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【令和8年度改定】かかりつけ医機能の5大見直しを総まとめ|機能強化加算から時間外対応まで
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【令和8年度改定】かかりつけ医機能の5大見直しを総まとめ|機能強化加算から時間外対応まで

機能強化加算・生活習慣病管理料・特定疾患療養管理料・地域包括診療加算・時間外対応体制加算の改定内容を整理

令和8年度診療報酬改定では、かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価(個別改定項目Ⅱ-3)が大きく見直されます。この見直しは、かかりつけ医機能の体制整備を推進するとともに、対象患者の適正化と評価範囲の明確化を図るものです。本記事では、Ⅱ-3に位置づけられる5つの改定項目について、それぞれの要点を整理します。

今回のメルマガでは、5つの項目を順に解説します。第1に、機能強化加算ではBCP策定など3つの新要件が追加されます。第2に、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)では包括範囲の縮小など5つの見直しが行われます。第3に、特定疾患療養管理料では胃潰瘍・十二指腸潰瘍にNSAIDs除外条件が新設されます。第4に、地域包括診療加算等では対象患者の拡大や認知症加算の統合など6項目が見直されます。第5に、時間外対応加算は「時間外対応体制加算」へと名称変更され、全区分で点数が引き上げられます。各項目の詳細は、本文中のリンクから個別記事をご参照ください。


① 機能強化加算の見直し|3つの新要件を追加

機能強化加算では、かかりつけ医機能の体制整備を推進するため、施設基準に3つの新要件が追加されます。点数(80点)に変更はありません。

1つ目の新要件は、業務継続計画(BCP)の策定です。災害等の発生時においても医療の提供を継続するための計画を策定し、計画に従った措置の実施と定期的な見直しが求められます。既届出医療機関には、令和9年5月31日までの経過措置が設けられています。

2つ目の新要件は、健康保険法第68条の2第1項に基づく期限付き指定を受けた診療所の対象除外です。外来医師多数区域において都道府県知事の要請等に応じなかった診療所は、機能強化加算を算定できなくなります。

3つ目の新要件は、外来データ提出加算の届出が「望ましい」要件として位置づけられたことです。現時点では努力義務であり、届出がなくても機能強化加算の算定は可能ですが、外来データ提出体制の早期整備が望まれます。

▼ ポイント: BCP策定は既届出医療機関にとって最優先の実務課題です。経過措置期限である令和9年5月31日までに策定を完了する必要があります。

📖 詳細記事はこちら【令和8年度改定】機能強化加算に3つの新要件|BCP策定・期限付き指定・データ提出


② 生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の見直し|5つの改定ポイント

生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)では、生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、5つのポイントで見直しが行われます。

第1のポイントは、生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲の大幅な縮小です。がん患者指導管理料、認知症専門診断管理料、救急外来医学管理料など、生活習慣病とは異なる領域の医学管理が別途算定可能になります。

第2のポイントは、在宅自己注射指導管理料との併算定制限の一部緩和です。糖尿病以外の疾患(骨粗鬆症など)に対する在宅自己注射であれば、生活習慣病管理料との併算定が可能になります。

第3のポイントは、眼科医療機関連携強化加算(60点)と歯科医療機関連携強化加算(60点)の新設です。糖尿病の重症化予防を目的とした他科連携が、年1回算定可能な加算として明確に評価されます。

第4のポイントは、生活習慣病管理料(Ⅰ)への血液検査等の実施要件の追加です。原則として6月に1回以上の検査実施が要件化され、疾病管理の質が担保されます。

第5のポイントは、療養計画書における患者署名の不要化です。患者の同意自体は引き続き必要ですが、署名という形式的な手続きが省略され、事務負担が軽減されます。

▼ ポイント: 包括範囲の縮小により、生活習慣病を主病とする患者の併存疾患管理や時間外対応を別途算定できるようになる点が、実務上最も大きな変化です。

📖 詳細記事はこちら令和8年度改定|生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)5つの見直しポイントを解説


③ 特定疾患療養管理料の見直し|NSAIDs除外ルールを新設

特定疾患療養管理料では、胃潰瘍および十二指腸潰瘍について、NSAIDs投与中の患者を除外する条件が新たに設けられます。

この見直しの背景には、NDBデータで明らかになった矛盾した処方実態があります。主傷病名が「胃潰瘍」に関連する算定患者(約18.5万人)のうち約6.5%が、消化性潰瘍患者への投与が禁忌とされる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬を調剤されていました。この実態は、計画的な療養管理という管理料の趣旨にそぐわないと判断されました。

