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【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ
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【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ

看護配置の猶予、専従要件の緩和、常勤要件の引下げなど、医療現場の人手不足に対応する改定の全体像を解説

令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足に対応するため、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。この柔軟化は、質の高い医療提供体制の維持と人材確保の取組の両立を図ることを目的としています。

今回の柔軟化は、5つの項目で構成されています。第一に、看護職員の一時的な不足時に届出猶予を認める仕組みが新設されます。第二に、感染対策向上加算等の専従者が他業務に従事できるようになります。第三に、常勤職員の所定労働時間要件が週32時間から週31時間に引き下げられます。第四に、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。第五に、療法士の専従要件が大幅に緩和され、業務範囲と兼任ルールが見直されます。

① やむを得ない事情における施設基準等に関する取扱いの見直し

看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する猶予ルールが新設されます。平時から公的職業紹介を活用した採用活動を行っている医療機関が、突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。この猶予は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。コロナ特例として運用されていた仕組みが、突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説」をご覧ください。

② 感染対策向上加算等における専従要件の見直し

感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で見直されます。第一の柱は、専従者が介護保険施設等へ赴いて助言できる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム・抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者が、所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が、退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。いずれも、専門人材が支援業務と院内業務をより柔軟に両立できるようにするための改定です。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和」をご覧ください。

③ 常勤職員の常勤要件に係る勤務時間数の見直し

常勤職員の所定労働時間要件が、週32時間以上から週31時間以上に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)との整合性を図るものです。対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点」をご覧ください。

④ 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組の推進

摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が3つのポイントで見直されます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていた課題に対応するものです。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント」をご覧ください。

⑤ 疾患別リハビリテーション料や特定入院料において配置された療法士による専門性を生かした指導等の更なる推進

療法士の専従要件が5つの観点から大幅に緩和されます。第一に、専従の従事者がリハビリテーション以外の業務に従事した時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士の業務範囲が明確化され、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士に業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。特に、兼任ルールの緩和と回復期リハビリテーション病棟における「全ての患者」への対象拡大は、人員配置や病棟運営に直結する変更です。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説」をご覧ください。

まとめ

令和8年度診療報酬改定における「診療報酬上求める基準の柔軟化」は、5つの項目で構成されています。看護職員の一時的不足時の届出猶予の新設、感染対策向上加算等の専従者の業務範囲の拡大、常勤要件の週31時間への引下げ、摂食嚥下機能回復体制加算等の要件緩和、そして療法士の専従要件の大幅な緩和です。これらの見直しに共通するのは、医療の質を担保しつつ、限られた人材をより柔軟に活用できる仕組みを整備するという方向性です。各医療機関においては、自院に該当する項目を確認し、施設基準の届出や運用体制の見直しを早めに進めることが重要です。

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