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【令和8年度改定】DPC/PDPSの5つの見直しポイントを徹底解説
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【令和8年度改定】DPC/PDPSの5つの見直しポイントを徹底解説

標準病院群の細分化から入院期間Ⅱの中央値移行まで、実務に直結する改定内容を整理

令和8年度診療報酬改定では、DPC/PDPSについて、医療の標準化・効率化を更に推進する観点から複数の見直しが行われます。見直しの対象は、医療機関別係数の設定、診断群分類点数表の改定、算定ルールの変更など多岐にわたります。

今回の改定における主な見直しポイントは5つです。第一に、DPC標準病院群が救急実績等に基づき「標準病院群1」と「標準病院群2」に細分化されます。第二に、機能評価係数Ⅱのうち複雑性係数の評価手法が入院初期重視に変更されます。第三に、地域医療係数について定量評価指数と体制評価指数の双方が見直されます。第四に、入院期間Ⅱが平均在院日数から中央値へ移行する診断群分類が生じます。第五に、再転棟時の算定ルールが厳格化されます。

DPC標準病院群の細分化|「標準病院群1」と「標準病院群2」

DPC標準病院群が、救急搬送の受入実績等に基づき、基礎係数の評価を区別する2つの区分に分けられます。この見直しは、DPC標準病院群において救急搬送受入件数の多い病院ほど、包括点数に対する包括範囲出来高点数が高い傾向にあるという実態を踏まえたものです。

「DPC標準病院群1」に該当するには、以下の4つの要件のいずれかを満たす必要があります。第一の要件は、救急車等による搬送入院患者数が年間700人以上であることです。第二の要件は、救急車等による搬送入院患者数が年間200人以上であり、かつ全身麻酔による手術件数が年間500件以上であることです。第三の要件は、人口20万人以下の二次医療圏に所在し、当該医療圏内で救急搬送入院患者数が最大かつ年間400人以上であることです。第四の要件は、離島のみで構成される二次医療圏に所在し、当該医療圏内で救急搬送入院患者数が最大であることです。

これらの要件のいずれにも該当しない医療機関は「DPC標準病院群2」に区分されます。なお、令和10年度改定以降は、急性期病院A一般入院料または急性期病院B一般入院料の届出を行う医療機関とすることが念頭に置かれており、今回はデータの収集が行われます。

機能評価係数Ⅱの見直し|複雑性係数と地域医療係数の変更

機能評価係数Ⅱでは、複雑性係数の評価手法と地域医療係数の2つが主に見直されます。

複雑性係数は、入院初期の医療資源投入をより重視する評価手法に変更されます。従来の複雑性係数は「1入院当たりの包括範囲出来高点数」で評価していたため、1日当たりの出来高点数は低くても平均在院日数が長い診断群分類が高く評価される課題がありました。今回の見直しでは、各診断群分類の在院日数25%tile値までの平均包括範囲出来高点数により評価する方式が導入されます。この変更により、急性期入院医療における入院初期の医療資源投入の密度がより適切に反映されます。

地域医療係数のうち定量評価指数については、DPC標準病院群において評価方法が拡充されます。従来は小児(15歳未満)とそれ以外(15歳以上)の2区分で地域シェアを評価していました。今回の改定では、DPC標準病院群に限り、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患及び周産期の4領域に着目した評価に見直されます。具体的には、従来の小児区分に周産期が統合され「小児(15歳未満)及び周産期」となり、15歳以上の区分は更にがん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患の3領域に細分化されます。この見直しにより、全診断群分類の地域シェアは低くても、特定の疾患領域で地域に重要な役割を果たしている医療機関が適切に評価されます。

地域医療係数のうち体制評価指数については、2つの項目が新設されます。ひとつは「認定ドナーコーディネーターの院内配置」です。過去3カ年において法的脳死判定後の臓器提供実績が0件の医療機関が、認定ドナーコーディネーターを配置している場合に0.5Pが付与されます。ただし、この項目の評価は令和9年度以降に開始されます。もうひとつは「地域の需要変動への応答性」です。DPC算定病床数に占める各日の入院患者数の割合のばらつきを評価し、97.5%tile値に満たない場合は-1Pとなります。

診断群分類の見直し|入院期間Ⅱの中央値への移行

診断群分類については、入院期間Ⅱの基準が一部の診断群分類で平均在院日数から中央値に変更されます。この見直しの背景には、多くの診断群分類において平均在院日数が中央値を上回っている実態があります。

中央値への移行対象となるのは、在院日数の変動係数が0.6を下回る診断群分類です。これらの診断群分類は在院日数の標準化が比較的進んでいるため、中央値への移行による影響が限定的と判断されました。ただし、移行に伴う急激な変化を防ぐため、変動率の上限は10%に設定されています。この上限により、入院期間Ⅱが大幅に短縮される事態は回避されます。

このほか、新型コロナウイルス感染症に係る取扱いも見直されます。従来は、医療資源を最も投入した傷病名として新型コロナウイルス感染症が選択された患者を出来高算定としていましたが、この特例的な取扱いが見直されるとともに、診断群分類の設定等の必要な見直しが行われます。

算定ルールと激変緩和措置の見直し

算定ルールでは、再転棟時の取扱いが変更されます。DPC算定病棟から非DPC算定病棟へ転棟した後に、同一傷病等により再びDPC算定病棟に戻る場合、転棟後の期間を問わず、原則として一連の入院として扱うことになります。従来は転棟後7日以内に限り一連の入院とされていましたが、DPC算定病床以外の病床を有する医療機関の割合が増加したことを踏まえ、この期間制限が撤廃されます。

激変緩和係数は、従前の考え方が維持されます。推計診療報酬変動率(出来高部分も含む)が2%を超えて変動しないよう激変緩和係数が設定されます。新たにDPC/PDPSに参加する医療機関については、改定前実績との比較で2%を超えて低く変動した場合に、所属する医療機関群の平均的な係数値を用いた補正計算が行われます。

退院患者調査についても、データに基づく適切な入院医療の評価を行う観点から、調査項目の見直しが行われます。診断群分類の設定に必要な項目の追加や、不要な項目の削除等が実施されます。

まとめ

令和8年度のDPC/PDPS改定は、医療機関別係数、診断群分類、算定ルールの3つの領域にわたる見直しです。DPC標準病院群は救急実績等に基づき「標準病院群1」と「標準病院群2」に細分化され、基礎係数の評価が区別されます。機能評価係数Ⅱでは、複雑性係数が入院初期重視の評価手法に変わり、地域医療係数では定量評価に疾患領域別の評価が導入されるとともに体制評価に2つの新規項目が加わります。入院期間Ⅱは変動係数0.6未満の診断群分類で中央値に移行し、再転棟の算定ルールは期間制限が撤廃されます。各医療機関は、自院がどの病院群に分類されるかの確認とともに、新たな係数設定への対応を早期に進めることが重要です。

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