改定後の対象疾患リスト(別表第一)では、「胃潰瘍及び十二指腸潰瘍(消化性潰瘍のある患者への投与が禁忌である非ステロイド性抗炎症薬の投与を受けている場合を除く。)」と記載されます。NSAIDs投与中の患者については、胃潰瘍または十二指腸潰瘍を主病とした算定が認められなくなります。

医療機関では、該当患者のNSAIDs処方状況の確認、他の対象疾患を主病とした算定可否の再点検、レセプト算定ロジックや電子カルテマスタの更新が求められます。

▼ ポイント: 胃潰瘍・十二指腸潰瘍を主病として算定中の患者については、他科処方を含むNSAIDs投与の有無を必ず確認してください。

📖 詳細記事はこちら令和8年度改定|特定疾患療養管理料の対象疾患にNSAIDs除外ルールが追加


④ 地域包括診療加算等の見直し|6つの改定ポイント

地域包括診療加算・地域包括診療料では、対象疾患を有する要介護高齢者等への継続的かつ全人的な医療の推進と、適切な服薬管理の実施を推進する観点から、6つのポイントで大幅な見直しが行われます。

第1のポイントは、対象患者の拡大です。従来の「6疾病のうち2つ以上」に加え、「慢性疾患1つ+要介護被保険者等」も新たに対象に追加されます。

第2のポイントは、認知症地域包括診療加算・料の地域包括診療加算・料への統合です。患者類型に応じた2段階の点数(「認知症を有する患者等」と「その他の慢性疾患等を有する患者」)に再編されます。

第3のポイントは、連携薬局の24時間対応要件の緩和です。院内で解熱鎮痛剤等の緊急処方が可能な体制があれば、連携薬局の24時間対応体制は不要となります。

第4のポイントは、認知症患者の診断後支援に係る案内の明記です。地域包括支援センター等と連携した支援取組の案内が「望ましい」要件として位置づけられます。

第5のポイントは、薬剤適正使用連携加算の対象拡大です。従来の入院・入所患者に加え、外来で他院に通院している患者も対象に追加されます。

第6のポイントは、外来データ提出加算(10点)の新設と、医療資源の少ない地域における医師配置要件の緩和(常勤換算2名以上→1.4人以上)です。

▼ ポイント: 対象患者の拡大により、高血圧症のみを有する要介護認定患者でも算定可能になります。算定対象の患者数が増える医療機関も多いと見込まれます。

📖 詳細記事はこちら【令和8年度改定】地域包括診療加算等の6つの見直しポイント|対象患者拡大と認知症加算統合を解説


⑤ 時間外対応体制加算の充実|名称変更と点数引き上げ

時間外対応加算では、診療所における休日・夜間等の対応体制の整備を推進する観点から、名称変更と全区分での点数引き上げが行われます。

名称は「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」に変更されます。この変更は加算1~4の全区分に適用され、対応できる体制の整備そのものを評価する趣旨が明確化されます。

点数は加算1~4の全区分で引き上げられます。加算1は5点から7点(+2点)、加算2は4点から5点(+1点)、加算3は3点から4点(+1点)、加算4は1点から2点(+1点)に、それぞれ増点されます。最も手厚い体制を評価する加算1の引き上げ幅が最大となっています。

算定要件は従来と基本的に同じ構造で、診療所における再診時に届出区分に応じた点数を加算する仕組みです。この見直しにより、休日・夜間に病院を受診する軽症患者の減少と、病院勤務医の負担軽減につながることが期待されます。

▼ ポイント: 届出を行っている診療所は、名称変更に伴う院内掲示や患者向け案内の更新を確認しておくとよいでしょう。

📖 詳細記事はこちら【令和8年度改定】時間外対応体制加算とは?名称変更と点数引き上げの全容を解説


まとめ|5項目に共通する「体制整備」と「対象適正化」の方向性

令和8年度改定のかかりつけ医機能評価(Ⅱ-3)は、5項目の見直しを通じて2つの方向性を打ち出しています。

1つ目の方向性は「体制整備の強化」です。機能強化加算へのBCP策定要件追加、地域包括診療加算等への外来データ提出加算新設、時間外対応体制加算の点数引き上げが、この方向性を象徴しています。

2つ目の方向性は「対象患者・疾患の適正化」です。機能強化加算からの期限付き指定診療所の除外、特定疾患療養管理料におけるNSAIDs除外条件の新設、地域包括診療加算等の対象患者拡大が、この方向性に沿った見直しです。

各医療機関では、自院の届出状況と算定対象患者を改定内容と照らし合わせ、施行日に向けた対応を早めに進めることをお勧めします。

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