踏まえた診療体制の整備と、医科医療機関との連携プロトコルの再構築が求められます。

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