令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた地域医療の確保に向けて、かかりつけ機能の評価体系が抜本的に見直されます。これまでのかかりつけ歯科医機能とかかりつけ薬剤師機能は、複雑な算定要件や業務実態との乖離が課題として指摘されてきました。本稿では、個別改定項目「Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価」のうち、歯科・薬局に関わる⑥⑦⑧の3項目を体系的に整理します。
今回の見直しは3つの柱で構成されます。第1に、歯科疾患管理料・小児口腔機能管理料・口腔機能管理料が一本化または2区分化され、対象患者が拡大されます。第2に、歯周病安定期治療(SPT)と歯周病重症化予防治療(P重防)が「歯周病継続支援治療」へ統合され、医科歯科連携を評価する加算が再編されます。第3に、かかりつけ薬剤師指導料と包括管理料が廃止され、服薬管理指導料への統合と新加算の創設、施設基準の再構成が行われます。
⑥ 歯科疾患管理料、小児口腔機能管理料及び口腔機能管理料の要件並びに評価の見直し
⑥では、かかりつけ歯科医による口腔機能管理を推進するため、3つの管理料が見直されます。口腔機能発達不全症や口腔機能低下症と診断されながらも、算定要件を満たさず管理料を算定できない患者が多数存在することが背景にあります。
歯科疾患管理料は、初診月の80/100減額規定が廃止され、90点に一本化されます。現行では初診月80点・再診月100点の2段階評価でしたが、改定後は初診月・再診月を問わず一律90点で算定できます。
小児口腔機能管理料は、現行の1区分(60点)から2区分に細分化されます。口腔機能の評価項目において3項目以上該当する患者は管理料1(90点)、2項目該当の患者は管理料2(50点)で算定します。NDBデータで約13万件が歯科疾患管理料のみの算定にとどまっていた口腔機能発達不全症の患者に対して、より幅広い管理が提供可能となります。
口腔機能管理料も、現行の1区分(60点)から2区分に細分化されます。口腔細菌定量検査や咀嚼能力検査等を実施した患者は管理料1(90点)、検査未実施の患者は管理料2(50点)で算定します。約7.7万件が歯科疾患管理料のみの算定にとどまっていた口腔機能低下症の患者にも、管理料の算定範囲が広がります。
詳細はこちらの記事で解説しています: 👉 【令和8年度改定】歯科疾患管理料・口腔機能管理料の3つの変更点を解説
⑦ 継続的・効果的な歯周病治療の推進
⑦では、歯周病の継続管理を評価する2つの点数が統合・再編されます。従来のSPTとP重防は、対象とする歯周組織の状態こそ異なるものの、提供される治療内容が類似していたため、評価体系のシンプル化が長年の論点でした。
歯周病継続支援治療は、SPTとP重防を整理・統合した新設項目です。歯数に応じた3段階の点数構造が採用され、1歯以上10歯未満が170点、10歯以上20歯未満が200点、20歯以上が350点で算定します。算定対象は「一連の歯周病治療終了後、継続支援が必要な患者」に拡張され、歯周組織の状態による区分は撤廃されます。
重症化予防連携強化加算は、歯周病ハイリスク患者加算を再編した新名称の加算です。点数は80点から100点に引き上げられ、医科医療機関への診療情報提供が新たな要件として追加されます。糖尿病患者に対する非外科的歯周治療がHbA1c値を平均0.30%改善するというメタアナリシスの結果を踏まえ、双方向の医科歯科連携を促す仕組みです。
詳細はこちらの記事で解説しています: 👉 【令和8年度改定】歯周病SPTとP重防が統合|新設「歯周病継続支援治療」の全要点
⑧ かかりつけ薬剤師の推進
⑧では、かかりつけ薬剤師の評価体系が3つの観点から組み替えられます。業務ノルマ化の指摘や、患者によるかかりつけ薬剤師の選択という本来の趣旨が浸透していないという課題への対応です。
かかりつけ薬剤師指導料(76点)及びかかりつけ薬剤師包括管理料(291点)は廃止されます。廃止される指導料の機能は、服薬管理指導料の中にかかりつけ薬剤師区分(イ)として統合されます。現行で認められている服薬管理指導料の特例(59点算定)も、今回の改定で削除されます。
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(3月に1回50点)及びかかりつけ薬剤師訪問加算(6月に1回230点)は、新設項目です。フォローアップ加算は前回調剤後からの継続的な服薬状況確認に対する評価、訪問加算は患者または家族の求めに応じた患家訪問と情報提供に対する評価として、それぞれ位置づけられます。
施設基準は、薬剤師個人の要件と薬局全体の要件に再構成されます。薬剤師個人の勤務時間要件は週32時間以上から週31時間以上に、在籍期間要件は1年以上から6か月以上に緩和されます。一方、薬局全体としては常勤保険薬剤師の平均在籍期間1年以上または管理薬剤師の継続在籍3年以上という要件が新設され、勤務継続性が担保されます。
詳細はこちらの記事で解説しています: 👉 【令和8年度改定】かかりつけ薬剤師の評価体系を抜本見直し|指導料廃止・新加算創設・施設基準再編
まとめ
令和8年度改定のⅡ-3⑥⑦⑧では、かかりつけ歯科医機能とかかりつけ薬剤師機能の評価体系が抜本的に見直されます。⑥では歯科疾患管理料が90点に一本化され、小児口腔機能管理料と口腔機能管理料が2区分化されます。⑦ではSPTとP重防が歯周病継続支援治療に統合され、重症化予防連携強化加算が医科歯科連携要件とともに再編されます。⑧ではかかりつけ薬剤師指導料と包括管理料が廃止され、服薬管理指導料への統合と新加算の創設、施設基準の再構成が行われます。歯科診療所と保険薬局においては、新たな算定要件と施設基準を踏まえた診療体制・業務フローの整備が求められます。










